脚本ができるまで.その12


シナリオにかかる時間
「一本の脚本を書くのに、どれぐらいかかるのか?」
 これは、いろんな人からよく訊かれる質問です。
 ですが、この質問に明快に答えることは非常に困難です。
「わからない」
 これが私の正直な答えです。
 本当にわからないのです。
 何時間もパソコンの前に座っていても、ほんの数行しか書けないこともあり ますし、すごいペースで書き進めることもあります。
 この一番速いペースをずっと維持できるとすると、約5時間で30分番組の 脚本ができあがります。
 ですがそういう事は、滅多にありません。
 一年に1,2回あればいいところ。
 人間の集中力はそんなに長く続くものではありませんし、一度手が止まって しまうと、再開するまで相当な労力が必要です。
 息抜きのつもりでインターネットサーフィンをやってたら、そのまま一日が 過ぎてしまった、なんて事もあります(^^;)。
 また、意外と見過ごされがちですが、実際にシナリオを書き始める前の、 『考える時間』というのも、脚本家にとっては重要です。
 散歩したり、風呂に入ったりしながら、頭の中でシナリオの細部まで検討し てみるのです。
 頭の中で登場人物を動かしてみて、セリフの流れ、シーンの繋ぎに不自然な 点はないか、人物の心情の流れに不自然な点はないか、伏線はきちんと張られ ているか、話のつじつまはあっているか……等々の点をチェックしていくので す。
 この『考える時間』の中でチェックが完璧にできると、実際に脚本を書く時 間は短くて済みます。

 さて、脚本を書き上げると、誤字脱字等がないかチェックして、制作会社等 にFAXします。
 そしていよいよ、シナリオ会議です。(つづく)


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