愚行連鎖

GB Racer icon 飛行機大好き/Dr.1建造報告:3

工程:1続き/工程:2補器・機銃

次の工程に移る前に、手許の道具類をざっと紹介しよう。

ラインナップに歴史あり:塗料


接着剤と塗料 子どもの頃は何故か当時のナショナル・ブランド、プラカラー(マルサン)ではなく、プラッカー(エスクマ印の島田塗料株式会社。マメラッカーの方が有名?)を使用していた。
現在、塗料は、Mr.Colorをずっと使用しているが、このMr.Colorクレオスと社名変更した旧グンゼ産業の取り扱い。
グリーンマックスの鉄道カラーもスペシャルブレンドではあるが、中身は同じ物である。
かつてはRevell Colorと名乗っており、一時期はTAKARAから売り出されていたこともあった。
これら新旧全てのブランドの瓶が揃っているところが我ながら、ナニである。

このMr.Colorは、アクリル・ラッカー系で、とにかく色数が豊富で発色もなかなか、乾燥が速いが筆塗りでも比較的ムラが出にくい等の特徴があり、お気に入りアイテムである。
(Mr.Colorには水性の物もあるが、安全性はともかく、ウェザリング用途以外には…である。)
Mr.Colorは最近は田宮模型のタミヤカラーに押され気味?
タミヤカラーはアクリル系・エナメル系をラインナップするが、どちらも何となく、あの筆感触が今ひとつなんだな。
エナメル系はウェザリングや、仕上げ時点での重ね塗装部分などに使用することがある。
一般塗装では疑問符を表明したが、Mr.Colorブランドのウェザリング専用の水性カラーは非常に優れた物である。モデラーの机に是非一セットお奨め。
★本稿では色指定の表記は全てMr.Colorに準拠している。

接着剤

登場当時は高価で貴重品であった瞬間接着剤(通称:瞬着)は\100Shopでも売られるようになって、もはや使い捨て感覚。
バリエーションも増え、粘度が高い「木工用」などもある。
最近はこの瞬着を模型工作に使う向きも多いらしい。
瞬着は確かに速く強力に接着が可能ではあるが、素材の組織には干渉しないので衝撃や経年変化に弱いし、素材間に介在する接着剤の層の存在が邪魔である。(接着剤の厚みが完成品に出る)
ホワイト・メタル等は仕方ないにしても、溶剤で溶着出来る材質は、やはり、溶剤系プラ・セメントを使いたい。完成品の美しさに明らかな差が出る、と思う。
(ホワイト・メタルだって、半田付・溶接などの工作が最良と思う)

今回はMr.PRO CEMENT(粘度が低い)、Mr.CEMENT、TAMIYA CEMENT、コニシ速乾木工ボンド、瞬間接着剤、瞬間接着剤木工用等を用意した。

刃物類・他

刃物類 上から
X-Acto差替えナイフ(模型界では有名だが、今ひとつ使い勝手が良くない。ピンバイスも持っているが精度が低いような…)
NTカッター(コメントの必要もない)
OLFAデザインナイフ(この手のナイフが一番活躍する)
NTデザインナイフ(OLFAよりも刃が小さく、重宝する)
手製切り出し(帯鋸の鋼を切り出して我が親父が手に合わせてグリップも作ってくれた。非常に切れる!木工用に重宝)

ニッパー ニッパー類。
赤い柄の物はプレス製の安物だが、実はプラ模型のランナーを切り取るときには、この薄い刃が重宝するのだ。
この赤ニッパーは既に30年近く私の掌の中にある。

柄付針他 上から
千枚通し
歯科用柄付針(得意の\100Shopで購入ある。)
手製柄付針(面相筆の軸に太めの縫い針を固定して作った。これが使い易い)
塗料攪拌棒(実用新案、なのだそうな。)
塗料調合スプーン(大型の耳掻き状のスタイルである)
逆ピンセット(小さな部品の塗装時などに重宝する)
鶴首ピンセット(通常のピンセットの首を曲げ、先端を細く尖らせ、研ぎだしてある)
医療用小型ピンセット(薄く、軽く、先端の合わせ精度が高い)

ピンバイス 上から
ステンレスワイヤブラシ。
刺繍鈎針。これが結構重宝するのだ。
ピンバイス各種(上から4本目がX-Acto、芯が甘くて使いにくい)
ピンバイスは、模型工作には必須工具の要するに手回しの精密ドリルである。
スポイト。塗料希釈時、シンナーを扱うのに必要
右側は精密ドライバ。ねじ回しだけでなく、プラ製品用の手ノミとしても使用する。

シリンダ・ヘッド

シリンダ・ヘッド これが完成したシリンダ・ヘッド。
クランク・ケースから持ち上がるインテークパイプ(吸気管)からヘッドに入った混合気は爆発後プラグの真上にあるバルブ室からそのまま排気されるのだと思う。
なんと、エクゾーストシステムはないのだ。さぞや煩いエンジンだっただろう。
この排気圧は、エンジンその物を回転させる推力にも、多少貢献しているのではないかと推測できる。
弁機構は長いプッシュロッド(キットでは真鍮製)を介して天秤式のロッカー・アームを動かすなんとモダンな“OHV”。
クランク・ケース銅色の部分(恐らくコイル・ユニット)から立ち上がり、点火栓(プラグ)につながっているのが点火コード。
指定通りの絹穴糸16号(黒)を使用した。

絹穴糸はどうやらボタン付けなどに使う手縫い糸では、16号は比較的太めの規格らしい。
株式会社 糸善によると、糸の種類は次のようになっている。
実は、“糸”と簡単にくくれる物ではなく、かなりディープで興味深い世界なのであった。
大体、機械縫い用と手縫い用で撚り方向が異なる、等考えたこともなかった…
非常に興味深いので、まとめて引用してしまう。
この会社のWebにはもっと沢山の情報があるので、興味のある向きはどうぞ。

参考:絹縫糸の種類
(1)絹ミシン糸(羽二糸)

通称羽二糸と呼ばれております。生糸21中を4本下撚をかけ、それを更に3本上撚をかけたものを50番絹ミシンと言います。絹ミシン糸と言えば通常この糸です。洋服の本縫いに主として使われますが、帯や和服、その他の縫製にも使われ、絹糸の中では最も需要の多いものです。撚は左撚です。

(2)絹手縫糸(地縫糸)

通称絹糸と呼ばれています。和裁の本縫い用と洋服のまつり用に主として使われています。生糸21中を9本下撚をかけ、それを更に2本上撚をかけたものを9号と呼び、又10本を下撚をかけ、それを更に2本上撚をかけたものを10号と呼びます。撚は右撚です。
使用針 絹針4の1〜3 絹針4の2〜5 絹針4の3〜5
8号、9号、10号と種類はありますが現在では9号が主に使われております。

(3)穴糸(絹穴かがり糸)

主として穴かがり用です。16号は夏服の穴かがり用でしたが、現在の洋服地は、薄地が喜ばれるようになってきましたので主としてこの太さのものを使うようになりました。又、細い方が奇麗に仕上がるのでもっぱら16号が使われております。17号は冬服に使われておりましたが現在では厚地の生地又はオーバー地等に使われています。18号は穴かがりには使われず、主としてネクタイ、袋物等手芸用に使っております。
用途 ・穴かがり(ボタンホール)、ステッチ(飾り糸)、手芸用、ネクタイ、ショール、袋もの・布団とじ糸 ・穴かがり(ボタンホール)、ステッチ(飾り糸)、手芸用、ネクタイ、ショール、袋もの・布団とじ糸 ・穴かがり(ボタンホール)、ステッチ(飾り糸)、手芸用、ネクタイ、ショール、袋もの・布団とじ糸 ・穴かがり(ボタンホール)、ステッチ(飾り糸)、手芸用、ネクタイ、ショール、袋もの・布団とじ糸
使用針 ミシン針No16
デニム針
メリケン針 ミシン針No16

(4)絹ステッチ糸 30番

30番の甘撚は機械穴かがり用に使われ、リース糸と呼ばれています。30番は生糸21中を9本下撚をかけ更に3本上撚をかけたものです。

規格 21中/9×3(Z)

強力 1,820グラム
用途 ウール、ジャージ、ジーンズ、化合繊地などの厚地用ミシン糸ステッチ、ボタンホール
使用針 ミシン針No16〜18、ジーンズ針、デニム針、ステッチ針

(5)皮革用絹ミシン糸

規格 8番(21中/16×3Z) 強力 3,830グラム
10番(21中/14×3Z) 強力 2,820グラム
20番(21中/11×3Z) 強力 2,210グラム
30番(21中/9×3Z)  強力 1,820グラム
40番(21中/6×3Z) 強力 1210グラム

用途 靴、カバン、ベルト等の革製品
使用針 ミシン針No19〜21、革縫い針

(6)絹しつけ(ぞべ)

和裁用のしつけ糸で通称「ぞべ」と呼ばれています。色は相白といって白に少し青味をかけたものとその他に真白と黒があります。生糸21中を4本下撚をかけたものを更に2本上撚したもので4号と呼びます。

規格 21中/4×2(Z)
強力 490グラム
用途 和裁用しつけ糸、薄地用のミシン縫い、ミシン刺繍
使用針 絹しつけ針、絹えりしめ、絹針4の1〜5、ミシン針No9

(7)絹刺繍糸

刺繍用として作られた糸で、撚は多少甘撚です。刺繍には主としてレーヨンが使われますが、絹の光沢と高級感を持たせるために高級紳士服等のネーム付に使われます。

規格 21中/3×2(Z) 強力 360グラム
21中/4×2(Z) 強力 490グラム

用途 基本的にはネーム刺繍、飾り刺繍
使用針 ミシン針No9、刺繍針

(8)釜糸

日本刺繍に主に使われておりますが、平たくして糊をかけたものを糊引と呼ばれ布団とじ糸に使われております。別名「極天(ゴクテン)」とも云います。この糸は21中の生糸を撚らずに引き揃えているのが特長です。この糸は用途向きによって何本にでも引き揃えられますので強力、伸度はそれぞれ違ってきます。

規格 21中16本 引き揃え
強力 600グラム
用途 日本刺繍、布団とじ糸
使用針 日本刺繍針、とじ針

(9)太白

太白糸の略で太く白い絹糸のことを言います。関東では(タイハク)と言いますが、関西では蛇腹(ジャバラ)と呼びます。この糸は用途によって太さがいろいろありますので強力、伸度等は変わってきます。

規格 21中/25×2(Z)
強力 3,000グラム

用途 和本の綴じ、日本舞踊の引き抜き糸、僧侶の法衣、布団とじ糸
使用針 太さに従って使用針は変わります。

(10)絹小町(絹紡績手縫糸)

繭から生糸を取る時に出来る副蚕糸(くず繭糸)を綿状にして紡績したもので、手縫糸、まつり糸、ミシン糸として絹の代用に使われております。縫合性がよく、絹より多少安いので関東以北で特に愛用されております。

規格 絹紡績糸 26/2 (S)
強力 1,100グラム
用途 絹縫糸の代用として和裁の本縫い、洋裁地縫いまつり、布団の地縫い
使用針 絹針4の2〜3、くけ針

(11)絹小町3本合わせ(布団とじ糸)

規格 絹紡績糸、26/2(S) 3本引揃え
強力 3,000グラム

用途 寝具、布団等とじ糸として家庭用小巻きと業務用大巻きの2種類があります。

使用針 布団針(業務用は2寸、2.5寸、3寸針)、大なげだし

(12)絹小町羽二(絹紡績ミシン糸)

規格 絹紡績糸120/2(Z)

強力 600グラム
形態 2000m スプール巻き

用途 絹ミシン糸の代用としてミシン本縫用に使います。
使用針 ミシン針No11



エンジン:前方より 完成したエンジンである。
前から見ても、構造物が少なく、余り面白くない。
クランク・ケースと後部補器の間に露出したギアがあるのだが、完成すると全く見えなくなってしまう。
しかし、見えない物も作り込むのはモデラーの心意気。

ちなみに、このギアは点火装置(マグネット)とオイルポンプを駆動する物のようである。

エンジン:後方より 後方より。
こちらを見ると良く分かるが、混合気は最後方に位置するキャブレターから中空シャフト(の筈である)を通り、クランク・ケース内部に導かれ、“J”型の吸気管からシリンダヘッドの吸気弁を通じてシリンダーに吸い込まれる。
このため、常にクランク・ケース内は気化した燃料で満たされることになり、爆発の危険を避けるため、混合気はかなり“オーバー・リッチ(対燃料比で燃料が多い)”状態で使用されたらしい。
点火装置が原始的なことも相まって、ミス・ファイア(失火)なども多かっただろう事が偲ばれる。

Le Rhone

e Rhone(ル・ローン) Le Rhone(ル・ローン)は、「史上初の実用星型エンジン」フランスの「Gnome(ノーム)」の末裔である。
第一次大戦後まで、さまざまなタイプが多用されたフランス製の空冷航空機エンジンで、当時の星型エンジンの例に漏れず、エンジン(クランク・ケース)プロペラが固定され、エンジンがプロペラと一緒に回転する「ピストン・ロータリー:回転星形エンジン」だった。
(“ロータリー”と言っても、現在マツダのものが有名な往復ピストンを持たない「ヴァンケル・ロータリーエンジン」とは全く異なる)
やはり、この構造は空冷シリンダーの冷却を確保するため考案されたものらしい。
第一次世界大戦で使われたフランスの「Clerget(クレルジェ)」や本機に搭載されるドイツの「Oberursel(オベルウーゼル)」といったエンジンはは、すべてノーム、というよりル・ローンを元にして改良されたものであったという。
 この写真は、秋葉原の交通博物館に展示されている物で、吸気管が前方に位置する、初期の低出力型の物と思われる。



エンジン補器とキャブレター 左の丸い物が補器類。 円盤上の左が点火装置(マグネット)、右がオイルポンプ。
丁度、この補器の真裏にこれらを駆動する遊星式のギアがついている。
大恒星ギアはクランクケース後方に突き出たプロペラシャフトを芯にしてクランクケースに固定されている。
この円盤部分までが機体に固定され、それよりも前方に位置するエンジン本体そのものがプロペラと同時に回転する仕組み(ピストン・ロータリー:回転星形エンジン)である。

左側はキャブレター(気化器)。左右の黒い部分が機体側面に露出する吸気口である。
キャブレター本体は指示通り“グレー74(RLMグレー・グリーン)”で塗装した。

シュパンダウ機銃 やっと、ここまでたどり着いた…
シュパンダウ機銃製作開始である。
左上の透明小箱に入っているのが、照準器、コッキングハンドル、マズルブースタ等の小物部品。その下が弾帯を固定するガン・ベルト・ガイド。
左下は初登場のホワイト・メタル部品、弾帯と薬莢受け。
本体右側の細い棒が本体内部に入る銃身部分である。

シュパンダウ機銃:実物 これは実物のSUPANDAU 7.92mm Machine Gun(シュパンダウ機銃)である。
この写真では、本機にはついている円錐状の銃口部分が装着されていない。
銃身長など、若干プロポーションも異なるので、Dr.1ではない機体に装着されていた物であろうか?


…以下、第3工程機体の前に機銃:2へ続く



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