愚行連鎖   ギターメインテナンス§1-a


弦の素材について

ギター弦に使用される素材の材質とその特徴

ブロンズ:Bronze
銅と錫の合金
アコースチックギターの弦としては最も一般的。
低音域から高音域までバランスがとれた音色。
合金率によって多少音質に差異があり、弦のパッケージには“80/20”等の様に記載される。数字は銅/錫の比率で、例では銅80%、錫20%の合金と言う事になる。
メーカーによっては“85/15”等と言う物もあり、錫の比率が高いほどきらびやかな音質になる。

銅(どう:あかがね:copper)
「あかがね」はくろがね (鉄)、こがね (黄金)、しろがね (銀)に対しての名称。暗赤色で、展性・延性に富む。電気・熱の良導体。元素記号Cu。
銅メダル等の製品はcopper medalではなく、 bronze medal(この場合の“bronze” は「青銅」ではなく、赤い「銅」である場合が多い) と表現される。

錫(すず:tin)
銀白色で光沢がある金属元素。展性・延性に富み錆びにくい。
食器・錫箔(すずはく)、メッキ・合金などに用いる。
元素記号Sn。これまた英語ではbronzeと表記される事がある。
英語で単に“tin”と言うと「ブリキ製の〜」と言う意味もある。
「お宝」で知名度の高い「ブリキの玩具」は“Tin-toy”である。
(ぶりき:bliKオランダ語=錫メッキ鉄板 [類]トタン:tutanagポルトガル語=亜鉛メッキ鉄板)

ブロンズ(Bronze)
青銅。元来は銅とスズの合金だが、現在では各種の銅の合金の総称。色は合金率によって異なり、黄(金)色から赤銅色まで。日本語の「青銅(せいどう)」は腐蝕し「緑青(ろくしょう)がわいた」青っぽく見える状態を現わしたもので、本来は茶系統の色になる。

フォスファーブロンズ: Phosphor Bronze
ブロンズ合金に少量の燐を加えた物。
燐の追加は本来、弦の寿命を伸ばすのものだが、合金率の変化により振動が変化し、高域倍音が増加、全体的にブロンズ弦よりもきらびやかな音色になる。
ブロンズ弦の黄色っぽい金色に対し、こちらは銅色が強く出た赤みかがった金色になるので区別出来る。

燐(りん:phosphorus)
非金属元素の一つ。天然には燐灰石(りんかいせき)として産し、動植物にも含まれる。有毒で酸化しやすく暗い所で見ると青白い微光を放つ。マッチ・肥料・殺虫剤・殺鼠剤などの原料。元素記号 P。

ステンレス:Stainless
鋼鉄とクロームの合金。
磁力に反応する素材のため、主にマグネチックピックアップを用いるエレクトリックギターに使われる。硬い素材の為耐久性があるが音色も硬くなる傾向がある。

鋼鉄(steel)
鋼鉄, はがね、鋼(こう)、スチール。炭素を含んだ弾力のある硬い鉄。

鉄(iron)
硬く、銀色の艶がある。金属中で磁性が最も強く、展性・延性に富み広い用途をもつ。まがね。くろがね。
元素記号 Fe
日本語ではこの硬い金属類に対して「鉄」の名称を広く用いるが英語では「鋼鉄」には通常「steel」を用いて区別する。

クローム、クロム(chrome,chromium)
金属元素の一つ。銀白色で堅く、空気中では錆びない。合金としてニクロム・高速度鋼などに使う。化学記号 Cr

ニッケル:Nickel
ステンレスと同様に磁力反応が良いため、エレクトリック弦に用いられる事が多い。 素材が柔らかく加工が容易で錆にも強い為、ステンレスよりも一般的な弦素材である。

ニッケル(nickel)
銀白色の金属元素の一つ。
展性・延性に富み、磁性がある。空気・水・アルカリに侵されない。合金・メッキなど用途が広い。元素記号 Ni。
米国・カナダの5セント白銅貨を指す事もある。

シルク&スティール:Silk & Steel
コンパウンドとも呼ばれる、巻弦の芯線と巻線の間にシルク(最近はナイロン繊維が使われるが…)を巻き付けた物で巻線には銀メッキした銅が使われる。
弦自体が柔らかく、テンションも弱く、音色は優しく柔らかいものになるが音量もまた小さくなってしまう。
巻線にブロンズを使ったシルク&ブロンズ弦もある。

シルク(silk)
蚕の繭から採った繊維から紡いだ糸、その絹糸で織った布。美しい上品な艶がある。

ナイロン(nylon)
一般名詞化しているが、もとはこれを開発した会社の商標名。
石炭などを原料とした化学合成繊維の総称。非常に軽く絹に似るがそれよりも強く弾力性に富む。衣料・釣糸などに用いられる。

銀(ぎん:silver)
白銀、しろがね。金属元素の一つ。白色の光沢があり展性と延性に富む。
酸化(腐蝕:錆)すると黒くなる。
記号 Ag。

ガット:gut
クラシックギターを“ガット・ギター”等と呼ぶこともあるが、これはかつてギター弦に“ガット”が使われていたからである。
湿気に弱く、音も地味で小さく性能が不安定な上、高価なので、第二次世界大戦後巨匠セゴビアが使い始めたナイロン弦が普及すると、ギターの弦としては一気に衰退してしまった。
とはいえ、現在でもバロックギターやリュート等の古楽器にはガット弦の音が一番似つかわしいし、クラシック系のバイオリン属奏者、一部のジャズ・ベーシストなどにはガット弦を好んで使っている人も多い。
ガット弦には、撥弦楽器(はじく楽器)用のワニス仕上げと、擦弦楽器(弓でこする)用のオイル仕上げの2種類がある。

ガット(がっと:gut)
動物の腸、普通は羊、テニスラケットのガットも同じ。
羊の腸の中身を除去して薄い膜の筒にし、引き延ばして撚ったもの。
腸詰め:ソーセージの外側の袋としても使われる。

その他:Other
最近は特殊な熱処理をした物や。巻弦の上から合成樹脂をコーティングした物等もあるようだ。
まだ使ったことがないのでこれらに関しては良く分からない。
コーティング弦に関しては「ノイズが減る」とか「寿命が飛躍的に延びる」等の評があるようだが、果たして…

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