愚行連鎖

GB Racer icon 飛行機大好き/Dr.1建造報告:2

工程:1/いよいよ開始


プロペラ 最初の工程は、ごく一般的な“プラモデル”セクションなので、特に重要な注意はない。
慎重に、丁寧に作業を進めればいいはずである。

説明書の順序とは異なるが、取りあえず、一つだけ別箱に入っていたプロペラから手を付けてみる。
下は何処にでもあるカッターナイフ。このプロペラの大きさからも完成品のサイズの想像がつくだろう。

プロペラ:パーティーション・ライン モールド型を使う成型品の場合、製品の取り出しに型を分割するので、このように必ず、型の継ぎ目が痕になって残る。
この「型の継ぎ目」をパーティーション・ラインと呼び、模型の場合、パーティーション・ラインと組立時の接合部分の段差・隙間を如何に綺麗に仕上げるかで完成品の価値が決まってしまう。

パーティーション・ラインを消す作業は通常、カッターナイフなどの刃を部品に直角に当てて削り落とし、その後、紙ヤスリや耐水ペーパーで仕上げる。必要に応じてコンパウンド仕上げなども施す。(塗装をつや消しや半光沢で行う場合はコンパウンド仕上げは行わない方が結果がよいようである)

プロペラ これがパーティーション・ラインを消して塗装仕上げした様子。

説明書では、下地塗装無しで“クリア・オレンジ”で仕上げるよう指示がある。しかし、パーティーション・ラインを消した場合、多少なりとも痕跡が残るし、研磨部分とそうでない部分の質感差も生ずる。そのままクリア仕上げをするのには多少無理があるのではないかと思う。
今回は“セミグロス(半光沢)・ウッドブラウン”で塗装してみた。
実機(レプリカ)の写真などでも、この程度の色のプロペラが多いようだが、印象としてはもう少し暗くても良いかも知れない。

プラパーツ 説明書に戻り、〔工程:1〕のエンジンの組立にはいる。
私の場合、取りあえず、パーツがランナー(枝)についた状態で目安となる色で下塗装を行ってしまう。
説明書には“黒鉄色”3:1“銀”でエンジン全体を仕上げる指示があるが、当時のシリンダブロックは当然鋳鉄製であるはずなので、“黒鉄色”にほんの少しの“黒”を混ぜた物で塗装した。
現存実機やレプリカのカラー写真でもシリンダーはほとんど“黒”に見える。

エンジン組立 クランクケースは…
三習工業株式会社と言うアルミプレスの会社のWebに…

「1917年(Dr.1の製造年) 日本で初めてダイカスト生産開始」との記述があった。
「日本で初めて」の記述からするに、「日本が初めて」ではなさそうである。
と、言うことは、同年の(先進国)ドイツの最新鋭軍用機のエンジンには既にアルミクランクケースが使われていた可能性は非常に高い…。

想像でしかないのだが、アルミかどうかは別として、恐らく何らかの「軽合金」のダイキャスト製法ではなかったかと思う。

参考: (社)日本アルミニウム協会にも「アルミニウムの歴史」と題した年表がある。

エンジン組立 クランクケース他のエンジン各部は、説明書にある色調では少々白っぽ過ぎるような気がしたので、やはり“黒鉄色”に“銀”を本の少量混ぜた物で塗装してみた。

写真はシリンダ・ブロックとインテーク・パイプ、シリンダ・ヘッドである。
インテーク・パイプは説明書通り“焼鉄色”そのままを使用した。(本当は吸気側が焼けることはないような気もするのだが…)
パーツ・リストにはインテーク・パイプと記述されているが、説明書ではエクゾースト・パイプとなっている。
エンジンの構造的にはこのパイプはクランクケースに入り、クランクケース後方にキャブレターが位置するので、これは「インテーク・パイプ」が正しいのではないかと思う。

エンジン組立 シリンダは左右二つを合わせて最中(モナカ)状に組み立てる。

前にも書いたように、こういった接合部分の隙間や段差を埋めるのが美しい模型を作る基本である。
多少はみ出る程度に接着剤を付けて圧着、完全に乾いたところではみ出た部分を成型するのが一番簡単である。
それでも隙間が出てしまった場合には、柄付針を使ってプラパテを埋込み、サフェーサー(パテをシンナーで溶いた物でも可)で均し、乾いたらシリンダ・フィンを傷つけないように気を付けて仕上げる。

エンジン組立 ほぼ完成したシリンダブロック。

真ん中のパーツには既にロッカー・アームを取付けてある。 ロッカー・アームのスプリングは鋼のバネの感じを出すために“メタルブラック”で仕上げた。
露出した点火栓(スパーク・プラグ)は碍子部分を“白”、ボディを“クロームシルバー”、端子を“金”で仕上げておく。
この後、シリンダ・ヘッドにはロッカー・アーム・コネクタ、ロッカー・アーム受け、インテーク・パイプ・フランジ等を取付ける。

エンジン組立 こちらはクランク・ケース側のインテーク・パイプ・フランジ。

このような小さく薄い部品では部品本体にはパーティーション・ラインは入らないが、モールド型から取り出す都合上、どうしても断面が台形になってしまう。
実機では通常、プレス抜きなどで作るはずの部品であり、断面は矩形でないとおかしいので、これも整形する。

エンジン組立 いよいよエンジンの組立である。

ここまで来れば、もう第一工程は終わったも同然。
塗装に傷を付けないように慎重に組上げればよい。

シリンダをクランク・ケースに接着し、インテーク・パイプとプッシュ・ロッドを取付ける。

ほぼ完成 エンジン部分、ほぼ完成。
この後、点火栓に絹糸でワイヤリングを施し、細部の塗装のタッチアップを行う。

気分によってはウェザリング(汚し塗装)を行うかも知れないが…
神経質で勤勉であったであろうゲルマンの整備兵が汚れや油にじみを残したままの機体をパイロットに預けるとは考え辛いので…リアルさを考えると、過度のウェザリングは考慮を要する。


…以下、第2工程/シュパンダウ機銃とエンジン補器(気化器)へ続く



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