GBのアームチェアCinema見ist:ALWAYS 三丁目の夕日'64

ALWAYS 三丁目の夕日'64

ALWAYS 三丁目の夕日'64

監  督 山崎 貴
主  演 吉岡秀隆、堤真一
助  演 小雪、堀北真希、三浦友和、もたいまさこ、薬師丸ひろ子
脚  本 古沢良太、山崎貴
音  楽 佐藤直紀
主 題 歌 BUMP OF CHICKEN『グッドラック』
製 作 年 2011
原  作 西岸良平「三丁目の夕日」(小学館:ビッグコミックオリジナル連載中)


いつか見た…
蒼い空に5つの輪が浮かぶ。

'64…昭和39年。前作の「もはや戦後ではない」昭和30年に入ったばかりの頃。私は生まれてはいた、いたがその時代の印象はおぼろげにあるか無いかである。
1964年、夢の超特急と言われた東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開かれ、まだ一般の家にはなかったカラーTVで「ひょっこりひょうたん島」の放映が開始された年…

出来たばかりの環状7号線の脇で遊んでいた時、大空に描かれた5色の輪を見たことをはっきりと覚えている。

前作から約5年後の1964年(昭和39年)、東京オリンピック開催の年を舞台としている。

戦後に見事な復興を遂げ、オリンピックの開催国となった日本は、高度経済成長の真っただ中にあり、熱気にあふれていた。開会式の日、航空自衛隊のブルーインパルスがアクロバット飛行をすると、真っ青に晴れ渡った空に五輪マークの飛行機雲が浮かびあがった。
今作から3D仕様となっている。
敢えてアクションでもSFでもない本作にあのVFX職人と言われた監督は何故立体映像を選んだか…

これは是非3Dで観たいと思った。

“飛び出す”より“奥行き”表現…か…

ALWAYS 三丁目の夕日'64 実は、かなり楽しみにしていた、と言うのは事実である。

こんなのを買って予習をしていたのは…特に隠す必要もない、か?

「ALWAYS 三丁目の夕日'64」ナビゲートDVD『帰ってきた、夕日町のひとびと』



なかなか劇場に行く時間を取るのが難しかったので、日曜のレイトショー、3D上映を選んで出かけた。

そして、それは正解。
本作は是非3D上映を観るべきであろう。

立体映像がドンパチシーンの迫力のためだけではないという方向を示唆しているように思えた。
また、眼鏡を外せば全体にハイトーンで撮影された映像が解る。スクリーンの暗さが余り気にならない、と言う配慮も特筆すべきだろう。


ALWAYS 三丁目の夕日'64 お話については…
そもそも映画や本の感想に私は筋書きを書くことはない。
まだ観ていない、読んでいない人の楽しみを奪うことは出来ないから。

しかし、本作はいちいち筋書きを要約したり説明したりする必要も意味もない作品なのだと思う。

一貫して、市井の名もない人々の日々の、他人から見たら気にする必要もない小さな出来事を綴っているだけだから。


第一作目を見た時、2005年ににこんな感想を書いた。

お話そのものは、夕日町の人々の、特に何の変哲もない生活を季節の一回りに沿って綴ったもの。
何の変哲もない、ただの生活。
便利な物が少しずつ生活に入ってきてはいるが、人々は貧しい。
貧しいけれど、支え合って、そして明日への大きな希望を抱いて力一杯生きている。

そこには若き日の私の親父やお袋がいた、幼い頃の私が、いた…

画面一杯に溢れる、物や金では満たすことが出来ない豊かな優しさも…

衝撃的な事件があるわけではない、派手なアクションが展開されるわけではない、人死にもなければ、スペクタクルも大ロマンスも悲劇もない。

しかし、小さな小さな優しさや触れ合いで、こんなにも涙が出るのは何故だろう。

カミさん、息子と三人で笑い、そして泣いた。

沈んで行く夕日は、おしまいを象徴するものではない。
明日の朝日へと続いて行くものなのだ。

この映画はこの時代を知らない若い制作者達からの贈り物。
これはもしかしたら、日本映画の宝物になるかも知れない。


ALWAYS 三丁目の夕日'64 本当にこのシリーズは日本映画の宝物になったのかも知れない。

相変わらずの茶川さん、小さな幸せを見つけたヒロミ、鈴木社長の怒髪天は健在、それをしっかり押さえるトモエさんも…そして、オヤジの追撃を軽くかわせるようになった一平、自分の道を見据えて歩き出す淳之介が、煙草屋のキンさんも、安心をもたらす存在の宅間先生も…いた。

今回も一緒に行ったカミさん、息子と三人で笑い、そして泣いた。
第一作目から一緒に観ている三男坊が三丁目の子供達と同じ年齢。
リアルタイムで育ってきた子供達の姿も又感慨深い。


ALWAYS 三丁目の夕日'64 「幸せとはなんでしょう」

高度経済成長?全員で上を向いて力一杯頑張る人々の傍らで静かにつぶやいた宅間先生のセリフが心に沁みる。

この作品の特徴として、舞台装置、大道具小道具の考証が限りなくマニアックであることが上げられる。
今回もその特徴は強く継承されている。
しかし、そんな事は実は些細なことなのだと。
(風景や風俗、乗り物、特に一平達のエレキバンドが使う楽器には一寸感動したけどね)

衝撃的な事件があるわけではない、派手なアクションが展開されるわけではない、人死にもなければ、スペクタクルも大ロマンスも悲劇もない。

その上悪い奴は出てこない。
(2作目で例外的に詐欺師が登場したが…)

そんな庶民の小さな幸せを泣いて笑って楽しめればそれで良いのだ、と。


希代の傑作、最初の「三丁目」(しかし、このalwaysというタイトル、何度も書くが、ホントに何とかならんかな〜…)封切り時に監督は「続編は絶対に作らない」と言っていたそうが…
本作で3つめ。これは平成の寅さんの様な作品になる(なってしまう?)のだろうか?



今回は最初から3D目当てだったのでReal-D方式上映館を選んだ。

Dolby 3D X-Pand 3D


X-Pand方式(右)は眼鏡が重い。
電源内蔵でレンズ間のフレームをタッチすると偏光シャッターが解放されて視野が明るくなると言うギミックは評価出来るのだが、とにかくあの重い眼鏡は苦痛である。
DOLBY-3D。(左)はX-Pand程眼鏡が重くなく、レンズも明るいのだが…
眼鏡フレームの形状が眼鏡使用者を無視している。
途轍もなくかけにくい上、テンプル(ツル)の造りが粗雑で耳が痛くなってしまう。

どちらも2Dよりも高い入場料を払ってまであんな苦痛を強いられたくない、と思ってしまうのである。

masterimage 3d imax

masterimage3d(左)はそこそこかけやすいが、上映館が少ない。
(Real-Dと完全ではないが互換があるらしい)

imaxは…こちらも上映館が少なく、私は経験がない。

Real 3D Real 3D

Real-D方式も勿論売価100円かそこらのフレームなので作りは評価する程のモノではないが…
眼鏡の上から掛けてもそれほど辛くはない。
何より、3D眼鏡が貸出返却制から買取制に変わる前から眼鏡人間対象に「マイ眼鏡」として、前掛けフリップ式のレンズを販売していた。
(数年前に劇場で見た途端に買ったことは言うまでもない)
この気遣いが嬉しい。
つまり、眼鏡を掛けた身からすると3DはReal-D方式が一番快適なのである。


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