点々はねーだろ!
GB楽器博物館
メリケンさんの美的センスはよう分からん…
さて、OM28Vである。
音やネックの握り具合はもう、文句無しなのだが、ひとつ気になっていることがあった。
ピックガードである。
Martinの鼈甲柄ピックガードは、どんな高級品であっても、同一の材質の物が使われている。
こだわって使っているらしいので、きっと特性が優れるのであろうが…
写真は拡大図。
ご覧のように、印刷丸出しなのである。
透明な材質の樹脂板に裏からパターンを印刷してあるのだが、なんと昔のグラビア印刷でもあるまいに、網掛けが点々なのである。
他のメーカーの楽器でこんな安っぽい印象の物を使っているのはついぞ目にしたことがない。
点々はねーだろ!点々はぁっ!!
ピックガードを剥がしてみた。
これはこれですっきりして格好良いのではあるが…
やはり剥がし跡とその他の焼け色の差はかなり目立つ。
ちなみに代理店の黒澤楽器のリペア価格表では、ピックガード剥がしは\10,000.〜と言う事になっているそうである。
私はステッカー剥がし専用カッターで注意深く糊の部分を切り剥がし、表板に残った粘着材をレモンオイルを使って丹念に除去した。
一万円でやって貰える作業なら、自信のない向きは頼んだ方が無難かも知れない。
個人的にOM型の小さなピックガードの形は大好きなので、やはり気に入った柄のピックガード材探しである。
もとより、ワシントン条約に規定された材料には余り興味がないので、合成樹脂製を探す。
最初の候補はリアルさでは定評のある“Tor-Tis 鼈甲柄ピックガード”
「色柄は、一枚一枚違い、サイズも面取り等手作業により仕上げられており多少違うのでで予め了承のこと。」と言う事なのだが、多少どころではない、Shop在庫を全て調べたがことごとく形が違う。それも1mm2mm等という可愛い物ではなく、5〜6mm以上の幅でばらついており、その上純正よりも小さい…
日焼けの水着跡の白い肌ってのは色っぽいけど…
ピックガードの白い跡は一寸、なのである。トーティスの色柄はなかなか素敵なのだが。
Shopのお奨めは、“Toi-Tis”よりもこちら、
大和マーク株式会社
製のタイマイシリーズ、290×180×0.5mm裏ステッカー付。
これなら好きな形にカットして使える。
店員氏によると、国産有名メーカーの高級楽器(オーダークラスまで)で多く使われている素材なのだそうである。
実際に装着されている現物も見せて貰った。材料は裏面に厚い剥離紙が貼り付いているので楽器に使用された物とは多少印象が違う。
切り出したピックガード。左がタイマイシリーズ。右が純正。
切り出した物の切り口を滑らかに面取り加工する。
これは根気を必要とする、かなり面倒な仕事である。
完成である。
純正よりもかなり黒っぽく、模様も天然鼈甲に非常に似ている。
ギターの顔とも言えるピックガードの色が暗くなって、ギターの印象も締まった感じがする。
使用前(左)、使用後(右)
…って、写真が小さく、暗くて良く分からない…
本人、一応満足、なのではある。
オマケ
ギターフレッシュマン諸君への教訓
悪い癖である。
ピックガードを買いに行ったのに、こんな物を見つけてしまった。
新入学セール大特価入門ギター!
なんと、Gotohの高級ペグワンセットよりも廉い…
(価値判断がペグの値段、と言うのがナントモである)
はっきり言って、この価格では全く期待していないし、楽器として使えるかもアヤシイ物である。
ただ、中高生諸君が初めての楽器として、このクラスを選ぶというシチュエーションは充分に考えられる。
ヲジサンとしては先人の責任を持って、このべらぼうな価格帯の商品を子細に点検してみるという名目で…
衝動買いをしてしまうのであった。
ソフトケース(楽器屋で良くサービスでくれるあれ、買えば2,000円程度はするだろう)、更に使えるかどうかはアヤシイがシールドまで付いて、D'Adarioのエレキ弦10Setよりも廉いギターって…
もちろん“Made in China”である。
ヘッドマークは“Photogenic”とある。
名前の通り、見た目と写真写りは本家Fenderに少しも劣らない立派な物である。
但し、ネックはメープル風の張り合わせ。
ボディは綺麗である。
パーツ類も、ボリュームノブなどは国内ブランドの廉価版などより良い仕上げとも言える。
ペグは無名のロトマチックだが、スイッチノブはオールドタイプの丸形。
プラスチックノブにランナーから切り離したまま仕上げて無かったり、ピックガードの切り口がヤスリ目はっきり残留などはご愛敬。
さて、チューニング…
びっくり仰天!合わないのである。
見事にネック順反り、アジャストナットの六角穴は精度が悪くてレンチが刺さらない…
無理矢理どうにか合わせて弦を押さえると…
ナット溝が全く合っていないので、1フレットを押さえるだけで音程にベンドが掛かってしまう!
フレット末端の仕上げが悪いので手を切ってしまいそうである。
ネックの反りも相まって、弦高が異様に高い。
お店の人は「問題があったらお持ち下さい」と言ってくれたが、ヲジサンは「問題があっても問題にするつもりはないです」と応えた。
この価格で「問題がない」方がおかしいのである。
さて、さて、ヲジサンはそんな覚悟の購入だったので、「シャレですよ、シャレ」で済むのだが、中高生諸君がなけなしのお小遣いでこれを買ってしまったら…
そして、初心者で、上手く弾けないのが楽器のせいなのか自分のせいなのか分からなかったとしたら…
これは悲劇である。
くれぐれも最初の一本は、ある程度信頼の置けるメーカーの品物を、責任持って選んでくれる先輩などに付き合って貰って買いに行くべきであるな。
今後の展開として、この糞ギターを、取りあえず「楽器」のレベルまで持ち上げるという課題が出来た。
さて、どこから手を付けるかな…楽しみが増えてしまったのである。
上手く行ったら、ストリングベンダーでもカマしてやろうっと!
意外や意外っ!
ナット溝をきちんと切ってみた。
アーレンキー(六角レンチ)を加工して、精度の悪いトラス穴に入る様にし、ネックの反りを調整してみた。
ブリッジ調整して、弦高を好みに(エレキにしては一寸高め)に調整し、オクターブも合わせた。
アンプにつないでみると…
いやはや、生意気にもちゃんと“テレキャスターのような音”がするではないか!
ハイポジで時々ピックアップが音を拾い損ねることがあるが、文句を言ってはいけない。
ミドルポジションの音程がかなり怪しい(若干のフレット音痴有り)が、贅沢を言ってはいけない。
何せ、「問題があって当たり前」の価格なのだから。
エレキ弦10Setよりも廉いギター…いじくり倒すオモチャとしては、これは結構面白い買い物だったかも知れない。
結構楽しいかも…
こりゃHipshot本気で考えようかなぁ。
ストリングベンダーは機械的に特定の弦をベンディングして、ペダルスティールのような音を出す装置。
Hipshotは中でもシンプルな構造で、テールに付けたレバーを腰で押して弦をベンディングする。
←これ
大がかりだが、ストラップベンダーの方が格好良いし、使い勝手は良さそうだが、このギターに付けるには少々金額が凄すぎ。
写真はFender純正ストリングベンダー。
ストラップピンがボディ内を通る長いレバーになっていて、ストラップで下げたギターをぐいっと押し下げるとてこの応用で弦がベンディングする構造。
中川イサト氏の000-18にはなんとアコースティック用のストラップベンダーが付いているそうな。
しかし、廉いHipShotでも、本体の2倍近い金額というのが笑えるが…
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