脚本ができるまで.その6


発注
 シナリオ会議に出席して、まずやる事は名刺交換(^^;)。
 ま、この辺は一般のサラリーマン社会と一緒ですね。
 ていうか、アニメ界も一般社会の中に含まれる訳ですから、最低限の社会常識は身につけておかないと……。
 何しろ脚本家というのは、基本的には何の後ろ盾もありません。
 会社勤めの人間だったら、ある作品でトラブルを起こしたとしても、別の作品担当に回されるか、違う部署に回されるか……
 よっぽどの事がなければ、クビになるなんて事はありません。
 が、脚本家が作品から外れるということは即、その作品分の収入がなくなるということです。
 必要以上に媚を売ることはないでしょうが、慎重に行動すべきでしょう。特に初顔合わせの人間が多い席では。

 で、挨拶が済んだ後は、作品についての細かい説明を受ける事になります。
 説明を受けるからには、事前に送られてきた資料のうち、必要と思われる物は持参していくべきでしょう。
 あと、やはり筆記道具。
 話を聞いて、重要と思われる部分はメモしておかないと。
 電話や、資料を見ただけではわからない事もありますから。

 一通りの説明が終わると、いよいよ発注、という事になります。
 シリーズ構成が作った、シリーズ構成案(表)を見ながら、
「あなたは第○話を担当して」
 となるわけです。
 このシリーズ構成案(表)は、人によって書き方は色々です。
 基本的には、「第○話 こんな話(短いあらすじ)」というのが書き連ねてあります。
 この話で新キャラが登場する、とか、新アイテムが出てくる、何てのも書いてあるわけです。
 「誰々を中心に描く」とか、冒険物だと「こんな所が舞台」とか書いてあることもあります。
 キャラクターの心情変化について書いてある場合もあります。
 原作物だと「原作第△巻 XXページからYYページまで」と書いてあります。
 但し、ストーリー物でない場合は話数の指定はなく、「これこれこんな感じの話」と発注されることもあります。
 それを見て、何か疑問があれば、その場で質問します。

 ただ、発注と言っても、いきなり、
「じゃあ、シナリオを書いてきて」
 と言われる訳ではありません。
 大抵は、
「まずプロットを書いてきて」
 と言われます。
 という訳で、次は「プロット」に関する話。(つづく)


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