象牙…は買えないけど
GB楽器博物館
ブリッジピンを遊ぶ
牛骨加工中の骨粉…BSEは平気かな?
前々から気になっていた、PICKBOY のHand Made Natural Series と言うブリッジピンを入手。
型番はBP-150BN、材質は牛骨。他にローズや黒檀、水牛の角等もある。
プラスチックのピン抜き付き…別売りでは確か2〜300円。こんな物要らないからその分安くして欲しい物だ。
残念なことに、このシリーズ、ドットインレイは全て白蝶貝(風?)。
MartinのStyle28のピンのインレイは鼈甲柄である。
無ければ加工してしまえばいいのである。
物作りは、出来るだけ機械に頼らずに…と、思っているのだが、この作業は手道具だけでは少々難しい。
そこで出動、電動ハンドルーターである。
一般用の電動ハンドルーターには色々な種類があるが、今回の作業だと、下の小さな物が向いている。模型マニアに愛用者が多い“PROXXON”ミニルーターである。
インレイに使う鼈甲模様は、前回ピックガードに使ったタイマイシリーズの端材。
タイマイシリーズは弾力のある合成樹脂なので、手芸用の穴開けポンチで型抜きをして使う。
この方法は脆い貝類には使えないのが残念である。
MartinのStyle28のピン・ドットは2.5mmだが、今回は一寸派手にするため3mmの鼈甲柄板を切り出した。
右から
加工前のオリジナルPICKBOY牛骨ピン
見やすいように表面をフェルトペンで塗りつぶしてからルーターで深さ0.5mm弱、直径3mm強の穴を掘った物
3mmの鼈甲柄板を埋め込んだもの(未仕上げ)。
ルーターでグリグリして分ったが、このインレイの材質は樹脂ではなく一応本物の貝のようである。
さて、MartinのV(vintage)シリーズのブリッジ・ピン穴は弦通しの溝がないタイプ。
よってオリジナルの樹脂製ピンの弦溝はつまみ近くまで切れ込みが入っている。
PICKBOYのピンはテーパー部分のみにしか溝がないので、これもオリジナル同様の溝彫りを施す。
右から加工前のPICKBOY BP-150BN、Martin純正ピン、溝彫り加工を施したPICKBOY。
ルーターで骨を彫る作業…気分は殆ど歯医者さん、である。(ちょっとカイカン)
流石にハンドメイド(こら!)。以前、A.B.Manson用に黒檀のピンを買ったときも、3Set買って一つも同じ形が無く、結局6本分全て形から削り直したことを思い出した。
今回のはツマミ部分の形はそれらしく揃っていたが、テーパーのサイズの違いはもう笑いが出るくらいいい加減。
大体、ちゃんと入らないほど太い物まであった。
マスプロ流通する商品で、ここまで規格を無視できるというのも驚異である。
一応店頭で選んで買ってきたのだが、パッケージから出すと素材の色も、そりゃぁ黄色から真っ白までバラバラ…
このPICKBOY Hand Made Natural Series と言うブリッジピン、少なくともテーパーの摺り合せを行う意欲のある方以外お買い求めにならない方がよろしいようで…
ちなみにオリジナルMartinのピンは写真の程度に、元々根元まで入らない仕様になっている。
(これはそっと入れただけの状態なので、弦を張ってきちんと入れればもう少し奥まで刺さる)
かのトニー・ライスのD-28(前のオーナーは“あの”クラレンス・ホワイトだという)はピッキングの邪魔にならないようにピンが極限まで押し込めるように加工してあるそうだが…
ブリッジピンの出っ張りは結構気になる物である。
私の場合はピンを気にするほど上手くはないが、見た目、入るべき物がきちんと収っていないのはどうにも面白くない。
ツマミ部分まできちんと入るようにテーパー部分の摺り合せを施す。
弦を張った状態。
ドット直径が0.5mm大きいだけで、かなり派手な印象になる…が、こんなのは恐らく誰も気付かないんだよな、きっと…。
ピンの材質を変えるとギターそのものの音質も変る、と言う話であるが、はっきり言って、私には解らない。
まぁ、ナニが嬉しいって、合成樹脂よりも天然素材の方が気持ちがいいと言う位なのである。
(牛骨の方が硬いので、樹脂製のピンのようにブリッジ内でピンの弦当り部分が変形しないと言うメリットはある。いや、逆にブリッジに負担が掛かるか??)
こうなってくると、象牙!とは言わない物の、合成製品のナットとブリッジ・サドルがもの凄く気になってくるな。
最近のMartinのブリッジ・サドルはミカルタ(マイカルタ:Micarta)、ナットはコリアン(Corian)と言う合成製品が使われているのだ。
敢えてMartinが使う位なので特性的には優れるのだろう。でもねぇ…
最近のMartinギター。ナットはともかく、サドルまでしっかり糊付けされているのはいかがな物か。
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