A.B.Mansonについて
このギターを“翡翠(カワセミ)一號”と命名しました。
英語で“Kingfisher”と言うとカワセミもヤマセミもイッショクタの様ですが、とにかくあの愛らしいカワセミが好きな物で…
釣り場で獲物を横取りされても相手がカワセミなら文句も言えない。
このギターに関しては、Martinで言う所の“21”と“28”の間に相当する位の仕上げなのでどちらかと言うと華麗なカワセミより一寸地味なヤマセミなのかもしれませんが…Kingfisher Spruce/Rosewood (OO-12 Fret Style) Guitar
warm sounding 12-fret design with slotted headstock.
14 1/2" lower bout, 10 1/2" upper bout, 3 7/8" maximum depth,
20" overall length, 1 3/4" neck width at nut and
24.9" scale length
詳しい事は分かりませんが、A.B.Mansonはイギリスの手工メーカーで、日本には数えるほどしか入っていないと思います。
求む情報私の知る限り日本に入っているのはこのモデルとDタイプ、オーディトリアム(オーケストラモデル?)の3種類位です。今は国内には扱っている所は無いのかもしれません。
(このギターの情報をお持ちの方はご一報を)![]()
元々が小さなメーカーらしく、ホームページによれば、ラインナップはこのKingfisher(OO Type)の他、D-Type、OM-Typeと000(14Flet)-Type、Jumboの5種類の様です。
(詳しくはこちらで→ A.B.Manson & Co.)
但し、セミオーダーで材質やPU組み込みの注文など、かなりいろいろな事をやってくれるようですね。ウチにあるCDの中にケルティックフィンガースタイルギターというのが有りまして、そのVol.2のジャケット写真にDuck Bakerと言うギタリストがこのギターとおぼしき楽器を抱えた写真が載っています。
知る人ぞ知る、と言った楽器なんでしょう。
きょうび東京の楽器店店頭で中古楽器が半年も吊るしてある事自体が珍しいです。
かなり癖のある(とても弾き易く音も抜群ですが…)楽器なので、欲しがる人は猛烈に欲しがるでしょうが、一般的ではないんでしょう。
形はMartinの“00”12フレットに似ていますが、キャラクターは全く違います。
音は小さく薄いボディからは想像出来ない位出ますが、音としてはMartinより繊細な感じかな?
メーカーの言う“warm sounding”って、ううむ、なるほどね。と言う音色です。比較的日本と環境が似ているイギリスの楽器なので、アメリカンギターよりも気をつかわないで部屋に出しっぱなしに出来るんじゃないかと…
それも欲しかった理由です。
黒沢楽器(Martin総代理店)の言うような厳密な温湿度管理なんて私にゃ出来ませんし、するつもりもありませんから。
(黒沢楽器は、ユーザーの管理ミスでの故障は保証対象外みたいな事平気で言います:普通の日本家屋だったらほっときゃ夏場平気で湿度7〜80%行く事あるぞ!)
なにより、Martin程高くないしね。
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Kingfisher-Iボディ シンプルなサウンドホール周りとOMタイプの小さなピックガードがおしゃれ。
指板はエボニーだが、ブリッジは特徴的な形のかなり厚くしっかりしたローズ製。ブリッジの形に合わせた曲線の木目取りをしてある。
サドルも通常のものよりも厚みがあり、一本サドルだが、最近の分割サドルの様に、頂点が6〜3弦迄右上がり、2〜1弦が別のラインで右上がりの2分割仕上げになっている。
力木の入れ方も独創的で、X構造ではあるが一般的なMartin式の物とは異なる。写真では見づらいが、裏板の中心を止める構造も通常の縦に1本通った当て木ではなく、1×2cm程の木片を5cm間隔ほどで一列並べに使っている。
表板の中心止めも同様の構造になっているようだ。
サウンドホール切り口を見るとかなり厚めのラミネートになっており、(通常の表板の倍程度の厚み、コレも切り口で木目をぴったり合わせてある!)サウンドホール周囲だけ厚みを持たせてある。
同じ英国製のローデン等にも見られる構造である。
このブリッジ周りとサウンドホール周りの剛性の高さ、ギター中心部の接合の柔軟さは音にどんな影響を与えているのだろうか?
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Kingfisher-Iネック ネックヒールは裏板に接触する部分がふくらんでハート(水滴?栗?桃?)型になっている。これもかなり色気があるデザインである。
裏板は通常ブックマッチ中心軸(接合部)にセルや木象眼等のストライプを入れて飾ってある物だが、このギターにはそういった飾りが一切無い。
これもかえって潔くて好感が持てる。
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Kingfisher-Iヘッド かなり大きめな角の尖ったスクエアスロッテッドヘッド。
弦巻きはイギリス製なのだろうか?かなり丁寧な仕上げの為された趣味の良いデザインの物である。
作りもしっかりしており、精度もなかなか良さそうである。調査の結果、この弦巻はシャーラー製である事が分かった。
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Kingfisher-Iヘッド裏 これまた写真では見づらいが、平らではなく、微妙な局面加工が為されている。
ネック幅(At Nut)は、通常12フレットモデルでは[47.6mm]が採用されている場合が多いようだが、これはドレッドノート等と同じ[42.9mm]でスケールは[632.5mm]となっている。
ネック形状はエレクトリックほどではないが、おや?と感じる程度の三角断面である。