登記識別情報の不安

立会 tatiai.htm

ブログより 司法書士とくの日記

 

<平成19年9月3日>

まだまだ暑いなー。

1件破産申立書完成。

先月24日にした登記識別情報での取引

完了しているので明日回収。

登記識別情報での取引の場合

事前に有効確認が必要なので、

売主が協力的でないと困難を伴う。

「取引の前に、書類は渡せない」と言われる場合がある。

登記識別情報の有効確認には、

当該識別情報、印鑑証明書、実印を押印した委任状が必要。

今回の取引は、やはり「出せない」と言われた。

司法書士に識別情報のシールははがさないようにと言われている」

ということ。

いろいろ説明したところ、「じゃ知り合いの司法書士に聞いてみる」と

いうことになった。

なんとその知り合いの司法書士は、私の知り合いでもあった。

協力を促してもらい、なんとか取引前に有効確認ができた。

有効確認ができない場合、万が一のことを考え、

本人確認情報を提出できるようにしておこうかとも

考えていた。

やっかいだな。

 

<平成19年9月13日>

前、相続登記をした方から電話

「相続登記してもらった家を売却することに

なったのですが、その登記をしてもらう司法書士から

決済前に識別情報の確認が必要と言われています。

事前に渡しても大丈夫でしょうか。」

登記識別情報は、パスワードみたいなものなので、

取引の前に有効確認をする必要がある。

そのためには、当該識別情報と印鑑証明書と実印を押した

委任状が必要となる。

以前、売主に「取引の前に渡せない」と言われ困ったことがあった。

取引前に有効確認が必要なこと、

そして、協力してあげるように説明した。

 

<平成19年10月27日>

25日、マンションの取引があった。

SMBC(旧 住銀保証)の抵当権抹消あり、

オンライン化前に設定されていた抵当権だったが、

取引前に、合併抵当権移転登記がされていたため、

抵当権抹消登記は、登記識別情報ですることになる。

金融機関から交付された登記識別情報通知書は、法務局から

交付されたままでシールが貼られていた。

(事前の有効確認はできなかった)

取引が終わり、その登記識別情報通知書のシールをはがそうと

したところ、うまくはがれない。

なんか紙がやぶれそうな感じ。

変にやぶれ識別情報が読めなくなってしまったら大変なことになる。

ゆっくり丁寧に慎重に。

なんとか無事にはがすことができた。

汗だくである。

小中学校で統一試験が実施されたよう。

考え応用する力がないという結果が出たよう。

正解率が低かった問題をみると文章題でごちゃごちゃ書いてある。

やりたくもない試験を無理やりやらされ、

子供たちは、どれだけ意欲をもって集中してやったのか。

意欲がなければ、こんなごちゃごちゃ書いてある

文章問題を真剣に集中してやるのかな。?

結果は当然のような気もする。

 

<平成20年7月10日>

不動産の売買・移転登記が完了し、

買主に登記識別情報通知書を渡す際、

多くの司法書士は、

「これは重要なものです」

「以前の登記済証(権利証書)に代わるものです」

「法務局のシールははがさずに、(見ることなく)

そのまま保管するのが安全です」

「見られただけで、盗まれたのと同じになります」

などと説明したりします。

すると、次回、今度は売主として、

その不動産を売却する際、別の司法書士が、

「取引の前にその登記識別情報が有効かどうか確認する

必要がありますので、識別情報を教えてください」

というと、

「お金をもらう前に見せられない」

「シールをはがすのはいやだ」

「登記した時の司法書士は、見られただけで盗まれたのと

同じになるので、シールははがすなと言っていた」

と拒否されたりします。

説得するのに時間がかかります。

司法書士は、取引決済前に売主さんを訪ね、

シールをはがし、識別情報をメモするか、

通知書自体を預からなければなりません。

登記識別情報はパスワードみたいなものなので、

取引の前にそれが有効なのかどうか確認するため、

法務局に有効証明請求しなければならず、それは重要なことです。

しかし、登記識別情報は、

パスワードみたいなものとはいっても、

現在の実務では、通知書という紙に記載されて交付されます。

その紙は透かしが入った法務局専用用紙で登記官の印が押してあり、

識別情報の箇所には法務局専用のシールが貼ってあります

(一度はがすと再度貼ることはできなくなります)。

不動産、受付年月日・番号、登記の目的、名義人も記載されています。

そして、その紙を前の登記済証(権利証書)と同じように

唯一無二なものとして大事に取り扱ったりします。

紙自体には意味がないといっても、現実には現物があるような

感じです。

登記識別情報通知書(紙)=現物(前の登記済証のようなもの)

その紙があれば、発行されたことはわかります。

登記識別情報は、再発行は絶対されません。

登記識別情報の怖いところは、いつでも失効できることだ

といいます。失効の手続には、その識別情報自体は必要ありません。

ですから、シールが貼られたままでも失効していることは

考えられます。

以前は、登記識別情報の有効証明請求しかできませんでしたが、

現在は、未失効証明(通知されており、かつ失効していないこと

が確認できるもの)の請求ができるようになっています。

正確には、

「登記識別情報が通知されず、又は失効していることの証明」

といいますが、逆に、通知されており、かつ失効していない

ことが確認できます。

これには、識別情報自体は必要ありません。

(司法書士が代理人として請求する場合、オンラインでは、

司法書士の電子署名だけでできます)

(有効証明請求についても、現在は、本人の委任状や印鑑証明書

が不要になっています)

であれば、取引前に登記識別情報通知書のシールをはがしたり、

司法書士に見せたりするのがどうしても嫌だという人

(こういう人がいるんです)については、

その現物+未失効証明で、ある程度対処できるということになります。

現物があるということは発行されているということ。

その現物は(精巧に偽造されていない限り)、本物であることは確認できる。

そして、失効していない証明が取れれば、そこに記載された登記識別情報は、

有効であるということになる。

(前の登記済証を確認していたレベル程度にはできそうです)

もちろん積極的に有効である証明を取得した方が安全ではあるが、

未失効証明を活用すれば、取引の場で、シールを貼ったままの

現物を預かることが可能になります。

これは、売主の信用度や、取引の内容などで対応は変わると

思われますが、

本人確認(意思確認も)をきちんとし、万が一の際、

後でも本人確認情報の提供ができるようにしておけば、

未失効証明の活用で、事前の有効証明請求は不要ということになります。

それじゃ、登記識別情報は無視して、すべて本人確認情報で対処すれば

いいじゃないかということになりそうですが、

本人確認情報は、法務局に提出できるようにきちんと整え作成するのは、

やはり手間隙がかかりますし(登記申請のスピード・迅速性が阻害される)、

http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/tatiai.htm

登記識別情報があるのに(本人もそれで登記することに異存がないのに)

無視をするというのもどうかという気がします。

ただ、以前は、登記識別情報が提供できない正当な理由は、

不通知、失効、失念でしたが、現在はそれ以外に、

下記のものもOKになりましたので、本人確認情報で対処できる

範囲は広がりました。

「適切に管理する上で支障が生じる」

「不動産の取引を円滑に行うことができないおそれ」

ケースによっては、有効証明請求をしなくても、

現物+未失効証明で、対処できるということ。

といろいろ考えていました。

 

<平成21年6月3日>

久しぶりの不動産取引案件。

費用と必要書類を案内するため、

不動産登記の全部事項証明書

不動産の評価証明書

売買契約書

の3点を仲介業者よりFAXしてもらった。

http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/tatiai.htm

全部事項証明書を見てみると、

所有者の取得原因が「担保不動産競売による売却」

になっている。

この場合って、登記識別情報の通知はどうなのか?

登記は裁判所からの嘱託でなされている。

(オンライン化されている法務局については、

「その登記をすることによって申請人自らが

登記名義人となる場合、登記識別情報が通知される」

登記済証は発行されない)

嘱託でされていても、おそらく通知はされるよな?

調べてみると、通常の売買と同様、

買主に登記識別情報が通知されるということだ。

裁判所から登記識別情報通知書(法務局で発行されたもの)

が送付されてくるということだ。

http://www.amy.hi-ho.ne.jp/sakai-siho/sinfudousantouki.htm

 

<平成21年9月11日>

売主さん「こんなんになってしまいました」

「えっ!」

(シールをはがさずに、そのままで持参してと言っていたのに)

不動産の取引で、

売主さんが事前に、自ら登記識別情報通知書のシールを

はがそうとして、うまくはがれず、

紙がべったりついた状態で、いくつかの記号が

見えなくなっていた。

この識別情報が見えないと取引ができないので、

そのべったりついた紙の箇所を、爪で細かくこすり

すこしずつはがしていく。

10分ぐらいかかり、やっとなんとか判読できるまで、

はがすことができた。冷や汗ものである。

その間、頭の中では、本人確認情報作成の段取りを考えていた。

書士会からの通知で、

アイロンを利用してはがすようなものがきていた。

(冗談かと思った)

 

<平成26年8月27日>

不動産取引(売買)

当方は売主の(登記代理

買主には別の司法書士代理人に

(売主と買主で別々の司法書士がつく

分かれの形態)

登記識別情報通知書(当方で相続登記をしたもの)は

私(当方)が所持しており、

シールを貼ったまま、相手方司法書士(買主代理人)に

渡そうと思っていたが、

相手方司法書士が「コピーでかまわない」ということなので

コピーするためシールを剥がしたところ・・・

「よ・読めない・・・」

登記識別情報の印字が薄くてよくわからないのである。

とくに、FとPとEの区別が微妙

買主の司法書士

代理でオンライン申請をすると言っていたので

読めないと困る

(書面申請の場合は、この登記識別情報通知書そのものを

出せば法務局でなんとかしてくれるだろうが)

明日、取引決済なので、

慌てて管轄法務局へ行く。

法務局で照合してもらい、

FとPとEの区別をつけてもらった。

その他見難いところも確認

どうみてもFにしか見えないところ、

これがEであったりした。

登記識別情報は、

裏から透けて見えないように

わざと印字を薄くしているというのは

聞いたことがあるが、

こんなに薄いと読むことができない。

取引当日、シールを剥がして読めないとなると

ケースによっては本人確認情報の作成に

切り替えや、最悪、いったん取引中止になる

可能性もある。

登記識別情報は補正で再提出(再提供)は

可能だが、

FでなければPか、PでなければEかと、

当てもんみたいにするのもどうか。

それにしても事前に法務局で確認できたので

事前にシールを剥がしてよかった。

これからは、

読めない登記識別情報もあるという意識で

やっていかなければならないな。

シールの剥がれ方が不完全で読めない場合は

再作成の手続きがある。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/shikibetsushiiru_kochira_index.html

この取引、売主さんご本人が持ってこられた印鑑証明書が

コンビニで取得した印鑑証明書でした。

「えっ!と思いました」油断していました。

コンビニ印鑑証明書はそれが原本かどうか

確認する必要があります)

http://nnn07.web.fc2.com/n01/20100129hm2_240.pdf

買主司法書士はどうするか、と思いましたが、

そのまま問題なく受け取ってくれました。

売主買主が昔からの隣人同士の知合い

(和気あいあいと違和感なく会話されている)で、

リスクが予想される取引ではなかったからだと思います。

売主と買主さんで、

コンビニで取れるようになって便利になった」

という話題で盛り上がっていたりする中、

「原本かどうか確認できない」とは言えませんでした。