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Etching-アクアチント-ドライポイント-ソフトグランド

 

カヴァティーナ - (聖なる祈りの地) _1987

 

 ・・銅版画特有の渋いカラーを好む人も居ますし、確かに魅力にもなります。 しかし、どうしても鮮やかな色が欲しいという時の工夫は、作家の技法書などを見るといろんな人が考えているようです。

 えば、銅版にメッキをかけると、版の持ちもよくなり、錆の心配や刷りのプロセスでインクの変色を防ぐ効果があるようです。でも多くの注文があり、必要性がないとなかなかそこまでは考えません。

 ンクに工夫する人も居ます。 油絵の具を混入したり、白のインクで不透明度を強めたりすると、かなり鮮やかな色にできる感じがしました。
 き取りにもコツがあるでしょう。できるだけ拭き取る時に版面上でインクをいじり過ぎない、こねまわさない・・とか・・。

 凹版というのは、基本的に、溝になった部分に入ったインクを紙に写し取るわけで、そこが、いろいろ職人的な要素を強く感じさせる腐蝕、刷りのプロセスでもあるようです。・・とは言え、別に難しく考えて技ばかりに目が行くと、それもまた何か違うという気もします・・。装飾的な工芸品というわけではなく、あくまで絵であり、表現、そのひとつの方法なのですから。

 たとえば、クレー、ポロック、ヴォルス etc.・・などの版画を見ると、実にストレートに版の上で自分らしく表現しているようで、版画であるということで別に職人的になっているわけではないのが、作品も観ていて気持ちがいいです。しかしそこにも、版画ならではという線の魅力や世界も充分感じ取れます。
 もちろん、職人的な技巧、腐蝕の工芸的な効果を、人によっては銅版画の魅力として大いに取り入れている、そういう版画家ならではというような作品もあります。
 まあ、決りはないと思えばいいわけですが、技術的、職人的なところに目が行きがちな世界でもありますから、あまり巧い人の作風に過度に影響されない方が、自分の作品を作る上ではいいような感じもしました。 1999.9.29

対立 _1983

 

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