横田<miskij>萬や

 京奈和自動車道(大和北道路)の方法書についての意見


方法書を見てきました

2004.Dec.3rd
休みをとって、奈良へ。
奈良に着いたのが16時前だったため、県庁へ直行。どこなのかな、と聞いたら、隣の分庁舎…え、県警察本部の上?
稽古道具を携行してたもんだからちょっとドギマギしちゃったけど、何もなく入室。
1時間ばかりの博覧強記(記憶屋ジョニーみたいなものかな)になってしまったけど、 初めて見るものなので結構印象に残る。写真撮影も可だという。
よくある「文字だらけの書類」ではなく、地図を主とし、解説文を従としたような構成。
気になるページ、といっても殆どをメモリスチルカメラに撮りつつ、気のついた事をメモしていく。
なんとか時間内に読了。
思いついた走り書きを掲示板にも流しておいて、まとめたものをメールで送付。


Date: Tue, 21 Dec 2004 04:53:59 +0900
To: 奈良県都市計画課 <toshi @ office.pref.nara....>
Subject: 京奈和自動車道(大和北道路)の方法書についての意見
From: Yokota Mitsuhiro <miskij @ amy.....>

奈良県知事 様

京奈和自動車道(大和北道路)の方法書についての意見を送付しますので、
よろしくご査収ください。メールでの送付については、特に断り書きが記
されておりませんでしたので、受け取っていただけるものと存じます。
折り返し、受領確認の連絡をいただけますようお願いします。

ちなみに、12月3日に、方法書を縦覧させていただきました。時間があ
まりなく、手元のメモの不備のため、一部でページ番号をはっきり示せて
いませんが、なにとぞご了承くださいますようお願いします。

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氏名 横田充洋
住所 千葉市緑区・・・・・・ (前住所:奈良市・・・)

方法書の名称「京奈和自動車道(大和北道路)」について

意見:
・換気塔の存在を前提とした方法書を県民に提示するのであれば、本来は
PIの段階から、はっきりと住民に先行事例(例:東京都・杉並の環状8
号線の井荻トンネルや、アクアライン)を示しているものであるはずです。
 PIでは、高架道路やトンネルの構造図を示しているにも関わらず、
換気塔の存在を伏せてきたような印象がします。むしろ、このまま計画を
進めようとするのは、国交省が推進しようとするPIの存在意義にも関わ
ることになると確信します。
 京都の宇治では、マンション建築に伴い、アドバルーンを建築予定の高
さまで揚げて、宇治平等院から見えるかどうかの確認を行ったそうです。
 これと同様に、しかも世界から一目おかれる地であることもふまえ、年
単位で設置し、国外、県外から訪れる観光客からも意見をきちんと募るよ
うにしてください。

・トンネル案について、排出されるであろう土砂量の推定が全く記されて
いないようにお見受けします。PIにて、トンネル案の構造図が示されて
いますので、これを元に試算を示すことは可能です。トンネル区間が一条
交差点〜下三橋町北交差点として、5.2km。径14mのトンネルが2本な
ので、160万立方メートルになります。(地上に出る部分の側面断面は
三角形になるので、例えば500mの勾配として前後計1km 分浮いたとしても
30万立方メートルしか減らず、130万立方mとなります。この土砂を
どのように処理するのでしょうか。これは、方法書に記載されている「奈
良県環境総合計画」(p.220付近)における「ローインパクト」の理念に大
きく反するのは確実です。
 また、これを県民に示す際、数字よりも、建造物で説明するのが判りや
すく、130万立方mに近いのは東京ドーム、大阪ドーム(ちなみに大阪
城がすっぽり入る大きさ)1個分相当、奈良では東大寺があり、大仏殿は
13.6万立方mなので10軒分と説明したほうが適切でしょう。そして、
これを運搬するダンプカーが排出する排気ガスの問題も考える必要がある
のではないでしょうか。これは東京都の外環自動車道事業において、かな
り前から既に指摘されています。
 100万立方m以上の土砂を抜き出すと同時に、豊潤といわれる地下水
も同時に抜き出す形になるので、地下水の水位への影響が全く発生しない
ということは保証できないと、改めて感じます。

 また、トンネルの途中にも換気塔を設置する可能性を考えると、この縦
坑により、数層に渡るといわれる地下水脈を縦貫する可能性から、これも
影響が出る事も予見すべきでしょう。史跡文化センターは地下22mの深
さまで、多数にわたり杭を打ち込み、その上に建物を載せたといわれます
が、この杭を抜くと地下組成に損傷を与える可能性が高いため杭はそのま
まにすると言われています。平城京跡のすぐ近くに杭を打ち込んで、影響
が出なかったからというのは早計であり、これを撤去できない理由が地下
組成への影響が予見されていることを認識するとともに、杭の太さや、換
気塔の縦坑の太さを思慮する必要があります。

 中越震災では新幹線のトンネルが一部損傷を受けたように、近畿におい
ても近いうちに発生しうるとされる南海地震にて、トンネルが受ける損傷
だけでなく、トンネル壁と地中の間にわざわざ設けた導水組成への損傷な
ども充分に考える必要があるでしょう。地中組成の強度が異なる以上、強
大なエネルギーが組成の変化した所に集中するというのは、液状化現象な
どから素人でも充分に想像できます。
 震災が発生せずとも、長期的には、東京の上野駅地下ホームが浮上する
のを抑えるためにアンカーを多数埋設したりするように、どこへどう出る
か予見が出来ないのではないでしょうか。

・p.226 で示す遺産との隣接度の大きさからいっても、後世にわたり容認
されうるとは思えないものがあります。特に、既設された第二阪奈道路を
組み合わせた西回り案(宝来IC〜大和中央道路の中山橋交差点までを結ぶ)
では、現在指定されている緩衝地帯に全く隣接していないことを思慮する
必要があります。同じく、p.237 においても、埋蔵文化財が事業実施区域
内に4カ所含まれ(うち1カ所は現R24に隣接)、西回りでは1カ所の
みしかなく、後世において保護したという名目はたてられないものと存じ
ます。

・動植物の生態調査を、過去の記録から調査したとありますが、この追確
認作業も必要になるでしょう。第三者の立場にある民間の調査団体を募り、
異常気象の年の発生も考慮し、3〜5年単位で再調査を行うべきのものと
感じます。また、p.102 鳥類の調査も、調査地域の範囲が充分とはいえな
いです。全区間に渡り行うものではないのでしょうか。

・低周波測定が行われた記録がない、というのも重大な問題と感じます。
 これは、もし西回りを開発することになった時にも、必要な資料になり
ますので、現在のR24BPにおいて、緻密に行ってください。

・p.148 観光地からの展望において、奈良町散策では見通しが利かないの
はあやまりで、街路に出れば東西方面において見通しが利き、これは京都
と同様、関東においては滅多に味わうことのない歴史的経緯も含めた景色
資産です。若草山が「閉山中」というのは夏だったのでしょうか。他の季
節においての再調査を希望します。また、県庁の展望室からの評価が漏れ
てるような記憶があります。

・p.29等で判るように、地図の情報鮮度の点について大きな懸念を感じま
す。第二阪奈道路が全く記載されていないのです。p.169 で、やっと記載
されていますが、風致地域や地目種類の地図(ページ番号失念)において
は地目の変更があるものと思われるのに、反映されていないようです。
 計画中ながらも地目種類が反映されている大和中央道路については時の
アセスメントが必要と感じます。現に、現在のR24バイパスが東院史跡
を保護するために当初の計画を修正し、大きく東へ迂回させたという柔軟
性を事業体の主体である人間が有していることも踏まえ、大和中央道路の
計画、および山田ICにつながるR163BPの計画も含めて、全体としての街
作りの観点から見直しに含める意義があります。
 今回の大和北道路の事業に掛かる費用をもっと有意義に、かつ効果的に
運用しうる可能性を確信できるからです。少なくとも道路の整備率の向上
においては、整備される総延長でいえば、一点豪華よりも分散配置が有利
なのは確かでしょう。

・郡山ICを、十字型インターチェンジにする場合、周辺の大型十字型イン
ターチェンジのようになるのであれば、他地域の事例を紹介しながら、こ
れも景観シミュレーションを行い、必要なら郡山だけでなく斑鳩、安堵の
住民にも意見聴取を行うなど、万全を期してください。

・代替案として西回りを提示していますが、同時に東回りについても提案
しておきます。木津から州見台を通り、そのまま延長してR369と合流分岐
し、春日山の緩衝地帯を迂回するように南下させ、名阪国道の福住ICで接
続させます。そして連続した急カーブのため事故が発生しやすいΩ状カー
ブについては、南側に3車線でループ状の山岳トンネル(R=1.5km弱)
を増設し、下り坂になる西行き車線に割り当てて構造面の改善を図ると良
いでしょう。
 理由は下り坂=エンジン負荷が少ないため排ガスが少なくて済む分、ト
ンネルの換気負担も少なくなるからです。また曲率が一定のため安定した
運転が期待できます。登り坂になる東行きは、現在のΩカーブの西行き車
線を東行きに変更し、全て東行きとして運用します。排ガスが空中拡散し
やすいという名目もありますが、車線数が倍になることで、全体の速度が
低下しても渋滞しにくくなる効果が期待できるからです。

以上
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