先日、ある会社のある場所にサーバ機を10数台設置しました。設置スペースがあまり取れなかった、とのことで1Uのラックマウント型のサーバ機をラックに入れて、ということにしたそうです。具体的にどんなものか、と言うと、こんな感じのサーバ機を、こんな感じのラックに収納しました。
最近は、サーバ機を導入するにしても、タワー型の筐体の場所をとるようなやつではなく、ラックマウント型やブレード型というのが流行りになってきたようです。確かに、1つのラックに何十台ものサーバ機を収納できるため場所を取らないですし、配線もすっきりさせることが可能ですし、流行ってきたのも頷けます。
さて、先日設置した(←って、私が力仕事して設置したわけじゃないですが)そのサーバ、問題は設置場所にありました。そもそも設置できるスペースが限られているからラックマウントにしたのですが、実際に設置された場所をみて驚きました。事務フロアの、誰かが座る机のすぐ後ろ、1メートルほどのところにあるではないですか。そして、ラックの右側面と背面のすぐそばに人が座るような配置に……。
まだ電源が入っていない状態(設置時には確認のため電源を入れたのでしょうけど、それは休日で人のいないときでした)でして、ちょっとした作業するためそこに行ってはじめて、私はその設置場所と机の配置を知りました。もっと前に知っていたら、こんな場所に設置するのは反対したのですが。だって……。
とりあえず作業をするために、全サーバ機の電源を入れて行くと、
「ぐごごごごごっ〜」
とものすごい音を事務フロア全体に響かせてサーバ機が起動しました。そして、人の気配を感じてふと後ろを振り返ると、そこには人だかりが……
「え? うるさいですか? やっぱり? だから、事前に言ってもらえればこんなところに置くことには反対したんですが」
「いや、今日はすぐに止めますけど、来月あたりからは365日24時間、この轟音を出し続けますけど」
「だから、なんとかして、と言われましても、なんともならないんですが。ここにこの機種を置くことにした人に相談してくださいね」
「え? 暑いですか? そりゃあ、ラックの背面からは熱風が出ますからねえ」
ラックマウントのサーバ機は場所を取らないという利点はあるのですが、何せ音がうるさいわけです。1Uの機器ですと高さが約44ミリメートルしかありません。非常に薄っぺらい形をしています。この中に通常のPCと同様の部品を詰め込まないといけませんし、だからと言ってノートPCのように性能を犠牲にするわけにもいきません。
となると、発熱は多いは、薄型だから空気の流れは悪いは、で、冷却はかなりやっかりになります。そこで、強力なファンを付けて強制的に冷やしてあげないといけないことになり、ファンの音が大きくなり、また風切り音も大きくなってしまいます。しかも、筐体が薄型ですから、ファンも小口径にならざるを得ず、風量を増やすためには回転数を上げないといけないことになり、ますます騒音が激しくなってしまいます。
そんなわけで、ラックマウント型サーバ機を事務フロアにそのまま置くのは自殺行為なのではないか、と思われるわけです。そもそもこういうのは専用の機械室かなんかに置いておくように設計されていて、騒音のことは基本的に考えられていない(もしくは、設計上の考慮点の優先順位が非常に低い)、という話を聞いたことがあります。
事務フロアに置くのでしたら、邪魔だろうがなんだろうが、やはり筐体の大きい機種を選んだほうが身のため、というのが、このお話の教訓でした。
話は変わって、去年、家に置くサーバ機を新たに作るにあたって、最初はキューブ型ケースのような見た目のいいやつにしようかなあ、などと思っていたのですが、いろいろ調べてみたところ、「キューブ型はうるさいよ」という情報を得まして、オーソドックスな、余計なもののほとんど付いていないケースにしました。4000円くらいの安物(電源付きで)で、作りはかなりチャチだったのですが、「騒音」という面ではこのケースは「当たり」でした。電源のファンの音も、ケース本体に付いているファンの音も非常に小さく、夜中の静かなときでも全然気にならないくらいです。思わず、サーバ機じゃないPC用に、もう1個買ってきたくらいです(←最後の1個でした)。
今は、その同じケース2台を並べてラックに入れて使っています。問題は、見た目がまったく同じなので、サーバ機じゃないほうの電源スイッチやリセットスイッチを押そうとして、サーバ機のスイッチを押しそうになってしまうことくらいでしょうか。
いや、実際に何度か間違えて押してしまいました。危険なので、今はサーバ機の方のスイッチの手前にブラスチックの板を貼り付けて押せないようにしてあったり……。