前回、第一弾魂柱調整、第二弾駒脚調整作業をして、これが…全く違う楽器に思えるほどちゃんと音が出るようになったのだが…
ぶった切った。
まず、現状のまま、まっすぐ立っていなかった駒脚を摺り合わせ。
そして…
懸案であり、ずっと気になっていた、デザイン的にもみっともない「変な形」の駒そのものの「まともな形」への整形に移る。
実は、こういう「現在ある物を整形し直す」という作業は、実は「まったく新製する」よりも手間がかかるのだ。
両脚を切り離し、削り出す。
低すぎる駒そのものを誤魔化すために、下駄…というか帽子を被せる事にする。
素材としてt5のキルテッド・メープルの板を用意しておいたのだが、出来れば同一素材の方が気持ちが良いので、とても面倒だが、切り離した左右の脚のブリッジ部分をt6程度に削ぎだして使う事にする。
削ぎだした端材にアジャスター用の穴を穿け、タップを当て、ネジを切る。
液体膠で接着し、アジャスターを利用してクランプし、放置。
アジャスタブル・ブリッジ(調節式駒)は、調整ねじで余り高くし過ぎるとボルトの露出が長くなり、強度が下がり折れる危険性がある。
低くなりすぎた駒は、通常駒下に下駄を履かせる、と言う発想になるが…
アジャスターが付いているなら、ボルトの露出部を減らして強度を稼げば良い訳だから、駒下に下駄入れるよりも、上に帽子被せた方が良いかなと…
駒下だと駒から表板への直接振動伝達部分だが、駒脚のアジャスター下なら直接振動伝達部分ではないし、なにより既に調整してある駒脚裏を再調整する必要がない。
その上、何を思ったか、駒脚の下、表板との間にコルクが貼ってあった。
これが一番気になっていたことである。
やはり「極力鳴らないように」心砕いてるとしか思えない。
前段で魂柱調整(と言うか完全に位置変更立て直し)したら、これが殊の外、と言うか思った通り、鳴るようになった。
まぁ、この楽器は言ってみれば「縦のエレキベース」なので、電気拡声をかけたときに、無駄な振動からハウリングを起こしたりしにくい様、「わざと鳴りを押さえるためのミュート的役割」で駒にコルクを挟み込んだりしていたのかも知れない。
大音量の電気拡声を前提とすれば仕方ないのか?
しかし、曲がりなりにも生楽器に見えるモノとしてはいかがなモノかな…
駒上部の加工。
切り出して小さくなった駒脚に合わせて接合部を切り出し、ザックリ面取り。
接合完了した、下駄…というか帽子付きの駒脚を仕上げ、こちらも面取り。
と、文章にすると数行だが、かかった時間は約7時間…
疲労困憊してしまったので、厚み調整はまた次の機会に。
弾いてみると…
オリジナルの状態では「これだったら別にソリッドボディでも良いんじゃないか?」と思える程度で、駒調整第一弾でちゃんと箱が付いた楽器っぽい音になり…
今回の調整は「見てくれだけ」かと思っていたが、うんにゃ。これがね、やっぱりエラく変わるんだわ。
音そのものが丸くなって、これなら弾いててとても楽しい。
(フルボディのコントラバスと較べなければ…)
そもそもフォルムが美しいではないか、この方が。
やっぱりね、道具は最終調整が一番大事なんだよね。
何度も書くが、店頭渡しの状態は、もう、力一杯「出来る限り鳴らないように調整」してあった、としか言えない。
次は…ボディレストなんだが…
色々アイディアがあり、メモ書き散らしてるけどなかなか形が決まらない。
それよりもこの楽器、座奏だと丁度良い大きさなのに最近気づいた。
座奏ならボディレスト無くても楽器は安定するし…
ふむ…
立ち仕事がヤバくなったら、こいつにシフトかな。