鹿島茂の『成功する読書日記』という本をマネて、読書メモをつけてみることにする。同書のポイントは 2003年7月5日付けの「おめでたき日々」参照。メモの長短にこだわらず、まずは続けていくことを第一とする。
「武者組」関連の本を中心にするが、時折脱線するかもしれない。
2003年8月吉日
以前書店で気になって手にとってみたが、そのときは「糸井重里プロデュースの変わったライターが書いた本」と思った。今回の著者の枡野浩一が歌人であることを知って、また歌集とエッセイを1冊ずつ読んでからこの本を読むと、得た内容も変わった。著者なりの愛情を込めて啄木が描かれているし、短歌の現代語化も著者が提唱する「かんたん短歌」にそって読むことができる。
なお、この本は「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載されたものをまとめているので、 今でもwebで読むことができる。単行本の方が注釈とかも充実しているが。
この本は「武者組」的にはどこが注目かというと、(1)現代口語短歌の枡野浩一が書いていること、(2)啄木は実篤の生まれた翌年(1886年)に生まれ、「白樺」創刊の翌々年(1912年)に亡くなっている、実は同時代人であること。
土門拳(1909〜1990)による人物写真集。作家だけでなく、科学者や歌舞伎役者などの写真があるのは新鮮だ。撮影年順に配列されているため、土門を仲立ちにして、作家や科学者が並ぶのはなんだか不思議な気がする。それぞれの年表を合わせれば決して不思議なことはないのだが、いかに薄っぺらな文学史の知識に縛られているか少し嫌になった。
大判の本を一枚一枚めくっていくが、やっぱり志賀直哉(昭和26年)はかっこいい。
有名な「梅原龍三郎を怒らせた話」も載っていて(写真もある)、興味深かった。どこでどう聞き間違えたか、梅原が土門の消えた扉に椅子を投げつけたものと思い込んでいたが、正しくは「アトリエの床に叩きつけた」だった。さすがに梅原もそこまでは乱暴者ではない。