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おめでたき日々

(2001年9月)



2001年9月16日

●永青文庫の「細川護立と白樺派の人々」展の見学レポートを追加。小さい展示だが、なかなか満足した。今度の土曜日まで。

「”あるね”ニュース」2001年9月6日号で紹介した有島武郎とティルダ・ヘックに関する記事を、毎日新聞7月30日夕刊(東京版)で確認。タイトルは「有島武郎の”恋”伝える特別展」。毎日フォトバンクで「有島武郎」で検索すると、カラー写真(新聞はモノクロ)を見ることができる。

●「武者組」を公開して満4年になりました。これまでのご愛読に感謝申し上げるとともに、今後ともお立ち寄りくださいますよう宜しくお願いいたします。
●続けるからには一過性の文章ではなく、「数年後に読んでもどこか価値があると思ってもらえる文章」をめざして、これからも書き続けていきたいと思います。

●パソコンの具合がとても悪いので、近日中に大規模な修理をするか買い換えるかします。ホームページの更新が滞ったりメールへの返信が遅れる場合がありますので、あらかじめご了解ください。問題が解決しましたら、このページでご報告します。

2001年9月2日

●昨日9月1日は防災の日。関東大震災の日に、改めて防災について考えようという日だ。
●その1923(大正12)年9月1日に「白樺」の人々はどうしていたか書き出してみよう。

武者小路実篤新しき村で震災の報を聞く。兄公共は海外赴任中で急ぎ東京へ向かう。元園町の生家が焼失。母秋子は無事。(実篤「一人の男」第43章 全集17)
志賀直哉京都粟田口在住。9月2日に京都を発ち、麻布の実家の無事を確認に向かう。(阿川弘之「志賀直哉」)
木下利玄鎌倉にいたが、自宅とも無事。
有島生馬上野・二科展の会場で地震に遭う。
長与善郎妻子と信州旅行中。鎌倉の自宅は倒壊。
柳宗悦赤坂高樹町の家が破損。長兄悦多を失う。
「白樺」印刷が終わった9月号が印刷所ごと焼失。廃刊となった。(ここまで「明治文学全集 初期白樺派文学集」 筑摩書房 昭和48.12.20 「年譜」紅野敏郎編)

里見とん^は「安城家の兄弟」の中で、鎌倉での経験を書いている。ものすごい揺れだったこと、揺れ飛ばされていく子供たちが「パパ」「ママ」ではなく、ふだん口にしたことのない「神様助けて」と言っていたのを印象深く見たこと、震災後横浜経由でいかにして東京に入ったかの苦労話など。
岸田劉生は鎌倉で被災したが、娘麗子が「父 岸田劉生」の中で津波を恐れて高台へと避難した様子、家が倒壊したため名古屋の支援者のもとへ疎開したことなどを書いている。

●巨大掲示板群「2ちゃんねる」というものがある。アングラ情報や過激なメッセージばかりのコワイところと思っていたが、文学関係は極めて紳士的なので最近よく読んでいる。まずは「2ちゃんねるガイド:基本」「日経netn@vi」9月号の2ちゃんねる特集などで概略をつかんでから、アクセスするのをおすすめする。やはり一癖も二癖もあるからだ。「文学板」には「武者組」的な関心を引く話題(スレッド)がいくつもある。

●メッセージが短く、建設的な議論がなされているとは言いがたいが、それでもこれだけ活発なやりとりがなされている文学系の掲示板を寡聞にして知らない。会社や学校の中には2ちゃんねるへのアクセスを規制しているところがあるかもしれないが、機会があればのぞいてみてほしい。

●「文士の逸品」(矢島裕紀彦、文藝春秋)(Amazon)という本が出ていた。作家の愛用品の写真と紹介が見開きになっていて、章末に関係する記念館や文学館の一覧がついている。「文藝春秋」の連載をまとめたものらしい。有島武郎の聖書、志賀直哉の杖、武者小路実篤の硯など、後ろの2つは実篤記念館所蔵のものだ。高村光太郎が戦後岩手の山奥で履いていた長靴もあった。十三文半=32.5センチでも小さかったというから、かなりの大足だ。長身(と言ってもどれくらいあったのだろう)を支えるには、これぐらいの足が必要だったのだろう。かのジャイアント馬場(身長209センチ)は十六文(実際には16インチ=38.4センチ)だった。

●群よう子の「またたび読書録」(bk1/Amazon)が新潮文庫の新刊で出ていたので立ち読み。曰く、「波止場日記」を書いたエリック・ホッファーは港で荷揚げ作業を行いながら、休憩時間や夜に本を読み又書いていった「晴耕雨読」の人だとある。家を建てるための木材をかついで何キロも歩き、夜は「友情」や「幸福者」などの創作をした、新しき村創立時の実篤を思い出した。労働と思索、労働と創作。バランスのとれた「晴耕雨読」を私も目指したい。
●これを読むとまた全集を読みたくなる「樋口一葉辞典」(Amazon)(おうふう)も紹介されていたが、「武者組」もそんなホームページになれるよう少しずつ精進していきたい。「辞典」は私のひとつの夢でもある。

●このお盆休みに福島へ行ったところ「福島県文学全集」(郷土出版社)のパンフレットを入手した。福島県にゆかりのある文学ということで宮本百合子や久米正雄、中山義秀などが並ぶ。我が白樺派からは、小泉鉄「自分達二人」(抄録)、志賀直哉「祖父」が収録される。小泉鉄は福島県生まれ、志賀直哉は祖父が相馬藩に仕えていた関係から。第1期小説編(全6巻)は今年9月刊行、第2期紀行・随筆・詩編は2002年10月刊行予定である。
●出版社のホームページにはないが、パンフレットなら 福島県いわき市のヤマニ書房のホームページで見ることができる(小さくて字は読めないが)。


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