愚行連鎖

GB Racer icon 飛行機大好き/Dr.1建造報告:5

工程:3 胴体の組立

フレーム いよいよ、作業は佳境に入る。

フレーム組と胴体部分の工作である。
これはランナー(枝)から切り離したメインフレーム。
右下に置いた小型ニッパーから大きさを想像して欲しい。

鋼管フレームなので、色設定には結構悩んだが、今回は説明書に従って“黒鉄色”で仕上げることとした。


エンジンマウント こちらは、エンジンマウント部分である。
プラスチックとホワイトメタルの混合構成である。
エンジンや機銃はポリ・スチレン、あるいはスチロール樹脂とも呼ばれる材質で、コストが安く、接着もたやすいため「プラモデル」と言えば、一般にこの材料が使われる。
一方、このフレーム部分などはABS樹脂である。
スチロールに比べると価格が高いようだが、強靱で弾性に富みスチロールと比較すると遙かに丈夫である。
ただし、今回組み合わせて使用されているホワイトメタルは金属なので当然、またABSも「プラモデル用」の溶剤系の接着剤では接着が出来ないため、これからは瞬接の出番となる。


エンジンマウント 下塗装、仮組の済んだエンジンマウントとABS/ホワイトメタルが混在するフレームサイドメンバーである。

金型を使って成型するABSもロストワックスで製造するホワイトメタルも、型を使う以上必ずパーティーションラインや湯口(溶けた材料を型に流し込んだ入り口)、材料のヒケが発生する。
前にも書いたが、これらを如何に念入りに消すかが勝負である。
カッターナイフ、金ヤスリ、紙ヤスリなどを使って丁寧に仕上げる。


フレーム全景 ほぼ組み上がったフレームである。
箱から出す前は、これだけデカイのだから溶接痕は細工しないと格好が付かないと思っていたのだが…
(1/12オートバイなどでは、再現されていない溶接痕を自分で作るのだ)
感動的なことに、それは杞憂に終わった。パイプ接合部には溶接痕までモールドされているのだ。
しかし、でかいぞ!
これからの作業は、どうしよう…

☆TIPS

プラ工作、ホワイトメタル仕上げに使用する金ヤスリについては、金属工作に使って目が死んで来た物を利用すると、作業時間は多少増えるものの、材料に付くヤスリ目が深くならないので、綺麗な仕上がりが求められる。

ホワイトメタルは大きな段差を修正するとき以外はヤスリを使わずに、ステンレスのピンセットや塗料攪拌棒を使って磨きだした方が綺麗に上がる。



ジェル・ニス この後から、いよいよ木材がパーツに登場する。

説明書では一言「クリアオレンジ」と記述があるだけだが、木材を樹脂用アクリル塗料で、それもクリアカラーで塗装するのは、どうも抵抗がある。
東急ハンズを物色すると、新製品というこの瓶が目に付いた。

商品名「一液型ウレタンニス[油性]ジェル・カラーニス」(アサヒペン)である。
性状は名の通り半固形で、刷毛などではなく、布に付けて擦り込むようにして塗布する。
面白そうなので、即座に決定。色は“ライトオーク”を選択した。


木製部品 木製部品はこんな感じで一枚板を型抜きした物で提供される。
材料はかなり良質なベニア板である。

抜き部分を傷つけないように、デザインナイフなどを使って丁寧に切り離す。


木製部品 新兵器「ジェル・カラーニス」を塗り込んだところ。
着色力はさほど強くないが、艶の具合などは落ち着いたセミ・グロス調でなかなか上等である。
構造的に、厚塗りが不可能なので、スケールモデルなどでは逆にリアルな質感が出るのではないかと思う。
これはまだ一度塗りの状態だが、基本は二度塗りである。


床板取付 フレームに床板と背板を取付ける。
だんだん本機の全貌が見えてきて、ワクワクする。

取付はM2のボルトナットである。

しっかし、我ながら汚い作業台だ…


コントロール・パーツ 床板などの装着が完了したところで、コントロール系のパーツを組上げる。

こちらは強度が必要なところなので、ほとんどホワイトメタル製である。

写真は操縦桿とラダーペダル。
操縦席廻りの塗色などについては説明書には何の記述もないが、下記に紹介した映画などを参考に、下の写真のように操縦桿を塗装してみた。
う〜ん、写真が悪くて見えないか…


操縦席廻り できあがったコントロール系パーツをコックピットに取付ける。
コントロールワイヤはキット付属の糸を使用する。
糸の固定部は1.2φの銅パイプを3mmに切断、糸をループ状に通して瞬着で固定する。
銅パイプの内径と糸の太さが殆ど変わらないので、二重通しに大変苦労するところだが、(通常の方法ではまず通らない)要は頭の使いようである。
一旦通した糸をループにし、銅パイプに通した糸先端方向、パイプ直前部分の縒りを戻し、糸の先端を解れた糸の間に通し、そのまま通してあった方の糸を抜く方向に引っ張れば簡単に通るのである。(分かり難い説明だなぁ…)
糸を通し終わったら解れた縒り目を縒り戻しておくこと。
コントロールワイヤの先はまだ出来ていないので、取りあえずまとめてフレームに仮止めしておく。


--補記--

映画について

この模型を製作するために、何本かのビデオを入手した。
(「紅の豚」マルコが闇商人から購入した機銃の正体は…また、後日)

華麗なるヒコーキ野郎 華麗なるヒコーキ野郎[The Great Waldo Pepper]1975年【米】
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ロバート・レッドフォード、ボー・スヴェンソン、ボー・ブルンデン
この「華麗なるヒコーキ野郎」(1975)は、ジョージ・ロイ・ヒル監督の「明日に向かって撃て」(1969)「スティング」(1973)に続いてつくられた作品。
WW-I直後の復員戦闘機乗りのお話
今は少なくなったけど、ちょっと前までの日本の映画配給会社の商品ネーミングは、かなり凄い。
次に紹介する作品と似た題名だが、全く無関係の映画である。
原題は「偉大なるウォード・ペッパー」。主人公の名前である。
ビデオを入手される際はくれぐれもお間違えなきよう。
かの「華麗なるギャツビー」がこの作品の一年前にヒットしているし、名作(下記参照)「素晴らしきヒコーキ野郎」もあったので、柳の下の泥鰌百万匹を期待したのか…
とにかく、興味さえ引けばいいってか??
まぁ、“華麗なる”日本名タイトルの映画は昔から多いんだけどね。

本編は、なかなか見せる作品である。
飛行機マニアならずとも、アーリー・アメリカンな雰囲気がお好きな向きにもお奨め。
しかしながら、ラストのDr.1とスパッドの空中戦は何度見ても大興奮!
やっぱり、飛行機って良いなぁ!

たびたび例に引いている「紅の豚」だが、この作品を見ると、ははぁ〜ん…と思うシーンが随所に登場する。
希代の飛行機好きの宮崎駿がこの作品を見ていないわけはないな。


素晴らしきヒコーキ野郎 素晴らしきヒコーキ野郎
[Those Magnificent Men in Their Flying Machines, or How I Flew from London to Paris in 25 hours 11 minutes]1965年【米】
監督:ケン・アナキン
オールドプレーン〜飛行機映画、と言ったらたいていの人が候補に上げるであろう作品。
今回制作中のDr.1よりも10年以上昔が舞台なので、模型製作の直接の参考にはならなかったが、旧式の、それも、やっとこさ飛んでいる飛行機の動きを見るだけでも楽しい。
(若き日の故石原裕次郎も出てます。)
石原裕次郎の配役は差別的類型的日本人描写の典型だな。時代的に仕方ないけど…。
もっとも、この映画、飛行機黎明期の各国の飛行機マニア達の競争を戯画的に描いた物なので、フランス人は、女と見れば必ず口説いて押し倒すし、ドイツ人は常に軍服で、マニュアルを手放さない…
イギリス人は融通が利かなくて女に振られるし、主人公のヤンキーはカウボーイ丸出し。

でも、主人公の西部男だけは、常に格好良いのは、そこはそれ、アメリカ映画。
いや、それにしては、タイトルやエンディングはフランス製のような粋な雰囲気…
これもフレンチ・ムービーのパロディなのかな?
これでもかッ!と言う寿限無タイトル(原題)すらも…これもシャレか?
(「素晴らしきヒコーキ野郎」と言う邦題は、まぁ、極めて素直に直訳した物だろうが…)

他に、参考になりそうな映画に…

レッドバロン The Red Baron(原題”VON RICHTHOFEN AND BROWN”)1971
監督:ロジャー・コーマン
出演:ジョン・フィリップ・ロー、ドン・ストラウド、バリー・プリマス

文字通りレッド・バロンが主人公。ベルケのヤシュタ2(第2航空中隊)に配属されてからソンムで撃墜されるまでを、彼を撃墜したカナダのブラウン大尉の視点を交えながら描いている。

とか、この項の目次に書いた“ブルーマックス”などがあるが、残念なことに、現在国内ではビデオの入手が出来ない。


…と、いうわけで、以下、第6工程へ続く



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