6.電子化書類の活用
6-3.電子ファイル化と著作権 (「ファイリングの部屋」アーカイブ)

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スマートフォンにも対応したRenewal版を開設しました。ここのサイトデータもアーカイブとしてコピーしています。Renewal版の「ファイリングの部屋」をご利用ください。新しい内容も、少しずつ追加しています。

 

電子ファイリングでは、紙の書類をスキャニングしてイメージデータとして取り扱いますが、このとき著作権との関係は非常に難しいものとなります。[著作権法 (昭和四十五年五月六日法律第四十八号)]

新聞記事のコピーについては、日本経済新聞社が警告記事を掲載しました。
 
著作権について
 

著作権は「著作者人格権」と「著作財産権」に分けて考えることができます。一般に著作権とよんでいるのは「著作財産権」で、この権利に従って著作料が発生します。「著作財産権」はこれを他人に譲ることが可能です。これに対し、「著作者人格権」は、著作物を作成した時点で、その作成者に対して自動的に発生する権利で、他人に譲ることはできません。著作財産権は、著作者の死後50年あります。作成後の期間ではありませんので、注意が必要です。

自社内で作成した書類の著作権(著作財産権)は、その会社に所属するため、どのような処理を行っても、全く問題はありません。(ただし、社員との間で業務上作成した書類は、全て会社に対し権利を譲渡する旨の契約が必要となります。)

   
許可が不要な複製
  著作権法で、著作権者(著作権を持っている人)の許諾を得ないで複製ができるのは、私的利用や図書館でのものなど非常に制限された場合だけです。
一般企業の活動は、通常は私的活動と考えられていますが、著作権法で認められている私的利用は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」(著作権法第30条)とされており、企業活動は含まれていません。
   

雑誌などのスキャニング

 

雑誌などの発行物をスキャニングなどを行って、イメージデータとして保存することが、全く問題がないのは、発行者(著作権者)が行う場合(作業自体を外部の業者などに委託することも含む)以外は、公共図書館が、資料の保存のために必要である場合くらいで、ほとんどの場合は、著作権者の許諾が必要と考えて差し支えないでしょう。

ここでは、スキャニングなどを行うことだけを言っていますが、著作権法で制限されている複製とは、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」(著作権法第2条15)とされており、複写機によるコピーだけでなく、マイクロフィルム化も含まれています。

   
新聞の切り抜き
 

新聞の場合は、著作権法に「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない」(著作権法第10条2項)とあるように、新聞には著作権が無いようにも見えますが、「事実の伝達にすぎない」場合にのみ、著作権が認められていません。これは、「いつ、だれが、どこで、どのような事故を起こし、けが人の人数は」などの公式に発表された事実関係だけを書いたような記事にのみ適用されます。写真やイラストは当然著作権の対象となります。

会社などで新聞記事を切り抜き、関係者に配ることはよくされています。新聞そのものを切り抜いて、台紙などに貼って回覧する場合には、全く問題はありませんが、これをコピーして回覧する場合には問題があります。しかし、このような行為に対しては、「新聞社もいまさら問題視する姿勢を見せず、いわば黙認していく姿勢」(日本工業新聞 98年4月28日)を示しています。 しかし、この新聞の切抜きを電子化し、社内ネットで閲覧できるようにするのは、著作権侵害にあたるとの姿勢を示しているようです。

   
新聞のコピー
 

前項で、新聞記事をコピーして回覧する場合は、黙認の状態であると書きましたが、日本経済新聞社が「記事のコピーは違法です」との記事を掲載しました。(2002年7月18日)
この記事の要点は、業務上行われるコピーは、少数部数であっても著作者の許諾が必要である。記事をコピーして関係部署に配る記事クリッピング利用は、印刷物でかつ内部配布に限定したケースに限り、包括許諾に応じる。しかし、イントラネットなどのネットワーク利用については許諾しないというものです。
新聞業界では1回20部以下に限って、コピーの権利を社団法人日本複写権センターに委託し包括的な契約をするが、日本経済新聞はこの委託を行わず、すべて自社で利用申請を受け付けるとのことです。

   

このように、著作権については非常にデリケートな問題であり、十分な注意が必要です。

 

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Updated on 2013/09/28