GBのアームチェアCinema見ist:DESTINY 鎌倉ものがたり

DESTINY 鎌倉ものがたり

DESTINY 鎌倉ものがたり

監督 山崎貴
脚本 山崎貴
出演 堺雅人/高畑充希/堤真一/安藤サクラ/田中泯/中村玉緒/市川実日子/ムロツヨシ/要潤/大倉孝二/神戸浩/國村隼/古田新太(声)/鶴田真由/薬師丸ひろ子/吉行和子/橋爪功/三浦友和
音楽 佐藤直紀
主題歌 宇多田ヒカル「あなた」
原作 西岸良平『鎌倉ものがたり』
製作 2017


年末は観たい映画沢山あるから、一所懸命通わないとね、とカミさん。
そんな訳で日曜日、映画-Live演奏-映画と言う超過密スケジュールとなった。

その1:年末日曜日午前の部

『鎌倉ものがたり』は、『まんがタウン』(双葉社発行)に連載されている西岸良平の漫画作品。2016年6月現在、コミックスは33巻まで発行している。第38回日本漫画家協会賞大賞受賞作品。

あの山崎組、ROBOTの作品、美術:上條安里、VFXディレクター:渋谷紀世子と言う“真性ヲタク集団、鉄壁の布陣”だからなぁ。
画面の隅々までこだわりぬいた絵面作りはいつもの通り。
演技陣も新作故の主演グループ以外は三丁目から続く不動のラインナップ。
そして、いずれもが好演。

上映時間 129分と邦画にしては長い。と言うよりもこの監督の作品はどれも長めのようだ。
決して飽きたり退屈したりすることはないが、もう少しコンパクトにまとめても良かったかな?

Part-2に名作無し、とはよく言われるが…
このチームが作った希代の傑作、最初の「三丁目」封切り時に監督は「続編は絶対に作らない」と言っていたと記憶している。
しかし、三丁目は続編どころか三部作になった。
流石に平成の寅さんの様な作品になる…にはもうネタが厳しいよな、と思っていたら、こう来たか。

この「鎌倉ものがたり」、西岸良平の原作漫画を、実は読んだことがないのだが…
同作者の三丁目の夕日と同じような短編連作のようだ。
本作はモチーフを使っているものの、設定やストーリー(と言うモノが映画的尺で果たしてあるなら)はかなり変わっているらしい。

原作至上主義者や映画ストーリーに大きな意味を求める向き以外は、充分に楽しめるだろう。

心温まる壮大にして荒唐無稽なる愛のファンタジー。
そして、大いなる類型。
もう、予定調和するしかない作品にストーリーがどうのとか展開がどうのとか仰る高尚な映画マニアにはお勧めしない。
まぁ、「これぞ日本の現代特撮」「大人から子どもまで家族揃って楽しめる」と言った形容が似合う、まさに「ニッポンのお正月映画」と言って良いだろう。

これもずっとチームを組んでいる作曲家、佐藤直紀の最初些か大げさかな?と一瞬感じた劇伴だが、いやいや魅力的な旋律とオーケストレーション、実に本作にマッチしている。
山崎監督のシアワセには、相性の良い優れた音楽家との出会いもその一つを数えることが出来るだろう。

最初の三丁目の時にエンドロールで流れる歌曲が本編をぶちこわしだと思ったが、二番目の三丁目以降の選曲では悪くはないと思えるようになって、この作品では違和感無しに「うん、なかなか良い」と感じた。
別に宇多田が好きなわけではないが、やはり才能はあるところにあるのだ。

しかし、この人の作品タイトル、験担ぎもあるらしいが、英単語+日本語という組み合わせ、何度も書くが、ホントに何とかならんかな〜…
言いたいことは解らなくもないのだが、センスが良いとは決して思えない。


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