相続−旧民法〜現行民法(メモ)

いつ相続が生じたかによって適用法律が異なります。

旧民法

明治31716日〜昭和2252日の間に相続が発生した場合

<家督相続> 戸主の相続(死亡、隠居等)−相続人は一人

順序

(1) 第1種法定の推定家督相続人  家族たる直系卑属(代襲相続あり)

親等の近い者が先順位。親等の同じ者は男が先順位。年長者が先順位。など

長男単独相続が原則

(2) 指定家督相続人 戸籍上の届出によって効力が生じる

(3) 第1種選定家督相続人  家族中より選定

3)の順序(被選定者)

@ 配偶者 ただし、家女なるとき(もともとその家にあった者)

A 兄弟

B 姉妹

C 第1号@に該当しない配偶者(婚姻により家に入ってくる通常の場合の配偶者)

D 兄弟姉妹の直系卑属(甥、姪)

選定者

家に被相続人の父あるときは父、父がいないとき又は父が意思を表示できないときは母、父母ともにおらず又は意思を表示できないときは親族会

(4) 第2種法定の推定家督相続人  その家にある直系尊属   *(3)の被選定候補者もいない場合に適用

(5) 第2種選定家督相続人  親族会が、親族、家族、分家戸主、本家又は分家の家族、もしくは他人の中から選定

直系卑属につき、代襲相続あり

<遺産相続> 戸主以外の家族の相続(死亡)−共同相続あり

順序

(1) 直系卑属(代襲相続あり)

親等の異なる場合、近い者が優先、複数ある場合は共同して相続する

男女の別、実子養子の別、嫡出子非嫡出子の別で遺産相続人となることにつき差別なし

嫡出子と非嫡出子では相続分については差がある。非嫡出子は嫡出子の2分の1

親子関係を有する継親子、嫡母庶子の間にも相続あり

継親子

例)戸主 甲と乙(先妻)との間にAが生まれ、その後、甲と乙は協議離婚し、甲は丙(後妻)と再婚。A(先妻の子)と丙(後妻)は、戸主 甲の同一戸籍(家)に入っている場合、丙は継母で、Aは継子となる。

甲が死亡し、Aが家督相続し、戸主となり、丙が丁(後夫)再婚した場合、丁は継父で、Aは継子となる。

「前後2個の婚姻」「同一の家にある」が要件(同じ家にあるというのは存続要件ではない。例えば継子が婚姻、縁組によって他家に入っても関係は消滅しない)。離婚や、夫婦の一方が死亡し生存配偶者が家を去った場合(本家相続、分家、廃絶家再興を除く)、消滅する。

応急措置法施行によって消滅(ただし、旧法当時生じた相続については親子関係があることを前提に相続の処理する)

嫡母庶子

例)戸主 甲には妻乙がいたが、戸主 甲と未婚の女性との間に子Aができ、戸主 甲がその子Aを認知してAは甲と同一の戸籍(家)に入った場合、甲の妻乙とAとの間には、嫡母庶子関係が生じる。

「庶子の父と嫡母との間に有効な婚姻関係がある」「同一の家にある」が要件(同じ家にあるというのは存続要件ではない。例えば庶子が婚姻、縁組によって他家に入っても関係は消滅しない)。離婚や、夫婦の一方が死亡し生存配偶者が家を去った場合(本家相続、分家、廃絶家再興を除く)、消滅する。

父が認知した嫡出でない子を父との関係で庶子という。

応急措置法施行によって消滅(ただし、旧法当時生じた相続については親子関係があることを前提に相続の処理する)

(2) 配偶者

(3) 直系尊属

親等の異なる場合、近い者が優先、複数ある場合は共同して相続する

(4) 戸主

家に在るなしは関係なし *家に在るなしというのは、同一戸籍にあるかどうかということです

直系卑属につき、代襲相続あり

同順位の相続人が数人あるときは、各自の相続分は均分

現行法との相違は、直系卑属がいれば、配偶者は相続人とはならない。兄弟姉妹は相続人でない 等

応急措置法

昭和2253日〜昭和221231日の間に相続が発生した場合

代襲相続につき、兄弟姉妹の直系卑属には代襲相続権はない。ただし、東京高等裁判所の決定を添付した相続につき例外あり

配偶者は常に相続人。

1順位 直系卑属

2順位 直系尊属

3順位 兄弟姉妹

同順位の相続人が数人あるときは、各自の相続分は均等。非嫡出子は嫡出子の2分の1

配偶者の相続分は、直系卑属とともに相続人である場合は、3分の1。直系尊属とともに相続人であるときは、2分の1。兄弟姉妹とともに相続人であるときは、3分の2 

民法附則252

応急措置法施行前に家督相続が開始し、新法施行後に旧法によれば家督相続人を選定しなければならない場合には、その相続に関しては新法を適用する

要件

1、昭和2252日までに開始した家督相続

2、家督相続人を選定しなければならない場合であること

3、家督相続人が新法施行より前(昭和221231日まで)に選定されていないこと

1種法定の推定家督相続人がなく、指定家督相続人(戸籍上の届出によって効力が生じる)もなく、第1種選定家督相続人(家族中)となり得る者がいるにもかかわらず、選定されていないとき

1種法定の推定家督相続人がなく、指定家督相続人(戸籍上の届出によって効力が生じる)もなく、第1種選定家督相続人(家族中)となり得る者もおらず、第2種法定の推定家督相続人もいないときで、第2種選定家督相続人が選定されていないとき

例えば、その家(戸籍)の戸主が死亡し、その家(戸籍)に、母と弟妹と妻がいた(戸主死亡当時、生きていた)場合、指定がなければ母が(通常)弟を家督相続人に選定することになる(第1種選定家督相続人)が、その選定がなされていない場合(この場合、新法が適用され、妻と母が相続人となる。母が法定家督相続人になるのではない)

例えば、その家(戸籍)の戸主が死亡し、その家(戸籍)に、母と弟妹がいた場合、指定がなければ母が(通常)弟を家督相続人に選定することになる(第1種選定家督相続人)が、その選定がなされていない場合(この場合、新法が適用され、母が相続人となる)

例えば、その家(戸籍)の戸主が死亡し、その家には妻(配偶者)しかいない場合(父母死亡など)、指定がなければ親族会がその配偶者を家督相続人に選定することになる(第1種選定家督相続人)が、それがなされていない場合(この場合、新法が適用され、妻と(直系尊属がおらず)他家に兄弟姉妹がいればその兄弟姉妹が相続人となる。もし、例えば他家に母がいるような場合は、妻と母が相続人となる)

例えば、その家(戸籍)の戸主が死亡し、(その家に直系卑属がおらず、指定もなく)その家には第1種選定家督相続人となる者がおらず、第2種法定の推定家督相続人(直系尊属)もいない場合で、親族会が家督相続人(第2種選定家督相続人)を選定していない場合

など

一般的に、家督相続が生じるケースであるにもかかわらず、戸籍上、その記載がなく、第1種法定の推定家督相続人がいない場合がこれにあたる。ただし、昭和221231日までに選定されていたが、戸籍上の届出をしていないという場合は、現在でもその届出は認められる。

あたらない場合というのは、例えば家督相続が生じるケースであるにもかかわらず、戸籍上、その記載がなく、その家(戸籍)の戸主が死亡した際、その家(戸籍)に直系尊属のみがある場合が考えられる。

参考先例 senrei.pdf

ブログ 戸主の相続

民法附則26

新法施行後開始した相続につき、家附の継子に嫡出子と同一の相続権を認める

一定の要件あり

@ 新法施行後に開始した相続について、被相続人が応急措置法施行の際に戸主であること A その戸主は婚姻(入夫婚姻)又は縁組によって他家から入った者であること B その戸主とその家で生まれた配偶者の子との間に応急措置法施行の際に継親子関係があったこと

現行民法(新法)

昭和2311日〜、

昭和2311日〜昭和55年まで、兄弟姉妹の直系卑属に無限に代襲相続あり(この間に生じた相続については注意を要する)

ただし、昭和5611日〜、法定相続分変更、兄弟姉妹の代襲相続はその子までに変更

配偶者は常に相続人

1順位の相続人 「直系卑属」 代襲相続あり

2順位の相続人 「直系尊属」

3順位の相続人 「兄弟姉妹」 代襲相続はその子まで

法定相続分は、昭和5611日以降と前で異なるので注意、また兄弟姉妹の代襲についても、無限か、その子までかと異なるので注意

相続分(括弧内は、昭和2311日〜昭和55年までの相続分)

配偶者と直系卑属が相続人のとき、配偶者2分の13分の1)、直系卑属2分の13分の2

配偶者と直系尊属が相続人のとき、配偶者3分の22分の1)、直系尊属3分の12分の1

配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき、配偶者4分の33分の2)、兄弟姉妹4分の13分の1

古い時代の相続については、いろいろ注意が必要となる。

「被相続人の死亡時期」により適用される法律が異なる → 家督相続・遺産相続。継親子・嫡母庶子。

相続時に相続人にあたる人がすでに死亡しているかどうか、死亡時期に注意。「どちらが先に死亡しているのか」数次相続か・代襲相続か(代襲相続の場合、配偶者は(代襲)相続人にはならない)。数次相続の場合、その配偶者も相続人となり、その後、配偶者が死亡している場合、配偶者について、12歳ぐらいまで遡った婚姻前の戸籍の確認が必要となる。

代襲相続

被代襲相続人は被相続人の子及び兄弟姉妹。

例えば、夫の親(被相続人)が死亡したが、その親より先に夫が死亡していた場合、その妻が代襲相続するかというとこれはしない(夫の親につき、妻が夫を代襲して相続することはない)。

例えば、夫が死亡する前に妻が死亡していた場合、その夫(被相続人)の相続につき、(夫の子ではない)妻の子が、妻を代襲して相続することはない。

不動産 fudousan.html 相続登記 souzoku.htm