思ツタコト No.22

フィルム


こういう冗談があります。
「フィルムの発色のちがいなんだけど、フジのフィルムは緑が強く出るんだよね。コダックのは黄色が強く出るんだよ。あと、コニカのフィルムは、以前『サクラカラー』って言っていたころは赤が強く出たんだけど、最近は青だね。こういう発色の違いを覚えておくといいよ」
私も、ある人物がこれに近いことを本気で言っているのを聞いたことがあります。で、これのどこが冗談かと言いますと、これ単に、フィルムのパッケージの色なんですね。それをフィルムの発色の違いとして、したり顔に言っているところが冗談なわけです。

私もよく「○○のフィルムは○色が強く出る」というような話聞くことがあるのですが、これっていったい何なんでしょうね。そもそも、この話ってほとんどネガカラーフィルムでのことを言っているようなのですが、ネガカラーでそんなこと簡単に分かるものなのでしょうか。ご承知のように、ネガカラーの場合は、フィルムを現像したあと、印画紙にプリントする段階でカラーバランスは如何ようにも変えることが出来ますし、「○色が強く出る」なんてのは、その段階を経ての話ですからね。
はっきり言って、私はネガカラーの発色の違い、というのがまったく分かりません。もちろん、違いは当然あるのでしょうけど、プリントだけを見ただけでは、そんなの私にはわかりません。そもそも「○色が強く出る」なんてのは単にカラーバランスが崩れているだけで、発色の傾向の違い、とは違うと思うんですけど。

まぁ、私もリバーサルフィルムの各銘柄の発色の傾向は分かります。現像後のフィルムをぱっと見ればだいたい判別できます。これは、プリントという余分な作業が介在していないから、フィルムの特徴がそのまま分かる、ということだと思います。
私は、以前はコダクロームが好きでした。あのなんとも言えない重厚な発色といい、びしっと締まる黒といい、やっぱりフィルムはコダクロームだよなぁ、なんて言っていました。当時はNikonを使っていたのですが、その後、Contaxを知り合いから安く手に入れ、コダクロームを使って撮ってみたのですが、あがってきたフィルムを見て愕然としてしまいました。「い、色が無い・・・(;_;)」いや、誇張じゃなくて(ちょっとは誇張しているけど)、Carl Zeissのレンズにコダクロームを使うと色が出ないんです。
それ以降は、フジクロームをメインに使うようになりました。特にあのベルビアというフィルムは、そのド派手な発色を一度見てしまうと、他のフィルムはモノクロフィルムのように見えてしまうという、麻薬のようなフィルムです。それに、黒の締まりもコダクローム並みだし、これはこれでいいかな、と思っています。ただ、コダクロームのような重厚な色合いは逆立ちしても出ませんけど(^^;)
エクタクロームは難しいフィルムですね。私はどうやっても、満足のいく描写が出来ないんです。あと、黒の締まりが無いのは嫌いな方なので、黒の濃度の低いエクタクロームはどうしても敬遠してしまいます。

私、ネガカラーフィルムを使っていて、露出がどうのこうの、発色がどうのこうの、とか言う人って、よく分からないんですね。自分でカラープリントをする人ならまだしも、ラボに出してプリントしてもらっている人の場合、そんなこと言っても、砂上の楼閣のような気がするのです。
「ちゃんとしたラボで、こちらの意図をきちんと伝えれば、満足のいくプリントができるよ」と言う人もいますけど、「こちらの意図をきちんと伝える」っていうのはほとんど不可能だと思うんです。
私がそう思うようになったのは、一つにはAdobe Photoshopというソフトを使うようになったからです。Photoshopを使えば、写真の階調からカラーバランスから、なんでも調整が出来ますが、はっきり言って、バランスの崩れている写真を見て、どこをどう直せばいいのかわからないことも多いのです。例えば、なんかこの写真ちょっと青っぽいなぁ、なんて思っても、実際には青が強いのか、シアンが強いのか、よく分かりません。Photoshopなら両方試してみることが出来ますが、ラボにプリントを頼むときにはそういうわけにはいきませんよね。

まぁ、そんなこんなで、私は記念写真以外はリバーサルフィルムしか使いません。あと、モノクロは以前からやってみたいなぁ、とは思っているのですが、さすがにプリントまではやっている余裕が無いです。
いやぁ、今回も偉そうなこと書いちゃったなぁ・・・え? お前の撮った写真見せろって? いやぁ、ここのプロバイダ、ディスクスペースが小さいんですよね。だから、写真を載せる余裕が無くて・・・残念だなぁ(^^;)

[前へ] [次へ]

[Home] [戻る]


mailto:lepton@amy.hi-ho.ne.jp