思ツタコト No.5

車の免許を持っていないことについて


引っ越して、印鑑登録をするために村役場、じゃなくて、区役所 (注1) に行ったときのことです。

「身分証明書をお願いします」
「あの、持っていないんですけど」
「あ、免許証でいいんですよ、免許証で」
「だから持っていないんです」
「じゃあ、こんど免許証を持ってきたときに申請して下さい」
「あの、だから免許、無いんですってば」

応対していた職員はしばしの沈黙のあと、あからさまに嫌な顔をしながら (注2) しぶしぶ応対してくれました。
そもそも、身分証明書って何でしょう?日本では、公的な「身分証明書」なる書類は存在しないことになっています。役所とかでは運転免許証やパスポートや印鑑証明書や健康保険証で代用することになっているそうですが、もともとの「身分証明書」なるものが存在しないのに、「代用」っていうのも変な話ですよね。
とにかく、運転免許証を持っていないと、余計な手間が増えて面倒です。こんなことなら、本当の「身分証明書」を作って国民全員に配った方が平等でいいようにも思える (注3) のですが・・・。

話がかなり横道にそれてしまいましたが、私はクルマの免許を持っていません。今は学生時代に取るのが普通のようですが、私の場合、学生時代はビンボーだったのと、結構忙しかった (注4) ので、取りそこねたのです。
私はいま、横浜に住んでいて、職場は東京なのですが、行動半径から言って、特にクルマが必要な場面というのはほとんど存在しません。クルマがあったら便利だろうな、と思うことはせいぜい年に数度でしょうか。
あ、もちろんこれは私が公共交通機関に恵まれている場所に住んでいるからそう思うだけであって、これを一般化しようとは思いません。北海道の原野のなかに住んでいる人にとってはクルマは必需品に近いでしょうし、私だって、どうしても必要であれば免許を取ってクルマを買ったと思います。

私がクルマに乗らない理由はほかにもいろいろあります。
まず第一に面倒くさい。いろんな手続きやらメンテナンスやら、よくみんなやるなぁ、と思ってしまいます。車庫証明やら、保険やら、車検やら、ほかにもいっぱいあるようですが、出来れば避けて通りたいことばかりです。
事故も恐いですね。「自分は運転が上手いから絶対に事故は起こさない」と豪語する人もいます (注5) けど、私にはそんなこと言えないな、どんなに注意したって事故に巻き込まれることはありますから。自分の趣味・嗜好のために、そういう社会的責任を伴うようなことはできるだけ避けたいと思っています。
環境の問題もありますよね。確かに、自分一人がクルマに乗ったって、乗らなくたって、大勢に与える影響など無視できるほど小さいわけで、そんなことをいちいち考えていたら何も出来ないのは確かで、単なる気休め程度ですが、それも思っていることの一つです。

まぁ、いまの社会は、物流のほとんどを自動車に頼っているわけですし、ほかにもいろいろと恩恵を受けているというか、クルマなしでは社会自体が成り立たない仕組みになっているわけで、それ自体を否定したいわけではありません。 (注6)
ただ、クルマと持っていない、運転免許すら持っていない、となると非常に奇異な目で見られることも多いので、個人においては、必ずしも必要ではない (注7) 場合もあるのではないか、ということを言いたかったわけです。
ところで、カッコいいクルマに乗っていないと女の子にモテない、という話もありますが、実際のところ、どうなんでしょ?? まぁ私の場合、そんなことしなくてもモテてモテてしかたがないので、関係の無い話ではありますが・・・ (注8)

あまり意味の無い脚注 (注9)
(注1) 実際、まわりの雰囲気はとても横浜の区役所という感じではなく、村役場と言った方がぴったりだ。区役所の建物も、私が引っ越してきた時にはバラック同然だった。先日、久しぶりに行ってみると、巨大なビルに建て替わっていた。
(注2) 一応補足しておくと、身分証明書が無い場合には、住民票の住所に確認の書類を発送して、それをもう一度持ってゆくことによって本人確認をしている。この発送作業が面倒なので職員が嫌がったのだろう。
(注3) などということを言うと、クレームがいっぱい来そうだ。
(注4) 大学生というと暇の代名詞のようではあるが、理科系の学部の場合そんなに暇じゃないのである。特に研究室の配属になってからは、まともな時間に家に帰れなかったりする。
(注5) 自分は運転が上手いんだ、と勘違いしている人は私の周りにもたくさんいる。運転が上手いのは結構だが、だからといって、事故を起こさない、事故に巻き込まれない、というのは違うと思うけど。
(注6) だから、剃刀メールとか送ってこないように。
(注7) 必要ではないのだが、私は何にでもけっこう凝る方なので、血迷って運転免許など取ってしまったら、変なクルマを買いそうな自分が恐い。「このよく壊れるところがいいんだよな」などと言いながらイタリア車に乗っていそうな気がする。
(注8) ウソに決まってるじゃん。
(注9) さして必要性は無かったのだが、脚注のいっぱいある文章を書いてみたかっただけである。

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