横田<miskij>萬や モデルケース・井荻トンネル


大和北道路有識者委員会 が、第14回の有識者委員会で、各種意見の分析の報告をしたものの、奈良新聞.comの web記事によると、中央案の優位性を示唆されたとのこと。
各種提案を細かく補完して分析した結果…なのだろうけど、医療に置き換えてみると、セカンド・オピニオンの存在が抜けているように感じる。
ここで1つの例が出てきたので紹介してみたい。
東京外郭環状道路の反対団体の報告によると、
市川市は、独自の予算で構造変更案で騒音や振動、大気汚染がどの程度になるかの調査を民間の調査機関に依頼しました。
とある。もちろん寄せられた意見についても、同様に民間の調査機関に依頼しても良いと思う。
この調査結果については、リンク先を参照して欲しい。


中央案で、どういう構造になるの?

最有力と噂されている中央案ながら、平城京跡の直下は大川靖則・奈良市長が避けて欲しいと明言されており、 県民が「最短を希望」と言うのであれば、ほぼ国道24号に沿った案になると推測します。でも、これって結局はバッファゾーンを貫通してるんでは?
推測でモノを書くのは避けるべきなのかもしれないけど、人類が他の生き物と違うのは、「予測し、それにそって行動できる」点。
それが後世にわたり、賢明な行動かどうかも、我々で予測し評価できるはず。ということで勝手ながら私なりに…

全線を立体交差

 現在の24号線の高架区間の前後をさらに延長する形になるのだろう。
 現在の平城京から見える区間は、高架化された部分だけであり、高さもそれほどでなく、 また防音壁が並んでないので、景色が現在より激変することは少ないと思われる。
もちろん通過速度をそれなりに抑制する必要はあるのだろうけれど。
 奈良の南部へバイクで出かけた帰り、24号の高架に上がり、平城京跡のカーブで目前に若草山が見えると、 「ああ、帰ってきたなあ」と実感したものだ。この点では、視界をやたら狭くするのは勘弁して欲しいもの。

交差点のみ立体交差

 この欠点は、交差点の前後のアップダウンのために自動車からの排気ガスが少し増える点といわれるが、 交差点だけやたら高くするのではなく、前後の道路も一緒に嵩上げしてアップダウンの勾配を小さくできるはずだし、 逆に交差点の下側の道路を相対的に掘り下げたり、または規定されている高さを下げても良いような気がします。
折しも、国交省では、道路構造をもう少し柔軟に設定しよう、 という意見公募を行っていました。

地下5m案

実はこれが本命だったりするのかもしれない。(大胆な推測だけど、下の地下40m案と一緒に外れて欲しい)
ということで、モデルケースとなりそうな東京・環状八号線・井荻トンネルを調べてみました。
下記の地図のうち、トンネルの長さは、プロアトラスW2の測定機能を用いて、トンネルの車線の開始・終了まで、 陸橋の長さは同じく陸橋の車線の開始・終了までを測定したものです。
実際には、トンネル実体、つまり道路上の空間が閉じた区間だけを測定したものがトンネルの公称値みたいですが、 道路としての機能を考えると、車線の開始・終了が実感に近いと思います。
また、地下に潜るわけですから、ゆるい傾斜区間も前後で必要になることがわかります。

さて、A地点からE地点まで、順に見ていきましょう。赤丸が、換気塔の場所です。

環8の井荻トンネル近辺の地図

遠くに見えるのは何だ?

A地点:(練馬区南田中1)
 井荻トンネルのツアーへようこそ。まずは北側のトンネル入り口から案内しましょう。
 ごらんのように遠方に換気塔がつったっているのが見えます。



右折車両でつっかえてる

B地点:(練馬区南田中1)
 側路を設け、千川通りと交差してますが、この車線の幅が足りないらしく、右折車線が確保されてないので、 右折車両がつっかえるとこんな感じで動けません。



8階建てくらいありそう

C地点:(杉並区井草3)
 新青梅街道と交差した所に1つ目の換気塔がつったってます。高さは35mくらいありそうです。
 法隆寺は32m程になります。 だからといって換気塔を法隆寺に似せて建てればいいっていう問題ではないけど。



8階建てくらいありそう

D地点:(杉並区下井草5)
 陸橋をまたいだ交差点から。非常用脱出口があります。落書きされそう…
(C地点の換気塔にも、落書きされた跡がありました)



E地点:(杉並区下井草5)
 早稲田通りから1つ北の東西の往来交差点にもう1つの換気塔がつったってます。
 隣の建設中の建物は、ちょっと手前にあるのですが、それでも換気塔の方が高いように見えるのは錯覚なのかな?



地下水が漏出してます

いくつかある避難所の中の数カ所で、地下水の漏出がありました。
googleで、「井荻トンネル 地下水」を検索してみると、地下水への影響を与えないような工法をいくつか用いたという報告もありますが、 完全に防げるわけではないのかな?
もちろん、漏水が全くない避難所も数点ありました。
余談ですが、ここを通過する車両はそれまでの鬱憤をはらすかのようにかなり速度を出しているので、よく速度測定が行われているそうです。
それを知らずに、信号で途切れたクルマの流れを読んで、避難所からバイクを発進させようとしたら、 次のクルマの流れの先頭がやけにゆっくり走行してきました。
実は私のヘルメットの後頭部に白の反射テープを2筋、水平に貼ってたせいだったのでした^^;



こうしてみると、今の24号の主な渋滞ポイントである一条通り〜西九条をすべて通過する地下道路を建造した場合、 5.5kmくらいになります。井荻トンネルは換気塔を800mおきに建てており、単純に計算して7本は必要になり、 主な交差点ごとに換気塔を建てると、一条・市役所裏・二条(阪奈道路+大宮通り)・四条・柏木(薬師寺と大安寺が一直線に並ぶ)・ 八条・西九条となり、平城京跡から見ると少なくとも3ないし4本は見えると推定されます。
もちろん、薬師寺からは、若草山方向面には5ないし6本は見えるかもしれません。


地下40m案

地下5m案と違い、地中深い所まで換気塔を何本も掘るわけにはいかないでしょうから、 1ないし2カ所に集約して設置するのかもしれませんが、そこまでいくとアクアラインを手本にせざるを得ないかもしれません。
川崎の換気目的に建造した人工島って、外径約195m、東京ドーム並だそうです。換気塔自体は外径98m。
これって東大寺2つ分の幅になるんじゃなかったのかな。そして高さは…想像するだけでも…
少なくとも京都の清水寺から見る景色が、奈良の二月堂や若草山からの景色内にそっくり再現されるのは必至、かもしれません。

もう一度、要望しときます

大宮通り西行きから24号へ左折する専用レーンを、歩道を削ってでも設置したのであれば、 24号四条大路付近の2カ所の隘路付近の歩道の利用状況を鑑みると、 この歩道をいくらか削って拡幅することにはそれほど時間は掛からないと思うのです。

2006.Feb.10 web page移転に対応
2006.May.27 環8がやっと全区間開通だそう。それでここしばらくアクセスが多かったのですね。よかったら奈良の方もちょっと散歩してきてください。

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