新・闘わないプログラマ No.452

バッテリ


ソニー製のリチウムイオンバッテリの発火の問題はかなりおおごとになりそう、というかもうおおごとになっているような気もします。
デル製のノートPCが燃えた事件は有名ですが、「最近のソニータイマーは派手だな」とか「こんどのソニータイマーは壊れるだけじゃなくて、証拠隠滅機能まで付いているのか」とか世間では揶揄されていますね。あ、「ソニータイマー」っていうのは、解説するまでもないかも知れませんが、
「ソニー製品は、保障期間の1年を過ぎた直後になぜか故障が多発する。製品にわざと壊れるようにするタイマー(=「ソニータイマー」)を仕込んであるに違いない」
と、よく壊れるソニー製品を揶揄するときに使われる言葉です。で、
「そうなの? ウチの○○っていうソニー製品、もうかれこれ10年近く使っているけど、まったく壊れる気配無いよ」
などと言うと、
「それ、ぜったいソニータイマーが壊れてるって。いちど点検してもらったら?」
などと、追い討ちをかけるようにさらに皮肉を言ったりするわけです。ちなみにうちのソニー製品はと言うと、ベータのビデオデッキ(20年以上前の機種、ここのところほとんど使っていない)と、テレビ(10年以上前の機種)はソニータイマーが不良品だったようで、いまでもとりあえず動いています。

ところで、電池のことを英語では「battery(バッテリ)」と呼ぶわけですが、日本語で通常「電池」と言うとなぜか一次電池(充電のできない電池)のことを指して、「バッテリ」と言うと二次電池(充電して繰り返し使える電池)のことを指すことが多いようです。ここでも、とりあえずその習慣に従っておくことにします。
ちなみに、「電池」を意味する英単語には“battery”のほかに“cell”があります。通常目にする形の電池のことはbatteryと呼び、その中にある電池の素子(?)のことをcellと呼ぶようです。たとえば、006Pという9Vの角型の電池(battery)がありますが、これをペンチかなんかでむりやり分解してみると、6個の電池(cell)が直列に接続されているということがわかります。つまり1個のcellが1.5Vなので、これが6個直列に接続されていることにより9Vのbatteryになっている、ということですね。

話が逸れてしまいました。バッテリの発火問題に戻ります。
バッテリはエネルギーを溜めておくための容器とも言えるわけで、そこに溜まっていたエネルギーが制御できない形で熱エネルギーとして外部に放出すれば、当然のことながらこのように発火してしまったりするわけです。
そもそもバッテリは、小さくて軽くて、それでなおかつ多くのエネルギーを蓄えられるものが望ましいわけですが、そうすると、小さなバッテリに多くのエネルギーが集中してしまうことにもなる(エネルギー密度が高い)わけで、より危険なバッテリになってしまいがちです。
重いバッテリを付けたノートPCを持ち歩いている身からすれば、もっと小さく軽く、それでいてPCが長時間稼動するだけの電気を蓄えておけるバッテリが欲しいわけですが、そうするとエネルギー密度が上がり結果として危険性も増すわけで、なかなか難しいところではありますね。「○○Vで○○Ah以上のバッテリは飛行機の機内に持ち込み禁止」なんてことになったりする可能性もあるわけで(っていうかそういう規制が今にも始まりそうな気配も)、ううむ。

話は変わりますが、いま携帯用機器のバッテリと言えばリチウムイオンバッテリが一般的(というか、それ以外はほとんど無いのではないかと)ですが、これの長所には「エネルギー密度が高い」とか「自己放電が少ない」とか「メモリ効果が無い(ことになっている?)」とか、そういうのがありますが、いかんせん値段が高いという短所があります。
私の場合、電話機とかデジカメとかノートPCとか、携帯用機器のバッテリについては、基本的に予備バッテリを買うことにしていますが、結構なお値段するので、その点が痛いですね。しかも、バッテリ(や充電器)は基本的にその携帯用機器専用で他に使いまわしができませんから、資源の無駄ですし、旅行などに行くときにも荷物が増えてしまい、困りものです。
そんなおり、先日PC watchで、「モバイル機器はUSBで充電したい」という記事を読みました。最近はUSBから給電できる機器が増えていて、個別の機器専用の充電器をいろいろ持ち歩かなくてもよくなりつつあり、それは歓迎すべきことです。そして、その記事の中で紹介されていた、APCの「モバイルパワーパック(UPB-10JP)」という製品が気になりました。バッテリにUSBコネクタが付いていて、そこから給電ができる製品で、記事によれば、そのバッテリに充電するためのACアダプタにもUSBコネクタが付いていてそちらからも(「保証範囲外」とは言え)給電できるようです。
つまり、AC電源が確保できるところでは、「ACアダプタのUSBコネクタから給電」「バッテリに充電」、AC電源が確保できないところでは「バッテリのUSBコネクタから給電」ということができるようです。これは旅行に持っていくのによさそうな製品です。いままでにも似たようなバッテリ製品はありましたが、給電するコネクタがUSBではなくて独自のものだったりして、専用ケーブルを買わないといけなく使い勝手がいまいちでした。
ただ、この製品で残念なのがACアダプタがちょっと大きいことでしょうか。どうせなら、バッテリ部分とACアダプタ部分を合体して1つの筐体にしてしまって、AC電源に挿しているときにはそこから給電、挿していないときにはバッテリから給電、と自動的に切り替えられるようになっていると便利ではないでしょうか……って、よく考えたら、それって機能的にはまさにUPSもどき?

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