Q&A(その他)Q&A QA.htm TOP index.htm

・クレジット・サラ金問題―整理屋とは Q1

・突然、会社を解雇された Q2

・貸したお金を返してくれない Q3

・家賃滞納による家屋明渡しの執行 Q4

・離婚後の姓について Q5

・夫死亡後の夫の両親との関係について(平成16年) Q6

・破産の場合、滞納固定資産税と滞納住宅ローンについて(平成178月) Q7

・不動産に対する仮差押(平成19年) Q8

注)平成11年から随時、掲載していますが、回答した時点後の、法改正等については、フォローできていない個所があるかもしれません。

(クレサラ問題)

Q1、主人が、サラ金業者6社ぐらいから250万円ほど借金をしておりました。3ヶ月ほど前に主人が、ポストに入っていた「借金を低金利で1本化」というビラをみて、そこに電話をし、相談にいったところ、「弁護士を紹介され、整理してもらった」ということで、その後毎月9万円ほどその弁護士宛てに入金しています。「日本クレサラ相談センター」と題する立派なパンフレットをもらい、主人は信用しているようですが、先日テレビで、多重債務者を食い物にする悪徳商法に関する報道をみて、不安になっています。悪徳商法がどうか確かめる方法はあるでしょうか。

A1、多重債務者を食い物にする悪徳商法として、整理屋というものがあります。これは、ここでは融資をせず、債務整理に入るということで、月々多額の返済金の振込みを要求し、そこから多額の手数料を徴収するというものです。債権者からの取立てを止める必要があるので、債務整理の受任を受けた旨の通知を弁護士名で各債権者に送付します。このような弁護士は整理屋提携弁護士といわれています。実際は、弁護士の名をバックに整理屋が、債権者と交渉し、かなり安易な方法で整理案を作成してしまい、その手数料が高額で、実質的に債務整理にならない場合が多いのが現実です。相談のような業者からの紹介の弁護士の場合は、この整理屋提携弁護士の可能性が高いといえます。

ご主人に、弁護士に依頼していても、安心できない場合があることを知らせ、その弁護士に、どのように整理しているのか事件の経過報告を求め、振込み済みの金銭の使途や計算書、債権者の領収書などの資料を提出するよう請求してください。納得いくような整理がされているのであればいいのですが、そうでない場合は、その弁護士を断ることになります。弁護士会へ問い合わせてみるのも一つの方法だと思います。

クレ・サラ問題 http://www02.so-net.ne.jp/~cre-sara/ で紹介されている相談先を案内する。

(労働問題)

Q2、長年、正社員として勤務していた会社を、突然解雇されました。解雇通知には、懲戒解雇とし、朝無断遅刻したことが理由となっています。10年ほど勤務しており、その間、遅刻は、2回程度です(それ以外は無遅刻無欠勤)。その程度で解雇というのは許されるのでしょうか。解雇のきっかけとなった遅刻は、たまたま前日深酒をしていたためで、故意にしたものではありませんし、それで会社に損害が生じたということもありません。遅刻した日から働かせてもらえず、その遅刻から1週間後に懲戒解雇の通知が来、処分日時は遅刻日になっています。

A2、会社から一方的に退職させられるのを解雇といいます。解雇するためには、正当な理由が必要で、理由もなく、勝手に会社の判断ですることはできません。その正当な理由は、ケースバイケースになりますが、長年の勤務状況が正常で、数回の朝の遅刻程度(故意ではない)での解雇は一般的には不当な解雇になると思います。この程度で懲戒解雇(おそらく退職金は出ないのでしょうね)というのは不当で、他に公にできないような理由があるのかもしれません。

正当な理由での解雇の場合でも、即時解雇はできず、30日前の予告又は30日の予告手当てが必要になります。即時解雇が許される場合というのは、解雇理由が重大なもの(刑事罰にあたるような行為をしたなど)で労働基準監督署長の認定が必要になります。

もし会社に労働組合があるのであれば、そちらに相談して、交渉してもらう方法があります。労働協約(労働組合と会社とで結ぶ労働に関する約束)には多くの場合、解雇するには労働組合の承認が必要とかになっている場合があります。もし労働協約にそのような文言があり、労働組合を無視しての解雇であれば、解雇無効を主張することができます。

解雇が不当であるとして、裁判所で争う方法としては、まず、給与を確保する意味で、地位保全の仮処分の申立をするというのが考えられます。それから解雇無効確認の訴えや雇用関係存続確認の訴えをするというのが考えられます。簡易裁判所への調停の申立もありますが、これは会社側が無視をした場合は役に立ちません。

相談先としては、労働基準監督署がありますが、ここは主に労働基準法が守られているかをチェックする機関で、解雇理由の当否についての指導はあまり期待できません(予告手当ての支給の点に関しては指導してもらえると思います)。その他、弁護士会や市役所等の役場など(労働センターなど)で相談窓口を設けていると思いますので問い合わせて相談されることをすすめます。もし、裁判で争うとなった場合は、弁護士に依頼されることをすすめます。労働問題は、司法書士に依頼して本人訴訟ですすめるには、本人にとってすこし荷が重いかと思われます。

Q3、バイトで知合った人に、20万円ほど貸したところ、約束の日になってもなかなか返してくれません。簡単な借用書はもらっているのですが、公正証書にした方がいいとか聞いたことがあります。このような場合、返してもらえるようにするにはどういう方法があるのでしょうか。

A3、まず、裁判外では、口頭での請求・文書による請求・内容証明郵便 naiyoushoumei.htm を利用しての請求があり、裁判手続としては、支払督促の申立・調停の申立・訴え提起(通常訴訟)・少額訴訟が考えられます。

支払督促というのは、簡単に言うと、相手方の言い分を聞かずに裁判所から督促状を出してもらい、もし相手が異議を述べなければ、そのままそれが勝訴判決をもらったのと同じことになります。しかし多くは、相手方が異議を述べて、通常訴訟へ移行してしまいます。裁判所から文書が送付されるということで相手方にプレッシャーをあたえることができます。管轄は、債務者(借主)の住所地の簡易裁判所です。

調停は、簡易裁判所へ申し立てて、調停委員といっしょに話し合いで解決しようというものです。あくまでも話合いでの解決ですので、相手が無視をすれば意味がなくなってしまいます。管轄は、原則、債務者(借主)の住所地の簡易裁判所です。

訴え提起(通常訴訟)は、20万円そこそこでは手間や費用を考えるとあまりすすめられません(ケースバイケースですが)。

このような、30万円以下の金銭の支払請求であれば、少額訴訟を利用することが可能だと思われます。。少額訴訟は、30万円以下の少額の訴えについて、訴訟経済を考え、原則1回の期日で終了させ、弁護士を立てなくても本人でできるようにということでつくられた制度です。管轄は、原則、債務者(借主)の住所地の簡易裁判所ですが、債務履行地にも管轄があり、債務履行(弁済)の場所を特に決めていなければ、質問者(貸主)の住所地の簡易裁判所にも管轄があります。詳しくは、私のホームページ saiban.html やそこで紹介している書籍「誰でもできる少額訴訟」(こう書房)を参考にしてください。

注意点としては、訴えを提起して、訴状が相手方に送付され、その相手方が「少額訴訟はいやだ」ということで、普通の訴訟を求めた場合は、少額訴訟は利用できなくなります。また、証拠はその1回の期日(またはそれまでに)に提出できるものでなければならず、ある程度の証拠が揃っていることが必要になります。その借用書が証拠になるかどうかは、どのような内容になっているのか不明なので、なんともいえないのですが、貸付けた日と、金額、弁済期日、借りた人の住所・氏名(自筆)の記載があれば、有力な証拠になると思います。もし、弁済期日が明確でない場合は、内容証明郵便で請求しておくことが必要になります(ちなみに利息の取り決めがなくても、弁済期日以後は、年5分の遅延損害金を請求することができます)。分割払いの判決も可能で、通常訴訟と比べて融通がきくというか、弾力性があります。

支払督促・調停・少額訴訟については、簡易裁判所に本人でも作成できるように定型の申立書等が備えてあるようです。費用は、本人でする場合、訴額20万円として、支払督促・調停は、6000円程度、訴え提起(少額訴訟)は、7000円程度になると思います(この費用は勝訴すれば被告に支払わせることもできます)。これにもし司法書士に書類作成を依頼した場合、2万から4万ぐらいの費用がプラスされます(この費用は勝訴しても自己負担です)。

ただ、勝訴判決をもらっても、相手がそれに従ってくれればいいのですが、支払わない場合は、強制執行ということになりますので、相手の財産にも注目する必要があります。

内容証明郵便などの請求ではだめで、裁判手続をとる場合、自分では手におえないというときは、お近くの司法書士か弁護士に相談してください。司法書士会か弁護士会へ問い合わせれば紹介してもらえると思います。

(強制執行承諾の文言が入った公正証書は、それに基づき強制執行することができるものですが、作成には、原則、借主と貸主がともに公証人役場へ行って手続をする必要があります。返してもらえなくなってからは、相手が協力してくれないと思います。)

Q4、公団の賃貸住宅に住んでいる者ですが、何度か家賃を滞納し、今日、「強制執行の実施について」という通知が、公団の営業所から送られてきました。2日後の日付で、貴殿宅へ訪問し、家屋の明渡日の通知及び家財道具の差押を行うとあります。出て行くのは覚悟しているのですが、すぐ出て行かなければならなくなるのでしょうか。それと衣類とか仕事に必要な道具があるのですがそれも差押さえられてしまうのでしょうか。

A4、強制執行されるということですから裁判所の判決等が出ているのでしょう(強制執行するためにはその前提として裁判手続が必要です)。家屋明渡しの強制執行の場合、おそらく1ヶ月ぐらい(もしくはそれ以上)の猶予はしてくれると思います。強制的に退去させる執行は、家屋の中にあるものを運び出すという手間がかかるため、できれば任意に出て行ってもらうというのを公団側も望むはずです。「家屋の明渡し日の通知」ですからすぐというわけではないと思います。動産の差押えについては、債務者の生活に必要な衣服・寝具・家具や、生活に必要な2ヶ月分の食料・1ヶ月分の生活費、技術者・職人・労務者など自己の知的または肉体的な労働による職業従事者の業務に欠かせない器具その他のものなど差押が禁止されているものがあります。執行官がテレビやステレオなど、比較的換価しやすいようなものについて、査定をして部屋のすみに張り紙をして終了するのが通常です。おそらく出ていってもらうというのが主たる目的だと思いますので、動産の執行についてはそんなに神経質になる必要はないと思います。また差押さえられたものでも自分で買戻すことができます。留守の場合でも執行は可能ですので、きちっと立会うようにしてください。

Q5、教えていただきたいことがあります。実は、娘が昨年6月に離婚しました(協議離婚)。現在、婚姻中の姓になっていますが、今ごろになって婚姻前の旧姓に戻したいと言っております。子供は5歳の男の子が一人います。親権は娘がもっています。その子も一緒に娘の旧姓にしたいそうです。どのような手続をすればよいか(何処に、どのように)教えていただけますでしょうか。

早速ですが、回答。

離婚の際に、婚姻中の姓を称する届出(正確には「離婚の際に称していた氏を称する届出」)をして、婚姻中の姓になっているということですね。(離婚届をすれば、当然、婚姻前の旧姓に戻ります。ただし、離婚届出から3ヶ月以内に届出をすれば婚姻中の姓のままにしておくことができます)

旧姓に戻りたいということですが、そのためには家庭裁判所へ「氏変更許可の審判」の申立が必要になります。そして認めてもらうためには「やむを得ない理由」が必要です。

お子さんは、現在、だれの戸籍にはいっているのでしょうか?おそらく父親の戸籍にはいっているのではないでしょうか?親権者が母親でも家庭裁判所で「子の氏変更の審判」の申立をしないと母親の戸籍には入りません。

家庭裁判所で、まず母親について「氏変更許可の審判」の申立をし、そして、子について「子の氏変更の審判」の申立をすることになると思います(手続としてどちらが先になるか、どちらを先にしたほうがよいかは家庭裁判所でご相談下さい)。子については、15歳未満ですので、親権者である娘さんが子の代理人として申立をすることができます。

申立書は家庭裁判所に備え付けられています。一度、家庭裁判所(住所地の家庭裁判所)でご相談されたらいいかと思います。

できるだけ正確に答えているつもりですが、メールでの質問でもあり、勘違いしている点があるかもしれません。その点ご了承ください。

Q6、夫が突然事故で亡くなりました。実は夫の両親とは折り合いが悪く、付合いがうまくいっていないため、私としては、旧姓にもどり、夫の両親との関係を絶ちたいと思っているのですが、そのようなことは可能でしょうか。

A6、戸籍法上の届出(住所地や本籍地の役所への届出)をするだけで、旧姓に戻ることや、夫の両親(姻族関係といいます)との関係を絶つことは可能です。前者の届出を復氏届と言い、婚姻によって氏(姓)を改めた配偶者が、相手方と死別した後、婚姻前の氏に戻ることを希望した時、届出をするもので、期限の制限はなく、いつでもすることができます。後者の届出を姻族関係終了届出と言います。姻族関係(配偶者の一方と他方の血族との関係)は、婚姻によって生じ、離婚や婚姻の取り消しにより終了しますが、死亡による婚姻関係の終了では姻族関係はなくなりませんので、それを終了させるためには、このような届出が必要となります。これについても期限の制限はありません。夫の両親等との姻族関係を終了させる意味は、3親等内の姻族は親族とされていますので、親族でなくなるということです。したがって、扶養義務について、妻には、夫の両親を扶養する義務(法的)は原則ありませんが、特別の事情があれば家庭裁判所により、3親等内の親族に扶養義務を負わすことができるとなっておりますので、それの可能性がなくなるということです。ただ、亡くなられた夫との間に子供がいる場合、その子供は、夫の両親の孫であり血族ですので、その関係を絶つことはできません。関係を絶つと言った場合、事実上つきあいをしないという意味と、法律上の関係を終了させるという意味があると思いますが、上記は法律上の関係を絶つという観点で説明しました。なお、上記の復氏届出と姻族関係終了届出は別の届出ですので、一方のみをすることも可能です(例えば、姻族関係は終了させるが氏は旧姓に戻らず継続する、その逆もあり)。

Q7、住宅金融公庫と銀行から住宅ローンを組んで一戸建の住宅を購入しました。1年ぐらい返済しましたが、事故により働くことができなくなり住宅ローンの支払ができなくなりました。その住宅は手放すことを決心し、すでに引越しをしそこには住んでいません。この住宅の時価は住宅ローン残高よりかなり安く、又場所が不便なところにあり売却が困難な物件です。借金はこの住宅ローンのみであったため、知合いの「破産はいつでもできるし、ほっといてもかまわない」というアドバイスがあり、支払わないままそのままにしてありました。1年後、住宅金融公庫の保証協会というところから、「代位弁済・差押予告通知」が届きました。そして、固定資産税も滞納していたため、役所から「財産調査の上、差押します」という通知が届きました。最近やっと就職し、わずかですが収入を得られるようになりました。このままほっといてもいいのでしょうか。いずれ破産はしたいと思っていますが、滞納している固定資産税がすこし心配です。

A7、滞納固定資産税について。

破産をした場合

オーバーローン(不動産の時価より住宅ローン残の方が大きい)ということですので、その他、財産がなく、破産が認められ(財産がない場合、通常、同時廃止)、免責決定を得ることができれば、住宅ローンの債務はなくなります。しかし、固定資産税など税金は免責されません。オーバーローンであれば、破産手続の中(管財)で、不動産が売却されるということはないと思います(管財になれば任意売却ということはあるかもしれませんが)。

参考)破産手続で言えば、固定資産税は「財団債権」か「優先的破産債権」になります。「破産手続開始前の原因により発生した租税等の請求権で、手続開始当時に納期限が未到来又は納期限から1年を経過していないもの」「破産手続開始後の原因により発生した租税等の請求権で、破産財団の管理、換価及び配当に関する費用に該当するもの」(財団債権)「破産手続開始前の原因により生じた租税等の請求権で、破産手続開始当時、納期限から1年を経過したもの」(優先的破産債権)。固定資産税は1月1日が基準となります。租税等の請求権(国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権)−国税・地方税・健康保険料・国民年金保険料など−は免責されません。

唯一の財産である住宅に抵当権が設定されていますので、このケースでは、その抵当権が優先します。破産手続とは別に以下の手続で不動産は処分されると思います。

担保権実行による競売の場合

おそらく固定資産税滞納されている役所は、その住宅(不動産)を差押さえ、又、担保権実行の際、交付要求(配当要求)すると思います。しかし、その配当順序は抵当権者が優先します。

登記された各担保権の「担保権設定登記日」と各公租公課の「法定納期限」とを比較。早い方が優先。「担保権設定登記日」と「法定納期限」が同日の場合、担保権が優先。

「抵当権設定登記日」と「法定納期限」を比べ早い方が優先しますので、抵当権者の方が優先します(抵当権は購入の際設定されている)。オーバーローンということですので、抵当権者(公庫等)にすべて配当され、固定資産税滞納の役所に配当はいきません。したがって、破産し免責を得たとしても、この固定資産税滞納分は残ってしまうということになります。競売により買受けた人に、前の所有者が滞納していた固定資産税納付義務はありません。固定資産税の場合、マンションの滞納管理費のように買受けた人にその支払い義務が承継されるというようなことはありませんので、売却の際、精算されるということはありません。

任意売却による場合

固定資産税滞納されている役所が、その住宅(不動産)を差押さえている場合、売却するためには、その差押を取り下げ(解除)してもらう必要があるので、売却で精算されます(精算できなければ任意売却ができません)。また、差押さえられていなくても、固定資産税の滞納があれば、いつでも差押できますので(役所の差押は、裁判手続を経なくてもできます)、それを精算する前提でないと取引が非常に危険になり任意売却が困難となります。任意売却の場合、通常は、滞納固定資産税は売却の際、精算され、なくなります。

したがって、任意売却以外の場合、滞納固定資産税は、残るということになります。(希ですが、任意売却の場合でも残るケースがあります。)売却が遅れれば、(支払わなければ)その分、滞納固定資産税は増えていきます。

滞納固定資産税が残った場合どうなるか。?対象不動産が競売で売却され、納税義務者が破産をした場合、固定資産税を滞納されている役所は、どこまで追いかけてくるか(滞納処分をするか)。?破産をしており、支払いが困難な状況であれば、多くの場合、役所はあきらめる。?(この「あきらめる」−滞納処分の停止−というのが多いと思う)ただ、支払い能力があれば、請求は続ける。?給与の差押までしてくる可能性は少ないが、絶対ないとは言えない。破産後、役所へ相談か。

参考)滞納処分の停止。滞納者に次のいずれかの事由に該当すると認められる場合には、滞納処分を停止することがあります。(滞納者からの申請は不要。あくまで職権に基づき決定します。)@滞納処分を執行できる財産がないとき。A滞納処分を執行することによって滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。B滞納者の所在及び滞納処分を執行することができる財産がともに不明であるとき。停止処分された後、資力の回復がなく、停止された状態が3年間続くと、納税義務が消滅することとなります。

Q8、不動産を所有している人にお金を貸していて、その返済が遅れています。他にも借金がたくさんあるようですが、不動産に対し仮差押をしておけばその不動産から優先的に返済を受けられるのでしょうか。

A8、仮差押には抵当権などと異なり、優先弁済権はありません。したがって、早期に裁判所に仮差押の申立てをし、1番目に仮差押の登記をしておいたとしても他の債権者よりも優先的にその不動産から返済を受けられるわけではありません。仮差押は、その不動産が処分されてしまうと困るので、その財産確保のためにします。

1番目に差押や仮差押をしても、後で他の債権者が、差押をし、または仮差押をし競売手続きで配当要求すれば、その債権者との間では、債権額に応じ平等となります。

優先するかどうか、不動産競売後の配当の順序については、例えば、先順位で抵当権が付いている場合は、その抵当権者が優先します。抵当権が1番目に付いていれば、通常、その抵当権者が最優先されます(ただし、税金などの公租公課については、法定納期限が基準となりますので、抵当権者より公租公課が優先する場合もあります)。抵当権が先に付けられる(登記される)とその抵当権者が優先しますので、それを防ぐ意味では、仮差押や差押は有効です。その債務者が多額の税金を滞納しているような場合は、税金などの公租公課の方が優先しますので、一般債権者は配当を受けられないケースもあります。

優先弁済権を得るためには通常お金を貸すときにその不動産に抵当権を付けておく必要があります。

(配当要求できる債権者は、執行力ある債務名義を有する債権者、差押登記後に仮差押の登記をした債権者など。配当を受けられる債権者は、差押債権者、差押登記前に登記した仮差押債権者、差押登記前に登記した抵当権者、配当要求した債権者、交付要求した公租公課官公署など。優先順位は、@抵当権者や公租公課、Aその他の優先権のない一般債権者は平等)