AL CYONE LEGEND For エンジン分解編11
ピストン画像です。
ピストン頂部に半円形の切り欠きが2個、繋がるような感じでありますが、これは排気と吸気のバルブが万一、タイミング
ベルトが切れてしまってクランクシャフトとカムシャフトの同調が狂った時にピストンとバルブが干渉して損傷しないよう
に窪みが設けてあります。
正式な名称はバルブリセスと言いますが、これは無い方が燃焼というプロセスから見るといいのですが、最悪の事態を回避
するという意味ではなくてはならないものであります。
右側画像の赤丸の部分だけは他の部位と比べて、カーボンがほとんど付着していませんが、これはヘッドの燃焼室の形状と
相まってピストンが混合気を圧縮する過程でこのカーボンが付いていない部分で混合気を反対方向へ押しつけるといった作
用をします。
上記のスキッシュエリア効果で燃焼が上手くいくようにコントロールして、カーボンが付着していない部分迄は燃焼の過程
での火炎伝播は伝わらないようになっているせいです。
バルブリセスの淵に溜まっている変な物質です。
よく観察するとガム状物質でたぶん、ガソリンに含まれていた某かの成分が燃焼により化学変化を起こして残ったものと推測
されます。
手で触ってみると、結構固い感じでドライバーの先でこすらないと取れなかったです。
地球上で発見されていない未知の物質か?.............。
張り付いて残っていたヘッドガスケットを除去してピストンを簡単に掃除しました。
右側画像のピストン上方にUPRと赤丸で図示した部分に矢印が見えますが、これはVXのピストンは上昇時と下降時のピス
トンの首振り現象によるサイドノックという音を緩和するためにピストンピンの位置が本来の位置より僅かに中心をずらし
たオフセットピストンというものが採用されている為に、エンジンの組立時にピストンが正規のシリンダーに入れられるよ
うに合いマークとなっています。
UPRは字のごとくアッパーの略で、矢印はエンジンフロント方向を表しています。
ヘッドガスケットです。
クランクケースとシリンダーヘッドの間に入って、燃焼した圧力を外部に逃がさずに水とオイルの漏れを一切、シャットダウン
するという素晴らしい働きをしています。
材質は石綿、アスベスト、諸々の素材の集合体ですが、水冷、空冷を問わずに、ヘッドガスケット無しでは現代のエンジンは成
り立たない程、重要な役目を負っているのですが環境的に、非常に厳しい場所に置かれていまして、エンジンの膨張、収縮の過
程で古い車はガスケット自体が弱ってきてシールする機能が低下してきてオーバーヒートを起こしたりする場合があります。
反対に、何かの原因でエンジンがオーバーヒートを引き起こした時にこのヘッドガスケットが吹き抜けてしまう場合もあります。
右側の画像で黄色で囲んでいる場所は水が通る穴ですが、ご覧の通りほぼ円形のシリンダーを取り囲むような感じで水穴がレイ
アウトされているのが分かると思います。
ちなみにXAVIメンバーの山田教授はこのガスケットのへたりによるオイル漏れでエンジンOHの憂き目に逢われました。
おいたわしや〜
両バンクのシリンダーヘッドが外されてクランクケースだけになりました。
非常にコンパクトなケース本体ですが赤丸の中の近接が右側の画像です。
前回と重複しますがオイルポンプのインナーローターが入る部分ですが、こちらの画像の方がケースが分割出来る部分がよく
分かると思います。
画像では上下方向に分かれるように分割線が入っているのが分かりますでしょうか?
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