生楽器と電気拡声の考察
人にはそれぞれに異なる「いい音」があると思う。
例えば、フランスホットクラブの音なんかぺらぺらのじゃかじゃかのすこすこだが…
だがしかし…
ジャンゴはあの音でなければ気持ち悪い。
フルサイズ・アーチ・アコースティック・ギター(アーチ・トップ・ギター)の音だって悪い言い方と、言うか今流行の深いギターの音と比較したら、ぺんぺらである。
でも、あのペンぺらでないと気分じゃない。
万人にとってのいい音、ではなくて、演奏者のイメージ通りの音、ってのを電気仕掛けで出したい、と言うのがそもそもの私の発想なのである。
イメージを言葉で伝えるのはとても難しいのだが、私のイメージする音も、一般的な「ダブルベース」の音ではないのかもしれない…
ヲタッキーな例を使ってしまうが…
![]()
これは典型的ジャパニメーションの「可愛い」女の子。
まぁ、趣味・好みの問題は別として…
誰が見てもこれは「記号として可愛い」というのが解るだろう。
記号ではあるけれど、このキャラクターを「人間の女の子」として(恐らく)全員が認識してるはずである。
しかしながら…
![]()
二次元構成で表現されているアニメーションの可愛い女の子を単純に三次元化すると…
こうなってしまう。
ショーを見に来た子供以外は、これを「普通の人間として」認識するのは、多分難しい。
![]()
そして、それを普通の人間に置きかえるとこうなるわけですな…
つまり、音楽にも録音(二次元化された記号)と生(実体としてそこにある音)と言うモノが間違いなくあって、それは明らかに違う物なのだけれど…
(特に電子楽器とデジタルオーディオ普及以降その差が激しいことに気付いていない人がかなり多い)
生のステージでもある程度記号化された音を目指さないと聴く側は納得しないし、満足感も少ないのではないか…と。斯様に思うわけであるな。
ウッドベースのPizz.の音なんか、全くの生じゃCDみたいに明確に聞こえるわけがない。
あ゛…
私は決してアニヲタではない。
これは、たまたま日曜に早く起きたときに見たことがあるので…
し…知らないんだよ、アニメは…ホントに、知らないんだよ…
それはさておき…
詰まるところ、およそ聴衆と演奏者の間に電気拡声が存在する以上、そこには多かれ少なかれのデフォルメが必要である、と言う事が言いたい訳なのである。
今の聴衆(特に若い人)に「ほんとうの生のウッド・ベースの音」を聞かせてもまず満足して貰えないような気がするのである。