GBのアームチェアCinema見ist:火垂るの墓
監 督 高畑勲
音 楽 間宮芳生・徳間ジャパン
製 作 年 1988
製 作 新潮社・スタジオシブリ/配給・東宝
原 作 野坂昭如(新潮文庫刊)
シナリオ 高畑勲
併映:「となりのトトロ」
埴生の宿は「ビルマの竪琴」でも大変印象深かった曲である。というよりも、[ビルマの竪琴」はこの「埴生の宿」と言う曲がなければ成り立たなかった作品である。
本作でもこの曲、「埴生の宿」(歌:アメリータ・ガリ=クルチ)が極めて効果的に使われ、ラストシーンの感動を盛り上げている。
「火垂るの墓」においては映像以上に音楽がでしゃばる事が許されない雰囲気があり、音の無い静寂が素晴らしい効果を作り出していた。
この挿入歌「埴生の宿」はラストシーンの悲しさ、そして明日への希望(これからの日本、兄妹の来世)を暗示させ、何とも言えないものでした。
高畑勲の火垂るの墓では、戦争が終わって疎開から一家が戻った丘の上の高級住宅から聞こえてくる蓄音機の埴生の宿のメロディが、二人の戦災孤児の終の住処となった穴に響く。
おお、我が宿よ楽しとも頼もしや
と言う歌詞の流れる穴蔵には幼い兄妹は既にいない。
蛍の光は美しくも短く燃えつきるのだ…
原作者野坂昭如氏をして「アニメ恐るべし」といわしめたこの作品は、わが国のアニメーションの中で出色の傑作と言いきることが出来よう。
これはまさに「珠玉の」と言った形容がふさわしい作品である。
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