民事紛争の解決手段

まず、こうしてほしい、こうあってほしいという要求がうまれる。例えば、お金を貸したのになかなか返してくれないので、お金を返してほしいとか。上の階の住民が夜中にドンドンと騒がしい、静かにしてほしいとか。

貸金返還請求などの契約に基づく要求の場合、法的な手続にのせやすいが、近隣関係の場合、当事者での話合いや、自治会などの仲介で解決したほうがいい場合も多いであろう。

また、弁護士会に設置されている「仲裁センター」や「民事紛争処理センター」

http://www.osakaben.or.jp/framea2.htmlを利用する方法もある。

まず、こちらの意思を伝えるということが必要になる。相談先 soudan.htm

法的な手続

口頭もしくは普通郵便や内容証明郵便naiyoushoumei.htmで、こちらの要求を相手方に伝え、相手方の出方をみる。そして、当事者の話合いで解決しそうなのか、もしくはなんらかの法的な手続が必要なのかを検討する。法的な手続は、調停・督促手続・訴訟・起訴前の和解などがある。

法的な手続をとり、それで任意に解決すればよいが、法的な手続というと、執行力を取得するための手続ということになる。執行ができるのかということも考えておく必要がある。

民事紛争の法的な解決手段の一つとして訴訟があるが、これは時間と労力がかかるうえ、納得できる解決が必ずしも得られないということで、できれば訴訟以外の方法で解決したいということがある。

民事調停手続

調停には民事調停法にまとめられた一般民事調停と家事審判法に規定される家事調停とがあるが、いずれも裁判官、または民間人である調停委員を加えた調停委員会の手続として認められるものである。

調停は、訴訟のように裁判官が法律的裁判によって一刀両断的に解決を強制するものではなく、双方の合意による妥当な解決を図るのが目的であり、その合意が違法、または、著しく不当でない場合に、これを調書に記載することによって、あたかも訴訟上の和解が成立したのと同様の効果が与えられるものである。結論を強制されるわけではないので、話がまとまらなければ不調ということで手続は終了することになる。

調停では、介入する国家機関が職業的裁判官だけでなく、民間から選ばれた調停委員が参与し、社会人としての健全な良識の立場から法律の枠を離れて、道徳の要求や愛情の願いにも耳を傾けながら、当事者間に円満な話し合いができることを目的としている。

民事訴訟を提起できる場合は、すべて民事調停を申立てることができるばかりでなく、債務の存在を争わない債務者が、その弁済の猶予や債務の一部免除を与えられるよう求める場合のように、権利を主張して訴えを提起できない事項についても、調停の申立ができるので、この点訴訟よりも調停のほうが利用範囲が広いといえる。しかし、調停制度は紛争解決の万能の制度ということはできない。調停によってどうしても当事者を納得に導くことができない場合は、やはり白黒を明らかにするため訴訟によらなければならないということになる。

一般民事調停の手続

原則、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申立をする。定型の申立書が各簡易裁判所に備えてある。

申立を受理された事件は、調停委員会を開いて調停を行うことになる。

そのため、調停期日が定められ、当事者双方に期日呼出がなされる。

調停の場所は、原則として裁判所であるが、現地に臨んだほうがよい場合は現地で調停が行われる。

調停期日には、原則として当事者本人が出頭しなければならない。正当な理由がないのに出頭しないときは5万円以下の過料に処せられるときがある。

当事者本人が病気その他やむを得ない事由で出頭できないときは、代理人を出頭させることができる(委任状提出)。弁護士以外の代理人は、調停委員会の許可が必要である。この許可の手続は本人、または、代理人からする。

本人と共に補佐人を出頭させることができるが、この場合も本人から調停委員会に許可申請をして、許可を得なければならない。

最初は、当事者が別々に調停委員会と話合い、調停が可能な段階になって、当事者双方の話合いということになる。

事実の調査、および、証拠調べは調停委員会が職権ですることになっているが、当事者、調停に参加した利害関係人からも申立てられる。

裁判所は、合意が成立する見込みのないときに、相当と認めるときは、調停委員の意見を聞き、事件解決のため必要な決定をすることができ、この決定に対し、2週間以内に異議の申立のないときは、この決定は確定し、裁判上の和解と同一の効力を有する。

起訴前の和解手続

起訴前の和解は、紛争の自主的解決を促進し、起訴を予防する制度として、訴え提起前に簡易裁判所の裁判官の面前でなされる和解手続で、起訴後の和解である訴訟上の和解とあわせて裁判上の和解という。起訴前和解の性質は民法上の和解であるが、和解の内容を調書に記載すると、その調書は確定判決と同一の効力を有する。

実際に紛争があり、互譲を要する事件は、調停委員も関与する調停制度を利用するのが適当といえるかもしれないが、相手方が直ちに応ずることが期待できるような場合は、簡易性、迅速性、低廉性においてむしろこの手続が便利であるといえる。すなわち裁判外である程度話合いがついている場合に、裁判上の和解として成立させ、和解調書を作成してもらい、これを債務名義として強制執行に利用できるというところにメリットがある。

督促手続(支払督促)

督促手続は、金銭その他の代替物、または、有価証券の一定数量の給付を目的とする請求に限り債権者の申立により支払督促を発し、債務者に異議がなければ簡易迅速に債務名義を得させるための判決手続代用の手続である。債務者に異議があれば判決手続(通常訴訟)に転換する点で判決手続の前提手続といえる。管轄は、相手方(債務者)の普通裁判籍所在地(通常、住所地)の簡易裁判所である。定型の申立書が各簡易裁判所に備えられている。

申立があると、裁判所書記官が、督促手続の要件にあっているかなどを調べて、支払督促を発する。相手方の審尋などはしない。相手方は裁判所から支払督促を受け取った後、その内容に不服があれば、2週間以内に支払督促を出した簡易裁判所へ異議の申立をすることができる。この異議には理由を述べる必要はなく、異議があるというだけでかまわない。この異議の申立があると支払督促は失効し、通常訴訟へ移行することになる。

2週間以内に相手方から異議の申立がないと、申立人より、支払督促に仮執行宣言を付けてもらいたいという申立ができる。裁判所はこの申立があると支払督促に仮執行宣言を付ける。仮執行宣言とは、支払督促が確定していなくても仮に強制執行ができるということである。相手方は、仮執行宣言付支払督促が送達されても、さらに2週間は異議の申立ができる。異議の申立があると、通常訴訟へ移行する。しかし、仮執行宣言がすでに付いているので、強制執行はできるということになる。この強制執行を止めるためには相手方は保証金をつんで、執行停止の申立をする必要がある。仮執行宣言付支払督促の送達後2週間以内に異議の申立をしないと督促手続は終了し、支払督促は確定する。

支払督促メモ tokusokumemo.htm

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