所沢航空発祥記念館
連休の一日、家族サービスをかねて、所沢航空公園・航空発祥記念館へ出かけた。
(実は、ここにあるというGnomeエンジンの取材なのだが…)
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所沢市、西武鉄道「航空公園駅」にある所沢航空公園内には、航空発祥記念館がある。
この建物がそうなのだが、ジェットエンジンをイメージしたデザインなのだろうか…
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建物の正面には、往年の名輸送機C-46が露天展示されている。
輸送機 C-46中型輸送機(天馬)
乗員:5名
エンジン P&WR-2800-75 2,000PS×2
製作:ブラット・アンド・ホイットニー社
修理:三菱重工
機体製作:カーチス社
全幅:32.9m
全長:23.3m
前高:6.6m
自重:13.6t
全備重量:20.4t
最大速度:215knt.
航続距離:1,200海里
航空自衛隊の輸送機として昭和30年1月16日にMAPでC-46Dを初装備し、昭和34年12月22日にはC-46Aを輸入、最大保有数47機。災害時などの緊急物資空輸、空挺隊訓練、兵員輸送など広く活躍した。
なぜ、所沢に飛行機なのか。
丁度航空発祥記念館正面に当たるこの地点は、我が国最初の公式飛行場「所沢飛行場」の滑走路があったところなのだそうな。
この滑走路で1911年(明治44年)4月5日早朝、徳川好敏大尉操縦のアンリ・ファルマン機が初飛行を行った。
案内板によると
『この飛行は公式飛行場における日本最初の快挙であり、以来所沢は「日本の航空発祥の地」と言われています。』
とのことである。
後述するが徳川大尉の「日本初飛行」は1910(明治43)年、代々木練兵場での同じく“アンリ・ファルマン”によるものである。
滑走路があったところとおぼしき場所には飛行機(アンリ・ファルマン)のモニュメントが飾られている。
公園としてはかなり広大な敷地を持ち、スポーツを楽しむ人、お弁当を広げてピクニックの家族(あ、ウチもそうだ)。反対側の入り口では定期的に行われるというフリー・マーケットも開かれていた。
館内にはその時の様子を描いた絵画も飾られている。
アンリ・ファルマン(1909年)
全長:12m
全幅:10m
翼面積:40m2
エンジン:ノーム7気筒空冷回転星形50馬力
(初期型:ビビヌス直列4気筒)
離陸最大重量:600kg
最高速度:65km/h
この航空公園は、1909年(明治42年)の臨時軍用気球研究会の発足から陸軍の飛行場時代を経て、終戦で米軍基地として接収され、その後の基地返還で市民の憩いの場となったという歴史を持っている。
館内には主に自衛隊関連の機体が所狭しと展示されている。
この他に格納庫にも収蔵品があるらしいが、そちらは年数回の不定期公開。今日は見ることが出来なかったが、飛行機好きにはこの展示館だけでも充分楽しめる。
格納庫にはフォッカーDVIII(レプリカ)、スパッドS-XIII(レプリカ)等もあるらしい。是非一度見ておきたい物だ。
その他、多くの機体やエンジン、エンジンカットモデルなどを見ることが出来るが、今日の目的はGnomeエンジンなのである。
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これが“ニューポール”練習機の残骸、Gnome(ノーム)の末裔ル・ローン・エンジンと機体フレームの一部である。
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正面から。
この展示場の一角だけ、やけに照明が暗い…
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こちらは側面。
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正面至近。
前方吸気管型の低出力タイプである。
この展示物では、吸気管やプッシュロッドなどは復元されていない。
完全復元機体はこちら。
真っ暗だし、それに、どうして「絶妙な位置」に非常口表示灯があるかなー…
ニューポール81E2
フランス
練習機
ルローンC空冷回転星形9気筒(80馬力)
翼幅9.20m
全長7.20m
自重490kg
最大速度130km/h
航続時間3.5時間
上昇限度4,000m
乗員2名
美しく復元されたル・ローン。
ううむ…やはり吸気管はカッパー(銅)製なのか?
クランク・ケースは、残骸の展示では鋳鉄のように見えるが、この復元機ではどう見ても「軽合金の質感」である。
シリンダブロックもそんな色なので、これは塗装仕上げなのだろうか…
ル・ローン:シリンダヘッド。
こちらは吸気側である。
この長方形の穴に銅色の吸気パイプが接合されるわけである。
シリンダーヘッド。別角度。
天秤式のロッカー・アーム形状と点火栓の取付状態が良く分かる。
排気側より。
排気口が丸見えだが、これは部品欠損ではなく、元々排気システムはなく、この穴から直に排気される構造なのである。
シリンダブロック垂直線左右対称に点火プラグとほぼ同サイズのネジ穴がある。
全てのシリンダーに開いており、部品は付いていないが…
ツイン・プラグだったのだろうか?
暗くて見えにくいが、同じシリンダーブロックを撮影した物である。
当時、点火装置は極めて原始的なマグネトー点火式だったはずであり、複雑、かつ高度なツインプラグ方式を採用するとは少々考えにくい。
もしかしたら、普段は盲栓などを取付けた予備穴なのかも知れない。
手前に見えるのはロッカー・アーム。
これも吸気側の姿である。
そっと指を入れてみた(こら!)のだが、この展示物は外観のみで内部構造までは復元されていないようである。(バルブなどは入っていないようだった。)
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ニューポール正面写真の右上にちらっと見える赤い物…
やっぱりあった。
我が愛すべき“GeeBee Racer”である。
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機体番号NR2100、ゼッケン11。
GeeBee Racer R-1、スケールは1/10以上であろうか、かなり大きな模型である。
こちらはエントランスに展示される、会式一号機。
所沢飛行場で飛んだ日本初の国産軍用機である。
会式一号は、1911(明治44)年、徳川好敏大尉の設計・製作により日本で初めて作られた軍用機であり、前年に代々木練兵場で日本での初飛行に成功した“アンリ・ファルマン”を参考に、より高い性能を持つ飛行機との要求から、所沢飛行場内で製作された。
同機は、明治44年10月13日所沢飛行場で徳川大尉自らの操縦によって初飛行に成功、その後主に操縦訓練や空中偵察教育に使われ、同大尉の設計で4号機まで製作された。
用途:練習機
年式:1911(明治44)年
エンジン:ノーム空冷回転星型7気筒(50馬力)
翼幅:11.00m
全長:11.00m
自重:450kg
全備重量:550kg
最大速度:72km/h
航続時間:3時間
乗員:1名
駐車場で…
見学を済ませ、売店で購入したヒコーキを飛ばしたり、ひとしきり、芝生で遊んだ後、駐車場へ戻ると、お隣に大先輩が駐車していた。
かなりくたびれた風体だったが、えもいわれぬ風格と存在感がある車である。Landcruiser40は…
本日の戦果
所沢航空発祥記念館には公園の緑を眺めながら食事の出来るレストラン「ウイング」と、航空に関するグッズを豊富に取り揃えたスーベニアショップ「フライング・スピリッツ」がある。
今日はどうしたことか、外出時に必ず被っている帽子を忘れてしまったので早速これを購入。
かの“BlueImpulse”のロゴが入ったシンプルなキャップである。
その他、館内案内のパンフレット、子供客用のガイド、飛行機No.1図鑑/グランプリ出版 ISBN 4-87687-225-2 C2053 \1800Eと…
見つけた見つけた!
ほぅら!いいだろぉ〜!
GeeBee Racerのピンズである!!
お後がよろしいようで…
明日は、都内にもう一基現存するGnomeに逢いに、三男坊と連れだって、秋葉原は交通博物館に出没する予定である。