ALCYONE LEGEND For エンジン分解編13


いよいよ、ここからクランクケース本体の本格的な分解に入ります。

   赤丸で図示した部分がポイントで、ここはピストンとコネクティングロッドを連結しているピストンピンを抜き出す為のサー
   ビスホールとなっています。

   普段はシリンダー内に異物が入らないように14ミリサイズのヘックス「6角」ボルトで蓋がしてあります。

   左側画像での右側のメクラボルトはウォーターポンプの所にあり、普段はクーラントが通っていて、ここから水分がシリンダ
   ー内に入らないように必死でがんばっています。


サービスホールのボルトを外した所です。

   クランクシャフトを回転させて所定の位置に持ってきますと左側画像のようにピストンピンが見えてきます。

   スバルの水平対抗エンジンはエンジンの機構上、このピストンピンを抜かないとクランクケースが分割出来ない構造になって
   いますので、初めにピストンピンが抜き取れるようにピンが横方向へ移動しない為の固定用のクリップを外します。

   右側画像は固定用のクリップをラジオペンチで外した所ですが、このクリップはピストンに溝が切っててあり、クリップの円
   周方向の弾性でピストンに固定されます。

   正式名称はサークリップといいます。


先ほどのサークリップが外れましたら次に、ピストンピンを抜きます。

   ピストンピン自体はピストンやコネクティングロッドに圧入されているタイプのものではなく、常にフリーで動くフルフロー
   ティングタイプと呼ばれるものですが、指を挿入して引っ張るだけでは簡単には抜けてこないので特殊工具を使う必要があり
   ます。
 
   ディーラーのような専任工場でしたらピストンピンを抜き取る為の特殊工具があるのですが町工場レベルではそんな大それた
   工具はないので、ここで急遽、ピンを抜く為の工具を製作しました。

   左側画像はホイルキャップを外す為のレンチですがこの先を小さなL字型に曲げてピストンピンに引っかかるように内側を削
   ります。


左側画像はピストンピンを抜いている所ですがピンは引っ張るだけではススーと抜けてきません。

   新品で組み立てる時は簡単に入るのですが、エンジンに火が入った物は多少なりとも軽い摺動抵抗がありますので、工具を
   スライドハンマー「板金屋がへこんだドアを引っぱり出すのに使う、衝撃を与える工具」にセットして勢いよく引っぱり出します。

   右側は抜いたピストンピンですが中央付近に2本の縞模様らしきものが見えますがこれはピンにスラッジ成分が付着したもので
   、これだけでもピン自体の外径寸法が変化する事になり、簡単にピストンから抜けてこない事が分かると思います。


ピストンピンを抜く為の簡単な説明です。

   画像を見れば一目瞭然ですがピストンピンの端面に工具の先を引っかけて矢印方向へ抜きます。

   抜く方向はピストンの左右どちらからでも抜けますが、分かりやすいようにあえて矢印をつけました。

   右側は真ん中のシリンダーのピストンピンを覗いた所ですが真ん中のシリンダーにはメクラ蓋はなくシリンダーにただ大きな
   穴が開いているだけです。


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