ALCYONE LEGEND For 170馬力への挑戦Vol 5
ノーマルをベースに無駄と思える箇所をエアーリューターで削り落として最終過程で鏡面研磨加工を施した物です。
メーカーから出荷された時点ではこういうパーツは色々な人が色んな使用条件、環境のもとで酷使される事を想定してエンジン
の性能以上に安全率を見込んで設計されているものですが、エンジンモデファイ?の要であるスムーズな回転性、軽量化する事
によって生まれる高回転への追求はピストン及びコンロッドの軽量化は欠かせないものであります。
ご存じのとおり、VXのエンジンはレオーネのEA82が基本的なベースとなっており、コンロッドも、もちろん共用されており、
更にこのコンロッドはVS、VRのターボ系と同じ部品です。
通常ターボはNAと比較すると燃焼時のコンロッドにかかる圧力は自然吸気エンジンと比べると、かなり大きなものであります。
ピストンとクランクシャフトを連結するコンロッドにはそれなりの強度が要求されるものでありまして通常の使用過程で壊れて
はならない部品の筆頭でもあります。
ターボエンジンと同じ部品を使用しているという事は普通の使用環境下に於いては強度的には十分なものであり、メーカーが普
通、設計する時点で概ね30%?位の余裕度が設けてあるものですが、チューニングの世界ではこの安全マージンを削り取る事
により各々の目的を達成及び追求していきます。
例えば、究極のエンジンであるF−1のエンジンは各メーカーの英知を結集した物ですがレースはほとんど300kmを2時間
位で走りきるのですが、あるメーカーの設計者はレースカーがゴールラインを通過した時に壊れれば完璧な設計のエンジンであ
ると言ってました。
これはレース距離を走りきってもまだ壊れないという事はまだ各部品に余裕があるという事で無駄があるという事でした。
限界ギリギリを追求した部品は2時間位、持てば機能を果たした事になりそれ以上は不要という事でありまして一般大衆からの
私達ではちょっと理解出来ない世界でもあります。
限界性能を要求されるレースではライバルに勝つ為に素材や形状が吟味され、壊れるか持つかどうかの瀬戸際でのせめぎ合いで
すが、頻繁にエンジン交換出来るレースの世界ではブローしたら、直ぐにエンジンを交換という作業になりますが一般公道を走
る車にはこういう法則は当てはまらず、壊れない事が最低条件でもあります。
今回、ノーマルコンロッドをベースに駄肉とも思われる部分を削りましたが、単に削るだけでなく強度を確保しながら、運動中
にコンロッドの大端部が変形してしまうとメタルのトラブルに繋がりますので慎重な作業が要求されます。
エンジンの要ともいえるクランクシャフトの画像です。
右側はクランクシャフトのフロント部ですがここにクランクプーリーやタイミングベルトを駆動する為のスプロケットが付きます。
通常はそのまま寝かせて置くのではなく、立てて置いておくようにします。
クランクジャーナルと図示してある部分がクランクケースとにメタルを介して固定される部分です。
クランクピンはコンロッドと繋がる部分でジャーナル部と比較すると直径は小さいです。
右側画像の矢印部のジャーナルとピン部を少し加工屋で削ってもらって直径が僅かに小さくなっており、回転時の
摺動抵抗低減に努めています。
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