支払督促メモ

「支払督促手続は、金銭その他の代替物、または、有価証券の一定数量の給付を目的とする請求に限り債権者の申立により支払督促を発し、債務者に異議がなければ簡易迅速に債務名義を得させるための判決手続代用の手続である。債務者に異議があれば判決手続(通常訴訟)に転換する点で判決手続の前提手続といえる。管轄は、相手方(債務者)の普通裁判籍所在地(通常、住所地)の簡易裁判所である。定型の申立書が各簡易裁判所に備えられている。

申立があると、裁判所書記官が、督促手続の要件にあっているかなどを調べて、支払督促を発する。相手方の審尋などはしない。相手方は裁判所から支払督促を受け取った後、その内容に不服があれば、2週間以内に支払督促を出した簡易裁判所へ異議の申立をすることができる(注)。この異議には理由を述べる必要はなく、異議があるというだけでかまわない。この異議の申立があると支払督促は失効し、通常訴訟へ移行することになる」

注)正確には、仮執行宣言前の督促異義申立は、債務者が支払督促の送達を受けてから仮執行宣言がなされるまでの間することができ、この2週間というのは、それが経過すれば、債権者が仮執行宣言の申立ができるようになるということであるA。仮執行宣言前の督促異義申立は、仮執行宣言の申立後であっても仮執行宣言が出されるまではすることができる。

郵送でもできる

<手数料>

訴え提起の半額 収入印紙で納める

申立書に貼るか(割印はしない)、もしくは添付しておく

<送達費用(債務者に対する)>

通常、一人1040円

長3の封筒(80円でいける一番大きな封筒)に債務者の住所、氏名を記載して1040円の切手を貼る(切手のみでもOK)

1040円は、80円+書留料420円+特別送達料540円のことで、80円が90円の場合もあり、1050円要求される場合もある。また、A4サイズを折らずに(定型外の封筒にて)送付する裁判所においては、1080円要求される場合もある

<発付通知費用(債権者に対する)>

発送通知と到達通知(裁判所によって多少違う)パターンは以下5つ

・はがき2枚(債権者の住所、氏名を記載)

・はがき1枚と80円切手を貼った封筒1通(債権者の住所、氏名を記載)

・はがき1枚(債権者の住所、氏名を記載)(発送通知と到達通知をまとめて知らせる場合)

・80円切手を貼った封筒1通(債権者の住所、氏名を記載)(発送通知と到達通知をまとめて知らせる場合)

・120円切手を貼った封筒1通(定型外の封筒。債権者の住所、氏名を記載)(発送通知と到達通知をまとめて知らせる場合)

はがき1枚だけのパターンが多いと思われる(裁判所により異なります)

<書記料>

B5の用紙表裏で150円

半面で75円

(平成13年、用紙A4化に伴い、書記料 1枚、150円に変更)

<提出費用>

500円(画一的)

(注意!平成16年1月より、書記料・提出費用が変更され、申立書作成・提出費用 800円に)

<申立書>(申立書・当事者目録・請求の趣旨及び原因)

割印、捨印をしておく

当事者目録・請求の趣旨及び原因の用紙をコピーする

債務者の数プラス1(もしくは仮執行宣言申立のことを考えて、当事者の数(債権者・債務者)プラス1)

*送達場所の届出 債権者側 司法書士事務所可

<相手が異議を述べて訴訟へ移行した場合>

管轄は、支払督促をした簡易裁判所か地方裁判所になる

印紙の追加、準備書面の提出を求められる

訴訟までしたくない場合

支払督促の取り下げ

又は、印紙の追加をほっておく(却下)

 

相手(債務者)が不在で到達しない場合、裁判所は、債権者に対して、就業場所の調査を依頼、就業場所不明の場合(補充送達・差置送達不能の場合)は、書留郵便に付する送達をする

*書留郵便に付する送達(発したときに到達したものとして取り扱う)

相手が居るのに、どうしても到達しない場合に利用(相手が居ることの疎明が必要)

公示送達は不可

債権者が裁判所の依頼に対して何もしない場合、却下

いろいろな送達方法で不可能(送達できる場所が全くない場合)であれば、債権者へ、その旨を通知し、通知を受けてから2ヶ月の不変期間内に、新たな送達場所の申し出がなければ取下げたものとみなす

<却下確定、送達前の取り下げ>

手数料の還付請求ができる

ただし、手数料の2分の1(最低 3000円)が控除される

したがって、手数料が3000円以内であれば還付なし

<仮執行宣言の申立>

債務者が、支払督促の送達を受けてから2週間以内に、督促異議の申立をしないときに仮執行宣言の申立ができる

(債務者が支払督促正本の送達を受けた日の翌日から起算して2週間以内に支払督促に対する督促異義の申立をしないときにできる。2週間目の最終日(この最終日が日曜、土曜、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日〜12月31日までの日に当たるときは、その翌日まで延長される)の翌日が仮執行宣言の申立の始期である)

仮執行宣言の手続費用については、書記料、提出費用については支払督促と同様

書記料 B5、1枚(表のみ)で済む場合が多いので、その場合 75円

(平成13年、用紙A4化に伴い、書記料 1枚、150円に変更)

申立書提出費用は、一定で、500円

督促正本(仮執行付)送達費用は、債務者と債権者両者に送達されるので、2080円、ただし債権者については、請書により普通郵便でなされる場合もある

2080円は、(80円+書留料420円+特別送達料540円)×当事者二人(債権者及び債務者)のことで、80円が90円の場合もあり、2100円要求される場合もある。また、A4サイズを折らずに(定型外封筒にて)送付する裁判所においては、2160円要求される場合もある

それ以外に送達不能通知用として、郵便切手もしくははがきを要求される場合がある

当事者目録・請求の趣旨及び原因(支払督促のときに利用したものと同じもの)を当事者の数だけ(もしくは1部)提出する

仮執行宣言の効力は、債務者に送達されたときに生じる(執行力が生じ、債務名義となる)

仮執行宣言後の債務者の異義(督促異義)は、債務名義の確定を阻止するもので訴訟手続に移行するが、執行力はすでに生じている。

仮執行宣言後の督促異義の申立は、債務者が仮執行宣言付支払督促正本の送達を受けた日の翌日から起算して14日(この最終日が日曜、土曜、国民の祝日に関する法律に規定する休日、1月2日、1月3日又は12月29日〜12月31日までの日に当たるときは、その翌日まで延長される)の間にできる。この異義は、通常訴訟に移行させ、債務名義の確定を阻止しようとするものであり、この異義だけではすでに生じている執行力を停止することはできない。