思ツタコト No.9

恥ずかしい音楽


知り合いと喫茶店で馬鹿話をしていたときのことです。BGMで「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が流れてきました。

「俺、この曲好きなんだよな」
彼は突然そう言い出しました。おまえその顔でモーツァルトなんか聞くのかよ、喉まで出掛かったその言葉を、私はぐっと飲み込みました。
私には、モーツァルトなんかどれ聞いても、みんな同じにしか聞こえないんだけどなぁ・・・タッタカタッタカいっているだけで。
「何いってんだよ、そこがいいんじゃないか。あの清らかな調べを聞くと心が洗われるような気がするんだよな」
ふ〜ん、清らかな調べ、ねぇ、その顔で。いやいや、容姿のことを話題にするのはやめておこう、自分の方に返ってきそうな気がするから。
「でも、問題があるんだよな」
ん? 問題?
「ほら、これって有名な曲じゃん。でかい音量で、しかも窓なんか開けて聞いた日にぁ、恥ずかしくて」
うんうん、わかるなぁ。いかにも「名曲アルバム」って曲を聞くのはなかなか勇気がいるぞ。(あ、別に「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が悪い曲だ、といっているわけでは無いです。私だって名曲だと思っています)

では、いったい何が一番「恥ずかしい曲」だろう、という話題になりました。
「まず、モーツァルトに敬意を表して・・・交響曲の40番なんかどうかね」
「ちょと弱いかな?」
あ、あくまでも恥ずかしい曲として弱いという意味ですので、誤解無きよう。
「やっぱ、ベートーヴェン。とくれば『運命』だろうな、『エリーゼのために』もいいけど小品だし」
「チャイコフスキーも外せないよな、『白鳥の湖』とか。それから何といってもピアノ協奏曲第1番、あの第1楽章の序奏のところ」
ちなみに、このチャイコフスキーのピアノ協奏曲、私も好きなんですけど、有名な序奏の部分だけボリュームを絞って聞いたりしています(^^;) 序奏のあとは全然有名じゃないから問題無し。
「ピアノ協奏曲と言えば、グリーグも外せないよな」
「そっち方面に行くんなら、ドヴォルザークの『新世界』とか」
「いやいや、ぐっと古くなって、ヴィヴァルディの『四季』」

なぁんて、下らない話を延々と続けてしまいました。
で、結局、輝ける「恥ずかしい曲」第一位は、審査員(約2名)の満票を集めたこの曲です。

メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」

メンデルスゾーンさん、おめでとうございました。(^^;)

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