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おめでたき日々

(2003年4月)
今月のことば:東京都知事選挙


2003年4月30日

実篤記念館の今年度の展示予定を更新した。記念館の紹介のあたりも少し手直しをした。
●今年は工事のために12月から来春まで休館するという。こんなに長い休館は初めてだが、施設維持のために我慢するとしよう。

2003年4月26日

「芸術新潮」5月号 デューラー特集

「芸術新潮」2003年5月号(新潮社)の特集は、「前川誠郎のデューラー講義」だった。 デューラーといえば、岸田劉生が傾倒し河野通勢にも影響を与えた画家だ。気になって図書館で図版だけながめたが、なかなかすごい。河野は実篤記念館の秋の特別展のテーマなので、今年はちょっと勉強してみるのもいいかもしれない。
●長岡と名古屋でデューラー展が開かれるそうなので、調べて「これから先の展覧会」に登録しておく。
●前川氏の文末に、デューラーの同時代人として雪舟が挙げられていたが、実篤も雪舟に注目した時期があり、ちょっとおもしろいのでメモしておく。


メナード美術館(愛知県小牧市)では、所蔵企画展「卓上静物 テーブルの上のモノたち」と併催して「特集展示・女性の美[2]少女」を開催している。会期は、4月23日(水)〜6月22日(日)。その中で劉生の麗子像が2点、前期後期に分けて展示されている。4月23日〜5月23日は「林檎を持てる麗子」、5月24日〜6月22日は「麗子座像」だ。ともに小さい画像は同館のホームページで見ることができる。

2003年4月23日

●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [開催中] 「白樺同人 児島喜久雄」展(清春白樺美術館)
○ [白樺発見] 宮本百合子「愛と死」

2003年4月19日

実篤記念館 春の特別展「自伝『或る男』の青春」

●実篤記念館から友の会会員向けに、春の特別展の案内が届いた。「自伝『或る男』の青春 〜初恋・親友・そして夢へ〜」というタイトルで、4月26日(土)〜6月1日(日)まで開かれる。
●チラシには若い頃の実篤と志賀のおなじみの写真、そしてもう一人は誰だろうとよく見ると「志茂テイ」(=お貞さん)とあった。最近確認された当時の写真らしく、同じく最近発見された「或る男」の一部原稿(初恋や志賀との出会い、「白樺」創刊やロダンとの交流などが書かれている部分だそうだ)を中心に展示が構成されるとのこと。
●実篤の青春期はこれまでも取り上げられてきたが、さらに新しい見方が得られるのではないかと期待している。

●記念館といえば、今年の2月14日に来館者が30万人を越えたそうで、そのときの様子を報じた記事を見つけた。開館は実篤生誕100年の昭和60(1985)年10月なので、もう18年目に入っている。


●「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [募集中] 松任市立中川一政記念美術館友の会会員募集
○ [開催中] ウッドワンコレクション特選展(ウッドワン美術館)

●図書館のリサイクルコーナーから、耕治人の『天井から降る悲しい音』と池上惇『文化経済学のすすめ』をもらってくる。後者は前書きにウィリアム・モリスやラスキンの名前があったのが気になったのだ。

2003年4月18日

「文藝春秋」八十年傑作選

●書店で平積みになっていたので手にとってみたが、開けてびっくり。巻頭に実篤の「日米戦争はまさかないと思ふが」が掲載されているのだ。大正13年に日向の村で書いた文章で、日米開戦しないよう文学者が協力してはどうかというような内容だ。
●「文藝春秋」にとって実篤は特別な作家ではないし、逆もまたそうだ。いきなり菊池寛なりの文章を持ってくるのは陳腐としても、何もこの文章を持ってこなくてもと思った。別に実篤の戦中の行動を隠蔽しようとは思わないが(戦争をしているときに、自分の国が負ければいいと考えるなどとんでもないという実篤の考えには同意する)、人道主義者がこんなのんきなことを書いていたと、さらし者にしているような悪意を感じる。編者の坪内祐三は実篤の戦争協力と戦後の処分も知っているはずだし、それらも含めて象徴的にこの文章を取り上げているように思えるのだ(考えすぎだろうか)。

●その他大正昭和の多くの作家と文章が登場し、一大文芸誌の面目躍如といったところだが、その中でも実篤が出席している座談会を立ち読みしてみた。昭和10年のものだが、実篤の発言を拾い読みしたらその数の少なさと元気の無さに悲しくなってしまった。作家としては仕事がなくなり行き詰まっていた時期であるし、欧州旅行の準備をしている頃だったが、気を使って話題を向けてもらっても、それは絵のことだったり旅行のことだったりで、文芸についての話題はほとんどない。実篤も合評に参加する風もなく、干された老大家然としていてさびしかった。まあ、こういうものはなかなか読めないので、後日また読んでみたい。→文藝春秋社のホームページで見る→e-honで検索してみる(目次が少々)


東京藝術大学大学美術館(東京・上野)では「日本近代美術展 ― 韓国国立中央博物館所蔵 ― 」を開催中である。会期は2003年4月3日(木)〜5月11日(日)。韓国の王室が所蔵していた日本美術が国内初公開とのこと。出品リストは公開されていないが、富本憲吉の作品が何点か出ているようだ。5月20日(火)〜6月29日(日)は、京都国立近代美術館に巡回予定。「朝鮮日報 DIGITAL CHOSUN」は昨秋ソウル市の韓国国立中央博物館で一般公開されたことを伝えている。この記事によると河井寛次郎の作品も出品されたようだ。

東京藝術大学大学美術館のホームページには収蔵品データベースが公開されていて、ためしに「実篤」で検索したら、「観音」(紙本墨画)という作品が所蔵されていることがわかった。ちなみに岸田劉生は11点ヒットした。油絵よりも日本画の方が多く、木下利玄への寄せ書きというのも見つかった。いずれも画像は登録されていないが(登録されている作品もある)、データベースが公開されることはとても有用だ。

●実篤記念館には先週末最終日に、ようやく「書簡展」を見学に行った。桜も散ってしまったが、あたたかさにつられてか多くの方が見えていた。

2003年4月17日

「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [開催中] 東京国立博物館に高村光雲・光太郎父子の彫刻
○ [開催中] 「春陽会−草創期の画家たち」(小杉放菴記念日光美術館)

2003年4月12日

「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [開催中] 「春陽会−草創期の画家たち」(萬鉄五郎記念美術館)
○ [開催中] 「魂の独白 ジョルジュ・ルオー」(茨城県近代美術館)
○ [開催中] 「ピカソとマチス」(埼玉県立近代美術館)
○ [開催中] 「ジョルジュ・ルオー 未完の旅路」(NAISミュージアム)

2003年4月5日

全国の展覧会予定を更新。今年は小林秀雄展と棟方志功展しかないような勢いだ。
●6月21日から富山県で開かれる棟方志功展は、仙台などでは1館で開催している内容を、高岡市と福光町の2箇所に分けて同時に開催するようだ。福光町には棟方が疎開してきた関係で記念館があるが、おもしろい試みだと思う。

メールニュースの発行部数のグラフを更新

●今日の調布は冷たい雨が降り、真冬並みの寒さ。桜もちぢこまっているだろう。

●今日届いた「市報ちょうふ」に記念館関係のニュースがあったので、メールニュースを発行。

2003年4月4日

川西政明『文士と姦通』(集英社新書)

川西氏は実篤記念館主催の講演会でお話を聞いたことがあり『昭和文学史』校了後、緊張が解けて体調を崩した中でも講演に来てくださったことに敬意を表していたのだが、それにしてもこの本は買えない。有島武郎と志賀直哉の二章を立ち読みしたが、ふつうに両者を調べればわかることが書いてあり、ことさら不倫の部分だけを公刊する意味がない。むしろ有害ですらある。有島なり志賀の生涯を調べた人が情死や「山科」の話を読むなら、それは彼らの生涯の中のひとつの出来事として位置付けることができるが、この新書でしか読まない人にとっては、体のいいゴシップ記事でしかない。
●11人とりあげられているそうだから、残りの人にはもっと良い話が載っているのかもしれないが(読んでいないから、ないとは断言できないが)、白秋や藤村の不倫話がそう愉快なものであるはずがない。2003年3月の新刊。→目次を見るならAmazonへどうぞ。


●試験的に4月2日分からメールニュースの目次を発行日の項目として掲載してみる。こうすることでメールニュースの情報がより密接にホームページ組み込まれることを期待する(これまではそれぞれ独立しているようで、もったいない)。

2003年4月2日

「武者組“あるね”ニュース」発行。

○ [次回展示] 天満屋福山店
○ [次回展示] 「棟方志功―わだばゴッホになる―」展(宮城県美術館)
○ [開催中] 日本のゴッホ・山下清と新潟の白樺派展(新津市美術館)
○ [開催中] 「芹沢けい介・棟方志功 釈迦十大弟子展」(砂川美術工芸館)

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