素人が出来るメインテナンス範囲第1段階
ギターは弾けば汚れます。汚れ、手垢を気にしていては練習もままなりません。
演奏中はそんなことは一切気にせずに、一日の終わりに必ず
弦を緩め(※1.)
乾拭きをする習慣をつければいつでも奇麗なギターを気持ち良く弾くことが出来ます。
ポリッシュケミカル(早い話がシリコンワックスだ)はMartin社の物がお薦めですが、表面塗膜の種類によって相性があるので、製造メーカーによる指定があればその製品を使うのが一番無難です。特にラッカー仕上げとサテン(つや消し)仕上げは注意が必要です。ラッカー表面を侵すポリッシュも存在しますし、基本的にはサテン仕上げの楽器にはポリッシュは使わない方が良いとされます。
ポリウレタン塗装のものならCRCポリメイトやアーマライト等のシリコンもディスカウントショップやカーショップで安売りしているので利用価値が高いですね。
これらシリコンポリッシュはラッカー仕上げに使ってもそれ程問題はないようですが、ラッカー仕上げは基本的に“高い”ギターですから、あまりケチらずに、やはり製造メーカーによる指定があればその製品を使った方が無難です。(そんなに量使うもんでもないしね)
どちらにしても乾拭きを基本に、ワックスの類は余り使いすぎずに、たまに補助的に使う程度が良いと思います。
塗装してあるボディやネックの一番良い磨き方は“水に濡らして固く絞った布”で手垢や煙草のヤニを拭き落とし、乾いた布で乾拭き、これに尽きます。
塗装していない部分、フィンガーボード(指板)やブリッジにはシリコンやワックスをつけない様にしましょう。(そもそもラッカー仕上げのギターにシリコンは御法度です)
塗装していない木部はシリコンを吸収し、万が一修理を必要とした場合に接着剤を受け付けなくなることがあります。
これら未塗装の木部にはレモンオイルを使うと良いようです。
レモンオイルは自然な艶出しと未塗装の木部の過乾燥によるひび割れ等を防ぎます。
写真上左がアーマーライト、右がMartinポリッシュ。
下左が家具屋で入手したシリコンポリッシュ、右がKyserのレモンオイル(廉い!)
この手のケミカルは、ポジション移動の時のノイズが減るのかな?
でも、あの“キュッ”と言うノイズも又ギターの味だと言えるかも知れません。
使ったことがないので成分も分かりませんが、弦と指の滑りを良くする物なので恐らくシリコン系でしょう。
と言うことは指板にとっては余り良い影響が無いと言う事になります。
いつも弾いているギターや、まんべんなく指板を使うプレーヤーなら必要ないかもしれませんが、余り弾かないギターや特定のポジションのみ多用するプレーヤーのギター、ノンカッタウェイのアコースティックだと14あるいは12フレット以上はフレットも曇ったり錆びたりします。
気持ち良く使うためにはたまにはフレットもクリーニングしましょう。
写真上左がピカール、右がコンパウンド(粗目、中目)。
中左が極細コンパウンド、、右がステンレス用研磨材。
下のチューブはプラモデルメーカー“タミヤ”のコンパウンド。(これが結構使いやすい)
ピカールやコンパウンドはラッカー塗装の細かなスクラッチ等を消すときにも使えます。(もちろんこすりすぎると塗装が剥げます。要注意)
ピカールにしてもコンパウンドにしても、要するにペースト状のヤスリ(研磨材)ですから余り使いすぎると良いことは一つもありません。
ポリウレタンは塗膜が厚く硬いので研磨材でスクラッチを消すのは一苦労です。
逆に傷も付きづらいのですが…
弦が切れてしまったのでギターを弾くのをやめた娘の話…何処かで読んだ事があります。(故伊丹十三のエッセイじゃなかったかな?)
弦は切れたら張り替えれば良いわけで、切れなくても張り替えなければいけないものです。
弦の寿命、これもユーザーの感覚によって人それぞれなので、何時間弾いたから取り替えるとは一概に言えないものです。
(プレーン弦が錆びると弾きづらいので替えた方が良いけどねぇ)
他のページにも書きましたが、嘘か誠か、かのライ・クーダは1年近く張り替えないとか。(もっとも、ライ・クーダはスライドの達人なので普通よりも弦は長持ちするのかもしれない)
ラグタイムギタリストの中には古くなって外した弦をわざわざ取っておいて、レコーディングのときにその古い弦を使うなんてぇ人もいるらしいです。
新しい弦のきらびやかな音はそりゃぁ気持ち良いですが、演奏する曲によっては死にかけた弦の枯れた響きが雰囲気になる事もあります。
弦を交換するときにはネックに対するストレスを減らすために、いっぺんに6本を外さない方が良い、と言う説があります。
しかし、楽器屋(かのM社の代理店のスペシャリスト)の経験豊富な店員でさえ店頭の高価な楽器の定期張替えに、ニッパーで一気に6本切り取ってしまってから張っています。
写真上にあるのは爪ヤスリとブリッジピン抜きです。
爪ヤスリは楽器店でも売っていますが、よくスーパー等で行われる「関の刃物市」の様なイベントで探すと廉くて良い物が見つかります。
左は小型ニッパーとストリングワインダー各種。
私の場合通常、弦は“ダヨンダヨン”に緩めているので6本全部外しても一気にネックにストレスが掛かることはない、という判断からです。
また、ブリッジピンと弦のエンドボールの噛み合いをサウンドホールから手を入れて確認調整するので、3本ずつ張ると最後に張った弦のブリッジピンの確認が出来なくなると言うのも理由です。
更にこの時に指板や普段弦の下になって掃除しにくいサウンドホール真下やブリッジの掃除もすることにしています。
通常弦を緩めない主義の方は最初の説に従って3本ずつ交換するのが良いかも知れませんね。
但し、張った後にペグ軸から余ってはみ出た余分な弦は見苦しいし、先端が危ないのでニッパーで切り取っておきましょう。
ところで、弦の値段って2〜30年前から余り変わっていないんですよね。
昔、学生時代はお金が無かったので死んだ弦を鍋で煮たり、錆びたプレーン弦を金属磨きで磨いたりして使った事もありましたが、今は相対的に弦の価格が廉くなっているのでこれは知的好奇心でやる以外余り価値が無い事でしょうね。
こうした手段で再生した弦はすぐにまた死にますし、ピッチも甘くなります。
ギター弾きとしては常に弦は2〜3セットはストックして置きたい物です。
( Topへ戻る ) ( 目次へ戻る ) ( 第1段階へ戻る )