トレイルブレイザーズ・テンピース・ブラス
in アメリカ (5)

戻る次へ (5/7)

●2000年 6月10日
いよいよフェスティバルのファースト・パフォーマンス
パレードを終えて約1時間半後、いよいよフェスティバルのファースト・パフォーマンス。ここは、くの字型をした Courthouse(町の裁判所の庁舎)の中庭(Weisiger Park)に常設されている小さくてカワイイ野外ステージで、フェスティバルだけでなく、普段のお昼どきや週末などでも、Advocate Brass などがミニコンサートを開いていて、市民の楽しみの場所になっているらしい。


出演団体のネームプレートが用意されていて、毎ステージごとに立ててくれるのだが、そこにはキチンと、そのバンドの招待をバックアップしてくれたスポンサーの名前が入っている。上から、ATR Wire and cable Co. Inc.、Denyo Manufacturing Corporation、Hitachi Automotive Products (USA) Inc.、Matsushita Home Appliance Corporation of America、Trim Masters Inc. の5社。昨夜はこの企業の社長さん方に、ゴルフ場のクラブハウスでの豪華ディナーにご招待いただいた。あの素晴しいお食事とワインが、この日の本番を最後まで成功させる力になったと言っても過言ではありません。5社の皆さん、とりわけディナーにご出席された、Matsushitaの今須さん、米田さん、ATRの田端さん、倉重さん、スミダさん、Denyoの山口さん、斉藤さん、この場をお借りして、改めて感謝申し上げます!

プログラムは、Trailblaze、Beethoven's Beano、「春」1楽章、Exhibition Can-Can、Strike Up the Band、We've Only Just Begun(Baritone solo)、コバルトの空、八木節、G・Sメドレー、の約50分のステージ。
 私たちの演奏は成功し、お客さん達にはこちらが想像していた以上に受け、みなスタンディング・オベイションで喝采してくれた。しかし苦しかったのは、とにかく強い直射日光! この日一日で黒沢が飲んだミネラル・ウォーターは、1ガロンを軽く超えていた。メンバーみんな、日頃屋外で演奏することなどないため、この日差しとの戦いがキモだった。

私たちの次の出番だったミレニアム・ブラスのスコット・ハートマンと、ミーハー丸だしのツーショット(しかし、黒沢だけでなく、他のメンバーもみなツーショットをおねだりしていた。だってハートマンだもん!)。ミレニアム・ブラスはジョージ・フォアマンの提唱により1998年に結成されたクインテットで、メンバーはTrp;Vince DiMartino、Richard Illman、Hr;Lisa O.Bontrager、Trb;Scott Hartman、Tuba;Marty Erickson
の5名で、このうちTrpのヴィンスはAdvocate Brassの首席も務めている。

記念グッズのひとつ、Tシャツ。このデザインで白と黄色がある。来場者はほとんど買っているので、最終日には売り切れてしまい、追加注文(後日郵送)を受けていたほど。グッズはほかに、ピンバッジ、カズー、ポロシャツ、キャップ、などがあり、どれも大人気だった。そういえばお客さんたちは、ほとんどフェスティバルTシャツ(今年のものだけでなく、歴代のものまで)を着ていたっけ。

これがデザイン。ごらんの通り、ゲスト各国の国旗をモチーフにしてあり、カラフルでステキ! ところで、イタリアとウクライナの国旗が入っているのにお気づきだろうか? 実はイタリアからはBand of San Giorgioという吹奏楽団、ウクライナからはKiev Saxophone Quartetが参加する予定だったが、フェスティバル直前に渡米できなくなってしまったらしい。

バックプリントには、出演団体の名前が入ってる! もちろんトレイルブレイザーズの名前も!! これにはメンバーみんな大喜びだった。心憎い演出だよね〜。

もうひとつのTシャツ(こっちは黒のみ)。こちらはゲストたちを歓迎するデザインになっている。これのバックにもやはり名前が入っている。ピンバッジは、この真ん中の絵と同じデザインだった。

メインステージの様子(ダンヴィルのタウン情報誌より)。ステージの演奏はマイクでひろわれ、延々と広がる(この写真の4倍はあったと思う)芝生の会場の何ケ所かに設置された大型スピーカーで同時に流されるので、丘のはるかかなたにいても演奏が楽しめる。臨場感を楽しみながらキチンと音楽を聴きたい人たちはステージ前に陣取り、家族(小さい子供やペット)と一緒にピクニック気分で楽しみたい人たちは丘の上のほうで、フリスビーやキャッチボールをしながら、音楽を楽しんでいる。面白そうなことが始まったと思ったら、丘を駆け下りていけばいい。もちろん子供がキャーキャーはしゃいでも、ステージの前のほうには影響しないから、みんなOK!

Weisiger Parkの本番の3時間半後、夕方5時40分(といっても、まだガンガン陽が照っている)、いよいよメインステージでのパフォーマンス。プログラムは、Trailblaze、ケンタッキーのわが家のテーマによる変奏曲(Euph solo)、ラッパ吹きの休日、白い十字架(Horn solo)、走れ蛋白質、181.2sec、八木節、という約40分のステージ。


ケンタッキーだけに〜、というベタな選曲(いわばご当地ソングかと)に思えたが、これがウケた。実は、地元の人達はとてもフォスターを愛していて(フォスターが住んだ家というのもあるらしい)、その中でもMy Old Kentucky Homeは地元周辺では国歌なみに愛唱されているということで、いや、めでたし、めでたし!

ソリストの向かって左端は群馬交響楽団の牧野徹さん。平林(徹)のエキストラとして参加していただいた。牧野さんには、パレードの時に道路脇から「まきのセンパ〜イ!」と声を掛ける人が現われ、なんと高校の時の後輩の方との思いがけない再会という一幕があった。地球は狭い!

181.2sec(つまりチャイコフスキーの1812年のパロディ)で、キャノン砲のかわりに大きな風船を割った瞬間。風船ソロイストの隣で耳をふさいでいるのが、奥野のエキストラでフリューゲル・ホーンを担当していただいた、新日本フィルハーモニー交響楽団の市川和彦さん。

このステージでも、八木節は異常なくらいにウケた。特に、小柄な小田もゆるがダイナミックに和太鼓を叩く姿に感銘を受けた観客は多く、現地の日本人の方の話によると、フェスティバル後もしばらくの間、地元民の間で話題になっていたらしい。ただ“あんなに小さくて可愛らしい日本の少女が、とても必死に大きなJapanese Drumを叩いていて、涙ぐましかったわねぇ”みたいな印象も一部あったらしい。黒沢のことをとっつかまえて“beautiful Japanese girl !”と言っていたオッサンもいたし、「オイオイ、いくらなんでもアタシら、girlっちゅうトシじゃないわい!」と突っ込みつつ、満面の笑みで“Thank you !”と返していたワタシたち…。ちなみに、もゆるがこのステージで着ているハッピのような上着は、黒沢の寝間着である。こんなに八木節がウケるのなら、祭半纏も持っていけば良かった!

本日のトドメ、全出演者によるGABBF(Great American Brass Band Festival) March の大合奏。空はまだ晴天だけど、これ、夜の8時くらい。星条旗の前にヘルメットをかぶってキリリと立ち並んでいるのはビューグル・コーのHellcatsの皆さん、舞台のメインはAdvocate Brassで、その周りをドイツ軍団(『軍団』は私たちが勝手に付けた愛称で、Musikverein Herforst はれっきとした一般バンド)が囲み、私たちは矢印のあたりに立っている。指揮は実行委員長のフォアマン氏。彼のコスチュームは、J.P.スーザを思わせるデザインだった。

長い長〜い1日が終わった。最後のマーチまで入れると4ステージ、朝6時の移動から始まって、この乾杯が夜の9時くらい。ホント、この日は疲れマシタ…。ところで、メンバーが手にしているのはジンジャーエールではなく、ビール!! 先にも書いた通り、この町ではアルコールの売買は一切禁止されているが、自宅やごくプライベートな場所(昨日のゴルフ場のゲストハウスなど)で飲むことは構わない(あくまで飲むことだけ。だからゲストハウスで出たワインは、そこのレストランにあった売り物ではなく、社長さんたちの私物持ち込みという扱いだった)。アルコールを飲みたい住民は、隣の町まで1時間ほど車を飛ばしてリカーショップでビールやワイン、ウィスキーなど買い込み、自宅の中や庭で飲むのだそうだ。ここで乾杯しているビールは、やはり現地の日本人のみなさんのお差し入れ! コップに注ぐときは、ビールの缶が人目に付かないように、テーブルの下でソ〜っと注いで、ありがた〜く頂きました。(じゃぁ、現地のアメリカ人たちは、アルコールを飲まずに何を飲んでいるかというと、コーラ、セブンアップ、ジンジャーエール、レモネード、ドクターペッパーといったモノを、朝から晩まで、ハンバーガーだろうが、イタリアンだろうが、中華だろうが、何にでも合わせて飲んでいる! こっちのほうが、よほど健康に悪いと思うけどなぁ。)


戻る次へ (5/7)


TOP


本ページに掲載されているすべての画像、文字などのデータについて、無断転用、無断転写をお断りします。