愚行連鎖

GB Racer icon 飛行機大好き/スプルース・グース


Spruce Goose シトカスプルースは航空機材にも使われるそうで、あの有名なハワードヒューズが全財産をかけて製作した世界最大の飛行機、ヒューズHK-1(発動機8、全長67m、全幅98m)飛行艇は木造で、この木材を利用していたのだそうだ。
銘木図鑑参照


スプルース・グース(檜の雁:ひのきのかりがね)

1942、米国は造船王と呼ばれたヘンリー・J・カイザーの働きかけで“空飛ぶ船”の建造に着手する。
これを受けてヒューズは、現存するどの航空機より大きく(最大の物の6倍)人類史上最大の飛行艇であるHK-1(ヒューズ・カイザー1)構想を打ち立てた。
この飛行艇は非戦略物資であった木材で作られたためその木材名を取って“スプルース・グース”と呼ばれた。
エンジンは当時最大と言われるプラット&ホイットニーのワスプ・メジャーR-4360を8基搭載していた。
戦争が連合国優勢になり、戦争遂行に無用とされたHK-1は米国政府から契約打ち切りされるが、ヒューズは私費で飛行艇を完成させてしまう。
1947年11月2日にスプルース・グースはロングビーチで進水したが、巨大飛行艇は既に戦略的価値がない物として当局から飛行が禁止された。
しかし、ヒューズは「滑走試験」中に“間違えて”飛行艇を離水させ1.6km飛行させてしまった。
幻の巨人の最初にして最後の飛行であったが、彼は、ここでまた合衆国の英雄になったのである。

いいよなぁ、こういう洒落の効いた話…。
> Evergreen Aviation Museum



Haward Hughes(1905-1976)

10代の頃、5$の遊覧飛行でカーチス飛行艇に乗り、世界最大の飛行家になるという野心に目覚める。
石油採掘の特許で巨万の富を得た父が死去財産を引き継ぎ、ウェコー(複葉機)で操縦練習を始める。50年に渡り米国航空業界に君臨し、飛行機と映画製作を愛し、その間数々の飛行記録と伝説の奇行を残し、最後は航空機墜落事故でこの世を去る。

ハワードヒューズは飛行機事故ではなくて、長期の薬物乱用でこん睡状態になり治療の為に当時住んでたメキシコからアメリカに戻ろうとした飛行機内で死亡しました。

と言うご指摘を頂きました。
この記述については何年も前に書いたモノで、当時参照した「飛行機事故で死亡」としたソースの記録が残っておりません。
調べると、現在ネット上にも多数の記事があり、ご指摘通り確かに「飛行機内で病死」という記述しか見つかりませんでした。
アカプルコからチャーターされたジェット機でヒューストンの病院に救急搬送される途上、機内で亡くなり、死因については腎臓機能不全、脳血管障害、心臓病などが挙げられていると言うのが真相のようです。
2007.9.19.




スプルース・グースは辞書的に訳せばエゾマツ(あるいはトウヒ)の鵞鳥(がちょう:または雁がん)であるがエゾマツのガチョウでは音韻的に美しくない。トウヒのガンでは頭の皮が悪性腫瘍で末期症状のようである。

スプルースは本来はマツ科の植物で檜とは異なるが、シトカスプルース(ベイトウヒ)をアラスカヒノキと別称するくらいで特性的には近似した木材と言える。
ヒノキは我が国では特に愛される木材で、「総檜造り」は一種ステータスとも言える。

そこで、あえて「ヒノキのカリガネ」と訳してみた。
本人はなかなか雅でよい訳なのではないかと自画自賛している。

ちなみにヒノキは英語ではJapnase Cypressというらしいが、Final Fantasy に登場するクラブ(棍棒)、サイプレス−スパイル(攻撃系魔法使い:黒魔導士の専用武器)はDoragon Questにでてくるヒノキの棒と同じ物ということになる。
ただし、辞書によるとCypressはイトスギ(悲しみの象徴として墓地に植えることがある)、とある。ううむ、ゴッホなのだ。

してみるとゲーム、“Final Fantasy”の黒魔導士は「悲しみを湛えた棍棒」の一閃で敵を薙ぎ払い焼き尽くすことになる…
なんとも哲学的ではある。
2000.10.9.加筆

ヒノキ 樹種名 ヒノキ(檜・桧)
学名 Chamaecyparis obtusa Endl.
科 ヒノキ
主産地 本州/四国/九州
比重 0.44
備考 特有の芳香と光沢あり
SPECIES Japanese Cypress
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@y's@さんメールありがとう!


@y's@さんから

GBさんこんばんは。
先日BBSへお邪魔した @y's@ と申します。

スプルース・グース見たことあるかもしれないです。

5年程前に仕事でオレゴン州のポートランドに滞在中、現地在住の日本人の方に「木で出来た飛行機を見に行こう!」と誘われて“木製?”と訳もわからず観光に行った事があります。

私が見たその木製飛行機は飛行場にあるような倉庫に格納されていて、フェンス越しでしか見ることが出来ませんでしたが、これが飛んだの?と疑うような大きさだったのを覚えています。
ただ、名前や由来についての記憶が一切ありません。“まったくアメリカさん達は”っと機体の大きさと、技術力、スケールのデカイ発想に半分あきれて、説明パネルを読む気も起こりませんでした。(←ウソ、英語からっきしでして…)

案内してくれた方は、確か「昔はロングビーチに展示されていた…」とおっしゃっていました。

さて、興味深いお話です。
この巨大な飛行機がまだ現存するってのは凄い。
流石アメリカです。
Webで情報募集しているGeeBeeレーサーもなんと、レーシングコンディションの動態で保存されていることが分かりました。
凄い国だよネェ。

オレゴンって、林業が盛んなはずだから、最初は飛行記念のロングビーチにあったとしても、その後移動されても不思議はない土地ですよね。
(見当違いかなぁ?)

HK-1とGeeBee

「レーシングコンディションの動態で保存」と前述したGeeBee Racerは飛行機大好き/GB模型飛行機研究所:1でも紹介しているが、Delmar Benjamin 氏が製作したR-2のレプリカ“The only flying replica of its kind in the world!”です。
R-2のレプリカはこれ一機ですが、R-1の方はNew England Air Museumに静態保存展示されています。
また、GeeBee Model-Zも飛行可能なレプリカが存在し、ディズニーのSF(?)アクションロケッティアに出演しているのはそのレプリカだそうです。

 ※本作品には「ヒューズ」さんも重要な役どころで登場します。

HK-1の“スプルース・グース”は愛称であり、制式にはハーキュリーズと言う名称で呼ばれていたらしい。
飛行機No.1図鑑(鴨下示佳著/グランプリ出版)によると、かつてはロサンゼルスのクイーン・メリー号係留地の近くに保存されていたが、現在はオレゴンの博物館に解体保管されているとのこと。
@y's@さんがご覧になったのは間違いなく、スプルース・グースのようです。

 ※本書では本機の型式名は“HFB-1”と記述されている。



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