愚行連鎖 SLB-200調整

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SLB-200調整

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Photo その可搬性と演奏性から一番出番が多いYAMAHA SLB-200だが…
実は押弦感が手持ちの楽器で一番重い。
一般によく使われる表現だと「弦テンションが強い」と言うのだろうが、個人的にはその表現は何か現象を正確に表していないような気がする。
何というか「イメージが違う」んだよねぇ
それはともかくとして、縦のベースでこの押弦感が重い原因はいくつか考えられる。

 1.全体的に弦高が高い
 2.下駒側の弦高が高い
 3.上駒側の弦高が高い
 4.指板の反りが小さい。

 4.は素人には調整が難しい。
 2.は調整がとても面倒。
 3.は調整の中では比較的楽な上、演奏性が格段に向上する。


楽器を手に入れると大抵どこかしらいじったりするのだが、手に入れてから5年を過ぎるSLB-200は今まで何故か全く手つかず、ストックのままだったことに気付いた。

もしかしたら上駒(ナットとも言いますな)が高いのかも…

もう一つ、友人のベース弾きDocさんの推論だが…

コントラバスだと右手で弦を引き絞った場合、ネックが少しそり、駒が横方向に引っ張られ駒の高音側の脚は魂柱を通して裏板を押し、低音側の脚は表板をボディの内側へ押し込みます。テールピースも捻られながらテールピースロープを引き延ばします。

これらの動きはごくわずかなんですけれど、表板やブリッジテールピースの動きはピチカートする時はそこそこ大きいので、コントラバスの場合、注意深く観察すると見て分かる程度に動きます。

これらの楽器自体のしなやかさは、楽器の個体毎にによって違うので、弦と弦長と音程を同じにして弦にかかる張力を同じにしても、弦を引き絞る時や押弦する時の抵抗感、つまり皆さんの使われている『テンション(感)』が異なるんです。

SLB200は、駒の両側に表板が変形し易くなる為の f 孔がなく、ボディとネックおよびその接合部が堅牢、特殊形状のテールピースで軽減されているとはいえ駒からサドルまでの距離が短いために、楽器自体の変形が少なく弦の弾性だけで弦の引き延ばしに対応する為、『テンション(感)』は、多くのコントラバスよりも強く感じるわけです。

これは説得力がある。

Photo ちょっくら調整してみるか…と計測。
んにゃぁ?
そんなに高くないじゃん。
と10月末、面倒になって中止してしまった作業を急に思い立って実行。

G弦 0.25→0.15
D弦 0.40→0.25
A弦 0.62→0.30
E弦 0.88→0.70

まで落とした。


もう一つ、
「弦長6に対しテールピースとブリッジの間が1」が目安
との情報を最近得た。

Photo 計ってみると
弦長1040mmのSLB-200だと173.3mm位に当たる。
ウチのSLB-200はストック状態で1040:165。6.3:1。
「SLBはその限りではないようです。」と言うことだが、コントラバスと違ってソリッド構造で楽器自体がしならないため、どうしても弾き心地(俗に言う弦テンション感)が硬くなるSLBは短く取っているのかも知れない。


Photoテールピースワイヤを伸ばすとテールピースとブリッジ間の弦長は短くなる。
そして(多分)フローティング構造になっているバイオリン系楽器のテールピースは弦の張力を柔軟に吸収するようになって弾き心地(俗に言う弦のテンション感)は低くなる。

ちなみに百鬼丸は1060:200。おおよそ5.3:1。
(これはテールピースを交換した時に「見た目が綺麗な位置」に適当に合わせたが特に不満はない)



Photo ついでにこっちもやってみよう。
テールピースワイヤは2mmアーレンキー(六角レンチ)で簡単に調整出来る。
正しい数値は道なので、様子見のため約10mm移動させ、1040:155。

結論。
こんな3〜40分もあれば出来る作業を何故今までやらなかったのだろう。
不精者は損をする。

たったこれだけの作業で別物のように弾き心地が柔らかくなったぞ。


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