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オールインワンノート、タイプVW

オールインワンノート、タイプVW PC-VY18M/W-3

 ここでは NECのビジネス向けノートパソコン PC98-NX VersaProシリーズのオールインワンノートと呼ばれるタイプ VWをメインに取り上げます。マザーボードが共通のタイプ VRにも触れておきます。この項では、以下のモデルが対象です。

タイプ VW

モデル名発売時期搭載 CPU動作
クロック
搭載
チップセット
拡張バス備考
VY21A/W-12006/10Core2 Duo T74002.16GHzATI RADEON
Xpress 1250
PCMCIA(32ビットカードバス) 2スロット,

mini PCI Express 1スロット
VT対応
VY20A/W-12006/10Core2 Duo T72002.0GHzVT対応
VY18A/W-12006/10Core2 Duo T56001.86GHzVT対応
VY16A/W-12006/10Core2 Duo T55001.66GHzVT対応
VY21A/W-22007/ 1Core2 Duo T74002.16GHzATI RADEON
Xpress 1250
PCMCIA(32ビットカードバス) 2スロット,

mini PCI Express 1スロット
VT対応
VY20A/W-22007/ 1Core2 Duo T72002.0GHzVT対応
VY18A/W-22007/ 1Core2 Duo T56001.86GHzVT対応
VY16A/W-22007/ 1Core2 Duo T55001.66GHzVT対応
VY21B/W-22007/ 1Core2 Duo T74002.16GHzATI RADEON
Xpress 1250
PCMCIA(32ビットカードバス) 2スロット,

mini PCI Express 1スロット
VT対応
VY20B/W-22007/ 1Core2 Duo T72002.0GHzVT対応
VY18B/W-22007/ 1Core2 Duo T56001.86GHzVT対応
VY16B/W-22007/ 1Core2 Duo T55001.66GHzVT対応
VY21A/W-32007/ 5Core2 Duo T74002.16GHzATI RADEON
Xpress 1250
PCMCIA(32ビットカードバス) 2スロット,

mini PCI Express 1スロット
VT対応
VY20A/W-32007/ 5Core2 Duo T72002.0GHzVT対応
VY20G/W-32007/ 5Core2 Duo T72002.0GHzVT対応
VY18A/W-32007/ 5Core2 Duo T56001.86GHzVT対応
VY16A/W-32007/ 5Core2 Duo T55001.66GHzVT対応
VY16G/W-32007/ 5Core2 Duo T55001.66GHzVT対応
VY18M/W-32007/ 5Celeron M 4401.86GHzVT非対応
VY21A/W-42007/10Core2 Duo T74002.16GHzATI RADEON
Xpress 1250
PCMCIA(32ビットカードバス) 2スロット,

mini PCI Express 1スロット
VT対応
VY20A/W-42007/10Core2 Duo T72002.0GHzVT対応
VY20G/W-42007/10Core2 Duo T72002.0GHzVT対応
VY18A/W-42007/10Core2 Duo T56001.86GHzVT対応
VY16A/W-42007/10Core2 Duo T55001.66GHzVT対応
VY16G/W-42007/10Core2 Duo T55001.66GHzVT対応
VY16M/W-42007/10Celeron M 5201.60GHzVT非対応

 VY型番は企業・自治体・官公庁向けモデル、VJ型番はSOHO・中小企業向けでサポート体制が若干異なる。
 上記のうち W-2モデルで二桁の数字の後が Bのモデルは Vista Premiumモデル。

タイプ VR

モデル名発売時期搭載 CPU動作
クロック
搭載
チップセット
拡張バス備考
VY17E/R-12006/10Core Duo T25002.0GHzATI RADEON
Xpress 1250
PCMCIA(32ビットカードバス) 2スロット,

mini PCI Express 1スロット
VT対応
VY16E/R-12006/10Core Duo T2300E1.66GHzVT非対応
VY16M/R-12006/10Celeron M 4301.73GHz-
VY17H/R-22007/ 1Celeron M 4301.73GHzATI RADEON
Xpress 1250
PCMCIA(32ビットカードバス) 2スロット,

mini PCI Express 1スロット
VT非対応
VY17M/R-22007/ 1Celeron M 4301.73GHzVT非対応

 VY型番は企業・自治体・官公庁向けモデル、VJ型番はSOHO・中小企業向けでサポート体制が若干異なる。

 基本的な仕様や操作方法、BIOSの設定については、電子マニュアルが NECの公式サイト「121ware.com」の「商品情報検索」よりダウンロードできますので説明を省きます。
 ここでは、マニュアルに記載のない非公式情報が中心です。ですので当ページの内容を NECのサポートに問い合わせること等は、サポートに対し迷惑な行為ですので絶対にしないでください。
 また、当ページ内の情報をもとに機器の拡張や接続を行った場合は、改造行為に該当する可能性があります。この場合はメーカー保証が適用されなくなりますのでご注意ください。万が一故障した場合でもすべて自己責任でお願いします。

特徴

● 全般

 NECのビジネス向けノートパソコン VersaProシリーズのオールインワンノートの流れをくむマシンです。「オールインワン」の意味合いとしては、USBメモリの普及で外付けが一般的になった 3.5インチ フロッピーディスクドライブ (FDD) や、省略される事が多い RS-232Cシリアルポートを内蔵していることから名づけられました。先代の WF-Xモデルと比較すると筺体こそ同じ物のチップセットが AMDの ATI Radeon X200M/ IPX450から ATI Radeon X1250/ IPX460に代わった以外に目立った変化は有りません。
 Core2 Duoのモデルであれば、Windows XPで Wordや Excel等のビジネスソフト中心、ネット閲覧、2D中心のゲーム程度であれば、それほどストレスは感じません。Windows Vistaのようにグラフィック効果を多用するケースではやや苦しい場面もあるかと思いますが、全く使えないと言うほどではありません。メインに Windows7もしくは 8.1のパソコンを持っている環境であれば、サブ機と言う位置付けであれば十分な能力を持っています。なお、3Dゲームや動画再生には力不足で不向きです。

 一方、同時期に新たに登場したタイプ VRは、タイプ VWのエントリーモデルと言う位置づけでマザーボードはタイプ VWと同じものの Core Soloプロセッサや Celelron Mといった低価格帯の CPUや 3.5インチ FDDを削ることでコストを下げ価格を安く抑えています。このタイプ VRは、2007年 5月期からタイプ VWのエントリーモデルに統合されました。

● マザーボード

 マザーボードは NECが設計した台湾製 マザーボードです。チップセットにグラフィック機能を統合したモバイルコンピュータ向けの AMD製 ATI RADEON Xpress 1250 (ATI RADEON X1250) を搭載していてます。サウスブリッジは当時最新の SB600では無くひとつ前の世代の IPX460を搭載しているのが特徴です。また、グラフィック機能向けにオンボードでメモリを 256MB搭載しています。この内蔵グラフィックの性能は同時期の Intel製品と比較するとそこそこ性能が良く 3DMark03、3DMark05等のベンチマークソフトで比較すると GM965 Expressチップセットの GMA X3100よりスコアは 3割ぐらい高いです。
 すべてのモデルで、ビジネス用途を考慮しセキュリティ機能の強化として暗号化をハードウェアでサポートする TPMチップを装備しています。
 なお、CMOSのバックアップには、リチウム二次ボタン電池の Maxcell ML1120が使われています。充電可能なタイプなので長時間放置すると日付等の設定が消えてしまいます。その際には暫く電源を入れて充電する必要があります。

● HDD、光学ドライブ、FDD

 HDDドライブは、SATA I/F接続の物を正面中央部のフロントパネルの中に搭載しています。内蔵 SATA I/Fは、BIOS画面にモード設定項目が無いため AHCIに変更できません。IDEモード固定です。

PC-VY18M/W-3 HDDスロット

 本機では HDDマウンタは不要ですが、HDDの裏に貼られている樹脂製のタブは HDDを中から引き出す時に必要なので、交換する際には剥がして新しいドライブに貼り付けましょう。(^ ^)b

 プリインストールの OSは、Windows XP Profesionalまたは、Windows Vista Buisinessです。

 光学ドライブは従来の ATAPI接続です。ネジ 2本で固定されているだけなので、わざわざ筺体をバラさなくても交換が可能です。ベゼルは GBAS仕様なので最近のドライブであれば交換可能です。

 FDDは、3.5インチ 3モードタイプのドライブ NEC FD3238Tを搭載しています。HDDに保存されている専用のドライバに入れ替えることで PC-98の 1.25MBフォーマットも読めるようになります。

● 液晶パネル

 15インチの TFT液晶パネルを搭載しています。パネル表面はビジネスモデルらしく映り込みを低減するノングレア加工が施されています。解像度は XGA (1024 × 768ドット) と SXGA+ (1400 × 1050ドット) の二種類があり注文時に選択することができました。

 どちらも発色は悪くありませんが、標準の XGAパネルではドットが大きくややフォーカスが甘い印象を受けます。一方 SXGA+パネルはドットが小さくクリアで引き締まった印象を受けます。文字は小さくなりすぎず非常に見やすいです。また、ワイド液晶パネル程ではないにしろウインドウを二つ開いて作業する際には便利な広さです。一度、SXGA+パネルを見てしまうと XGAパネルに戻る気にはなれません。(^ ^;;

● キーボード

 タイプVWのキーボードは、87キー配列と 90キー配列の二種類があります。違いは「Home」、「PgUp」、「PgDn」キーの有無です。キータッチはクリック感が強くやや硬めの印象です。個人的には打ち間違いが無くて良いと思いますが、キータッチの速い人には硬すぎるかもしれません。

● 騒音

 CPUファンの音は、ファンが小さい分、音は大きめで静かな環境では気になります。高負荷時ではかなり耳障りに感じます。

● 電源、バッテリ

 ACアダプタは、純正品の型番は PC-VP-WP80/ ADP81です。入力は 100Vから 240Vに対応し、出力は 19Vで 4.74A、センター+です。

 バッテリは、標準添付のニッケル水素タイプ「PC-VP-WP81-02」とオプションのリチウムイオンタイプ「PC-VP-WP82-02」が対応しています。ニッケル水素タイプの駆動時間は CPUによりますが 1時間 (Celeron M)から1.4時間 (Core2 Duo T5500)、フル充電までの時間は 2.2時間です。
 リチウムイオンタイプの方が若干軽く、ニッケル水素タイプに比べて駆動時間は 1.1時間、フル充電までの時間は0.5時間延びます。いずれのタイプも 2014年現在でも新品が購入可能です。

 プリインストールの OSには、バッテリメンテナンス用ツールがインストールされています。

VersaPro タイプVW 互換機

 VersaPro タイプVWシリーズを流用した互換機ともいえるモデルが存在します。VersaProシリーズとは、ハードウェアに違いはありませんが、筺体のアクセント色や BIOSの一部、保証内容、サポート体制が異なります。
 OSのバックアップが入ったリカバリー CD等の使いまわしは、当然できません。

● NEC Lavie Lシリーズ

 同社の民生向けノートパソコン Lavie Lシリーズの PC-LL700/FD 〜PC-LL990/FDモデルでは、タイプ VW (先代の WF-Xモデル)をベースにしています。天板のシリーズ名のロゴ、リモコンの追加、キートップの色が白、液晶パネルがグレアタイプと言う違いが有りますが、ハードウェアとしては同じですので交互にパーツを使いまわす事ができます。

● 三菱 apricot ALシリーズ

 三菱電機 (三菱電機インフォメーションテクノロジー) の法人向けノートパソコン apricot ALシリーズで、AL Wシリーズが タイプ VWの W-3モデル、AL W2シリーズがタイプ VWの W-4モデル、AL R7シリーズがタイプ VRの R-1モデルに該当する機種です。アクセント色はエメラルドグリーンで本家よりも爽やかな印象 (^ ^;;)。本体のロゴや起動時の画面が NECでは無く MITSUBISHIになっている点を除いて、ハードウェア仕様などは全く同じです。

CPUの交換

 CPUの交換は動作保証外で、保証期間内でもサポートが受けられなくなるので自己責任でお願いします。

 CPUの交換は、Socket Mに対応した Celeron M、Core2 Duoといった Core2系統の CPUに交換可能です。電源ユニットの供給電力や冷却能力には特に問題ありませんが BIOSの制限で交換する CPUには注意が必要です。

 本機のチップセットは AMD ATI RADEON(TM) X1250、CPUソケットの形状は Socket Mです。BIOSはタイプ VWの各シリーズ内 (W-3など) で共通なので Celeron Mモデルに Core2系 CPUを搭載することもできます。

 交換できる CPUとしては、各シリーズ、例えば PC-VY18M/W-3の場合は、W-3シリーズに採用されている CPUであれば確実に交換できます。

 2013年 3月現在、Celeronモデルの PC-VY18M/W-3は中古市場で投げ売り状態なので、比較的安めの Core2 Duo T7200と交換するだけで、格安でそこそこ使えるマシンになります。(^-^)b

 なお、Celeronモデルでも、Core2系モデルと BIOSが共通なので、Core2系の CPUを搭載すれば、VT機能、Speed Step機能を自動認識し使用できるようになります。

● SocketM (Socket 479M) 対応 CPU

 以下は、PC-VY18M/W-3で採用されている CPUの CPU IDから割り出した動作するであろう Socket M対応の CPUの一覧です。筆者が実際に動作する事を確認した訳ではないのでご注意ください。

 一覧で赤文字の CPUは、W-3シリーズで採用されている CPUです。

 Pentium Dual-Coreは、VT機能に対応しますが intel x64に対応していません。

名称コア名番号動作周波数コア数FSBL2 CacheVTTDP
Core2 Duo Merom T7600 2.33GHz 2 667MHz 4MB 34W
T7400 2.16GHz 2 667MHz 4MB 34W
T7200 2.0GHz 2 667MHz 4MB 34W
T5600 1.83GHz 2 667MHz 4MB 34W
T5500 1.66GHz 2 667MHz 2MB 34W
T5300 1.73GHz 2 533MHz 2MB × 34W
T5200 1.60GHz 2 533MHz 2MB × 34W
Core Duo Yonah T2700 2.4GHz 2 667MHz 2MB 31W
T2600 2.16GHz 2 667MHz 2MB 31W
T2500 2.00GHz 2 667MHz 2MB 31W
T2450 2.00GHz 2 533MHz 2MB × 31W
T2400 1.83GHz 2 667MHz 2MB 31W
T2350 1.86GHz 2 533MHz 2MB × 31W
T2300 1.66GHz 2 667MHz 2MB 31W
T2300E 1.66GHz 2 667MHz 2MB × 31W
T2250 1.73GHz 2 533MHz 2MB × 31W
T2050 1.60GHz 2 533MHz 2MB 31W
Pentium
Dual-Core
Yonah T2130 1.86GHz 2 533MHz 1MB 31W
T2080 1.73GHz 2 533MHz 1MB 31W
T2060 1.60GHz 2 533MHz 1MB 31W
Core Solo Yonah T1400 1.83GHz 1 667MHz 2MB × 27W
T1350 1.86GHz 1 533MHz 2MB × 31W
T1300 1.66GHz 1 667MHz 2MB × 27W
T1250 1.73GHz 1 533MHz 2MB × 31W
T1200 1.66GHz 1 667MHz 2MB × 27W
Celeron M Yonah-1M 450 2.0GHz 1 533MHz 1MB × 27W
440 1.8GHz 1 533MHz 1MB × 27W
430 1.73GHz 1 533MHz 1MB × 27W
420 1.6GHz 1 533MHz 1MB × 27W
410 1.46GHz 1 533MHz 1MB × 27W
Merom-1M 520 1.6GHz 1 533MHz 1MB × 30W
530 1.73GHz 1 533MHz 1MB × 30W

 ちなみに、W-1から W-4シリーズで交換できる CPUで最も処理能力が高い製品は、Core2 Duo T7600 (2.33GHz) となります。

● PC-VY18M/W-3の CPUを Core2 Duo T7200に交換

 今回は、CPU交換実験として PC-VY18M/W-3の CPUを Core2 Duo T7200に交換してみました。

 CPUを交換する際には、液晶パネルとキーボード、補強金具を外せば CPUにアクセスできます。本体全てを分解する必要はありません。

 マザーボードは常に通電状態ですので、内部に触れるときは、ACアダプタだけでなくバッテリパックも外してください。電子部品は静電気に弱いので作業前にアルミサッシや金属製のドアノブに手を触れ静電気を身体から逃してください。

  1. 本体裏側の液晶パネルアセンブリ固定ネジ (画像赤丸部) を 2本外す
  2. PC-VY18M/W-3 液晶パネルアセンブリ固定ネジ位置

  3. 両サイドのヒンジカバーすぐ傍 (画像赤丸部左下) にあるネジを外す。合計 2本。
  4. 蓋を開けてから液晶パネル両サイドのヒンジカバー (画像赤丸部) にマイナスドライバーを挿しこみ上に持ち上げて外す。力を入れ過ぎると傷が付くので注意。
  5. PC-VY18M/W-3 ヒンジカバーとネジ

  6. 液晶パネルを上に持ち上げ、電源ボタンのパネルの爪 (画像赤丸部) を外す。キーボードとパネルの間に薄い定規を挿し込んで上に持ち上げるようにすると外し易いです
  7. PC-VY18M/W-3 電源ボタンのパネル

  8. 電源ボタンのパネル裏のフラットケーブルを外す。コネクタの両端つまんで上に引き上げると固定が解除されます。力を入れ過ぎると折れるので注意
  9. PC-VY18M/W-3 電源ボタンのケーブル

  10. キーボードを手前側に裏返すようにしてめくります。作業の邪魔にならないようであればフラットケーブルは外さなくても構いません。
  11. PC-VY18M/W-3 キーボードのケーブル

  12. キーボード下の補強用アルミ板を外す。 (画像赤丸部) ネジ 6本で固定されています
  13. PC-VY18M/W-3 アルミ板ネジ位置

  14. CPUヒートシンクを外す。ネジ 4本で固定されています。取り付け時は表記されている番号順にネジを締めます。
  15. PC-VY18M/W-3 CPUソケット

  16. CPUソケット上部の黒い丸型のプラスチックの溝にドライバーを当て右へ回すと固定が解除され、CPUが外せるようになります。左へ回すとロックされます。

 これで CPUは外れます。CPUを載せ換えたら CPU用のシリコングリスを中央のコアの上部に米粒大に乗せ、シートシンクを被せて元通りに組み上げていきます。

 CPUを Core2 Duo T7200に交換したところ正常に動作しましたが、冷却ファンの回転が止らなくなりました。ただ、元の CPUに戻しても止まらないので CPU交換とは無関係かもしれません。(^ ^;;
 Celeron Mからの交換だと、かなりのパワーアップを体感できます。

● 交換できない CPU

 AMD RADEON Xpress 1250 との組み合わせで使用できない CPUは動作しません。Meromコアでも FSB 800MHzの CPU、45nmプロセスの Penrynコアの CPUと云った Socket P対応の CPUはソケットの仕様が異なるので動作不可です。
 Socket M以前のMobile Pentiumや Celeron M 200番台、300番台と云った P6マイクロアーキテクチャの CPUもソケットの仕様が異なるので動作しません。

 FSB 667MHz対応の物でも、本体発売以降に登場した CPUは BIOSに CPU IDが登録されていないので正常動作しません。電源は入りますが画面出力が無く、数秒たつと切れてしまいます。BIOSのアップデートが可能なモデルでは、アップデートすることで動作するようになる事も有ります。
 そうでない場合は、自力で BIOSの内容を吸い出し、該当する CPU IDを追加して書き戻すことで使用可能になると思いますが、下手に書き換えると起動不能になり危険なのでここでは省略します。

メモリの増設

 一般的な 200pin DDR2 SDRAM SO-DIMMモジュールが使用可能です。

 メモリスロットは常に通電状態ですので、取り付けや取り外しの際は、ACアダプタだけでなくバッテリパックも外してください。電子部品は静電気に弱いので作業前にアルミサッシや金属製のドアノブに手を触れ静電気を身体から逃してください。

● PC2-5300対応

 システムバスは 533MHzですが、メモリバスは 667MHzで PC2-5300 (DDR2-667) 対応となっています。DDR2メモリは上位互換ですので、PC2-6400 (DDR2-800) のモジュールも使用可能です。ただし、動作クロックは 667MHzのままです。

● 増設できる最大容量

 増設できる最大容量は、オンボードの 256MBと合わせ最大で 2,304MBまです。メモリスロットは底部に二つあり、デフォルトでメモリボードが取り付けられています。1GBのモジュール二枚を取りつけると最大になります。一枚、2GBのモジュールが使用できるかは不明ですが、チップセットの制限により認識しないものと思われます。

● デュアルチャネルに対応

 デュアルチャネルに対応し、2枚の同タイプ、同容量のメモリモジュールを使用することで、メモリのパフォーマンスが若干向上します。特に内蔵グラフィック機能を使用する場合に効果があるそうです。

● 増設時の注意事項

 メモリモジュールが 1枚のときは必ず内側のメモリスロット 0に取り付けること。外側のソケットに取り付けた場合でも動作はしますが、不明なデバイスが現れたりといろいろ不具合が出ます。

 メモリモジュールを 2枚実装する場合は、メモリクロックと CASレイテンシ (CAS Latency, CL) に注意が必要です。メモリクロックや、CL数が異なるモジュールを増設すると、メモリクロックが低い方に合わせられてしまいパフォーマンスが低下します。

液晶パネルの交換

 本機では液晶パネルが XGAと SXGA+の二種類ありますが、タイプ VWの液晶パネルアセンブリであれば交互に交換可能です。

 なお、無線 LANモデルの液晶パネルアセンブリには、内部に無線 LANのアンテナとそれにつながるケーブルが付いています。

 液晶パネルアセンブリの外し方については、「CPUの交換」の「PC-VY18M/W-3の CPUを Core2 Duo T7200に交換」分解手順 1〜 6番を参考にしてください。

 本体左側にケーブルが有ります。これを外して交換します。コネクタのピンは非常に折れやすいので無理に抜き差ししないようにご注意ください。折れてしまうと修復は困難です。

PC-VY18M/W-3 液晶パネルアセンブリのケーブル

 交換後に逆の手順で組み上げ、電源を入れ OSを立ち上げると、Windows XP以降であれば自動でドライバがインストールされ、再起動するとパネルに合わせた解像度になります。

mini PCI Express slot

 本機には拡張スロットとして Card Busスロットに加え、隠しと言う事もないのですが mini PCI Expressスロットが有ります。無線 LAN機能内蔵モデルではここに無線 LANカードが付きます。

PC-VY18M/W-3 mini PCI Expressスロット

 このスロットに対応するカードの種類はそれほど多くありません。無線 LANカード以外には、SSD (Transcend m SATA3 6Gb/s 128GB 3年保証 TS128GMSA370) や動画再生に威力を発揮するハードウェアエンコードカード (Azure Wave AW-VD920H CrystalHD Broadcom BCM70015) が有ります。
 PC-VY18M/W-3を使い倒すという意味では、本機はグラフィック機能が弱いので、ハードウェアエンコードカードを追加すると言うのも面白いと思います。

Windows 7の対応

 本機は、チップセット、グラフィック機能が Windows7に対応しておらず非対応で、Windows Vistaまでの対応となります。ですが、実験的に Windows7 を新規にインストールして実験してみたところ条件付きで正常に動作することを確認しました。

 実験に使用した本体は、PC-VY18M/W-3です。CPU: Celeron M 440 (1コア、1.8GHz)、メモリ: 2.26GB、チップセット: ATI RADEON Xpress 1250、グラフィックアクセラレータ: チップセット内蔵 HDD: 80GBです。

● Windows7のインストール

 PC-VY18M/W-3は、Windows XPモデルだったので新規のインストールになります。本来 Windows7非対応の本機ですが、インストール自体は 30分程度で何事も無く終わります。アップグレードについては、Windows Vistaからは可能ですが、経験上失敗することが多いので必ず事前にバックアップを取るようにしてください。

● Windows7のドライバの問題

 インストール時に、内蔵グラフィックの ATI RADEON(TM) Xpress1250ディスプレイドライバがインストールされません。このデバイスの Windows7対応ドライバは AMDも NECも提供していませんので、「標準VGAグラフィックアダプター」のままになります。これを回避するには以下の 2つの方法が有ります。

  • ATI RADEON(TM) Xpress1250 (ATI RADEON(TM) X1250) の Windows Vista用ドライバを互換モードで強引にインストールする
  • ATI RADEON(TM) Xpress1200 (ATI RADEON(TM) X1200) の Windows7用ドライバを強引にインストールする

 筆者は前者で対応しました。ドライバをダウンロード後、実行ファイルで左クリックしてメニューからの「プロパティ」を選択。「互換性タブ」をクリックして「互換モード」欄の「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェックを入れ、Windows Vista (Service Packの選択は環境に応じて適宜) を選択して最後に「OK」をクリック。その後に実行します。

 途中でエラーが出るときは、同じタブの「特権レベル」欄の「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れて再度実行してみてください。

 ちなみに、AMDのサイトで ATI RADEON(TM) X1250等のモバイルチップセットのドライバを検索するときは、グラフィックドライバでは無く、「Integrated Motherboard Graphics」で検索してください。

● Windows7での雑記

 Celeron M 1.8GHz、メモリ 2GHzと非力ですが、Windows 7の動作は重いと感じることはありません。OSの起動も Windows XPに比べると若干速く、Word、Excel、インターネットのブラウジング程度の軽い作業であれば普通に使えますので、サブ機には良いでしょう。

 唯一、PC-VY18M/W-3と Windows7の組み合わせで不具合が有るのは OS上でのメモリの認識で、オンボードメモリの影響か本来の容量 2GB + 256MBでは無く、22GBとして認識しています。使い続けているとこの影響で何らかの不具合が出る可能性が有ります。この点が心配であれば、Windows Vistaで止めておいた方がいいかもしれません。(^ ^;;

● Windows8は NG

 ちなみに、本機に Windows8を入れたらどうなるかと、テストするために Windows8 Enterprise 評価版をインストールしてみたところ、インストール自体は問題なく終了し起動しましたが、起動直後から CPUの負荷が常に 30から 40%と高い状態となっていて動作が重くまともに動きませんでした。(^ ^;;

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PC98-NX, Mate NX, Valuestarは NEC社の商標または登録商標です。

Core2, Xeon, Pentium4, Celeronは intel社の商標または登録商標です。

Windows, MS-DOSは Microsoft社の商標または登録商標です。

この他、製品名、型番等は、一般に各メーカーの商標または登録商標です。