百鬼丸の旅:2
寸法違いで返品したドイツ製マシンヘッド。
実は、返す前に全部バラして細部まで確認してみた。
何の事はない。
廉価版ベースに装着されている(多分中国製)コピー品と精度的には大して変わらない。
あ…返品する前に、分解写真撮影するの忘れてしまった…
(以下の写真は全て元々装着されていたコピー品)
違いはまず、ドイツ製のマシンヘッドには赤○の銅製ワッシャーが付いていなかった。
ドイツ製マシンヘッドではスパー・ギアはマシンヘッド台座プレートに直に接触している。
この銅製プレート・ワッシャーはウオーム・ギアにも掛かり、弾性によって適度な巻き上げトルクを発生させる意味もあるようだ。
詰まるところ、取り付け精度が悪ければ巻き上げトルクもヘッタクレもないのだが…
ただ、このプレート・ワッシャーのお陰でスパー側の動きは若干スムーズになっていると思われる。
スパーギアの仕上げに関しても、ドイツ製は「削りだしたまま」の印象で、面取り仕上げなどはしていなかった。
あとは、ウオーム(手で回す方の軸)に鍍金が掛かっているかどうかの差位。
ドイツ製は削りだしそのままで金属地肌剥き出しなので、部品の時点で必ずサビが発生している。(幾つかの店で在庫品を見せて貰ったが、必ず錆びている)
コピー品は鍍金が掛かっているので錆びる事はないが、鍍金そのものが下手くそなのでギア・エッジが鈍い…その分若干精度に差が出る位。
(下処理が悪い上に鍍金層が分厚いので鍍金膜がボロリと剥がれてしまう事がある)
スパー・ギア(弦巻き軸側)の仕上げなどはコピー品の方が質感が高く綺麗な位。
ギターの高品質マシンヘッドを見慣れた目からすると、そもそもがどちらもかなりイイ加減な造りなのであった。
ウオーム側の軸受けや軸、ペググリップそのもの、マシンヘッド台座に関しては一見しただけでドイツ製の方が数段質感に勝るが…
取り外した状態--単体で、実際にギアを回した感じは…
大して変わらない…
どちらもギター用のペグとは比べものにならないがさつな感じである。
見た目以外、殆ど交換の意味はなさそうである。
この手のマシンヘッドのギアのバックラッシュはどちらにしても、マシンヘッド台座によって決まるものではなく、スクロールヘッド(糸倉)側のペグホール穿孔の精度によって決まってくる。
(スクロールヘッドは複雑な曲面なので、マシンヘッドは歪めて取り付ける事になり、その時点でバックラッシュが決定する)
糸倉のペグホールの精度そのものを調整しないと、どんなマシンヘッドに交換してもギア・バックラッシュの精度は向上しない。
ペグホールのアタリを少々調整してみた。
これだけでもかなり弦巻き精度は向上する。
(これ以上はかなりの大手術になってしまうので、もう少し作戦を練ってから…)
百鬼丸の鼻…実質的には妖怪から取り返しても変わらなかった。
マシンヘッドは鼻だったんだ…
まぁ、顔で一番目立つところだし。