横田<miskij>萬や 奈良で公述


公聴会で公述してきました


大和北道路有識者委員会 が、第8回の有識者委員会で公聴会の実施に触れており、4月頭に募集要項が発表される。
要項を確認したものの、はて、公聴会ってどんな風に行うのだろう? とネットを漁るも不漁とはこのことかどうか、やっとみつけた数点ばかりの公述文を参考にしながら、 要旨を週末にまとめようと思ったのに別件に忙殺され、 14日夜から指定されている800字以内に収めるべく全体的に3回も書き直しつつやっと上がったのは15日の未明。
〆切が17日なので、午前中に速達で送ったら、翌日に届いたみたい。

応募者が予定人数を越えた場合、同様な意見は集約して選ぶことがあると記されており、 他の公述応募者との重複を心配したものの、応募者人数が予定人数に収まったため、全員採用となり安堵。

とはいうものの、公聴会が行われる5月10日まで、週末ごとに出かけてばかりで大変だったのねん。
4月20日:情報処理試験
4月26〜30日:居合関係で奈良・大阪へ
5月3〜5日:居合関係で京都へ

懸念された私の聞き取りにくい声については、OHPを併用することから、発言内容をそっくりスライドに印字して読んで貰おうと思慮する。
大学の卒論発表もこのスタイルだったけど、今回は地図を入れて視覚的にしたことかな。
金曜夜、OHPシートを物色したけど、インクジェットでも印字できるのがあるんだ…私のは熱転写だけど、高いなあ。
おまけに、富士山を某ポイントで撮った写真をシート全体に印刷したら、リボンの乗りが悪かったのか、空の所が所々剥げるしT_T

公述を10分以内に収めるために文章を吟味したりしてたら、やっぱりまた徹夜になってしまった。
5月10日朝は例によって房総特急+のぞみ43号+近鉄特急。
名古屋前後でうたた寝して、米原を過ぎてからは起きてたけど、京都駅まであと数分のトンネルの中でうっかり意識が途切れる。
寝過ごして新大阪まで乗せられるのはかなわないので、さっさかとデッキに出て曇り空の京都駅で降りて、ちょっと手みやげを調達して近鉄へ乗り換え。
西大寺で乗り換えた時に御所のKさんから連絡。「じき平城京を渡ります」と意趣入りに返事し、近鉄奈良駅で待ち合わせ。
平城京跡に入った所で、修学旅行生にまじって初老夫婦が景色を見回して夫が何やら説明するようにささやく様子がみてとれる。
修学旅行生に、県都のすぐ近くに広大な原っぱがある景色を見てどう思ったのか聞いてみたい。
私の京都・奈良の修学旅行は高校の時だったけど、京都で観光した日の夕方に近鉄だったのもあり、 近鉄京都線特有の「ま〜ったり」速度で奈良に着くまですっかり熟睡してただけに何も印象に残ってなかったんだなあ。

Kさんと新公会堂まで、丁度通りかかったバスで移動。11時前に到着。
事務担当から丁寧な説明をいただいて、スライドの通りに読み上げるけど、 コピーして委員に配っておいてください、とお願いして了承される。
そののち、午前の公聴会を聞いて見る。こちらも要約筆記付き。
聞いておきたかった方の公述にぎりぎり間に合ったのは幸いだった。聞いてみて、これなら私のとは重複も少ないと確信。

「守る会」の知人とご一緒に昼食。
新公会堂のレストランは老舗ホテルのコック料理で、しかも今上(昭和)天皇がこられた際にお召し上がりになられた一品を紹介される。
午後の公述が始まる10分前に控え室で進行などの説明をいただいて、スライドの入れ替えを事務担当に説明して、いざ会場へ。

公聴会の形式としては四角形の三方に委員が座り、下辺の中央に公述人が座ってマイクを持って発言するもので、 スライドは前もって事務担当に合図を送ったりする。
聴衆者は公述人の背後に座る形なので、むしろ落ち着いて話せるといえそう。
9分目に予鈴が入り、10分目に終了の合図が入るそうなので、 質疑応答に対応するために並んで座ってもらう要約筆記者に、合図をその都度教えてもらうことにしました。

以下、公述した内容を記しておきます。


最小の費用、最大の効果を大和北道路に期待します

はじめに(自己紹介)

千葉市から参りました横田充洋(みつひろ)です。
3年前の夏まで奈良市法蓮町、鴻池の近くという交通至便な所に3年間住んでいました。
うち半年は、無職状態で、奈良県内の各地をバイクで探訪し、後半2年間は生駒市高山の職場までバイクで通勤していました。
世界遺産の街で暮らした私として、今回の公聴会では表題に挙げたように、暮らす人の立場、発掘されるまで水の中で眠ったまま動けない埋蔵遺物、 当分続くであろう自動車社会、の3点を考慮し、未来から顧みても賢明だったと語り継がれるものにしたいと思い、応募しました。
世界遺産に関わるだけに、普通の公聴会と違い、居住地限定を行わなかった委員会の皆様に敬意を表します。

 さて、有識者委員会のweb page(HP)では、英・仏・独・米におけるPI事例を丁寧に翻訳して紹介しており、 今回の委員会のPIと照らし合わせて特に不足していると感じたのが、事業費の概算でした。
 そこでgoogleという検索エンジンを使い、各種道路の事業費を調べていきました。

各工法のキロあたり単価

高架道路20〜30億円阪神高速湾岸線南伸区間
山岳トンネル20〜40億円国道309号 新川合トンネル
シールド工法200億円以上第二阪奈有料道路 阪奈トンネル

阪神高速湾岸線は奈良の皆さんには馴染みが薄いかもしれませんが、 堺市出島から、りんくうJCTまでの24km、556億円です。
新川合トンネルは対面通行の2車線トンネルで、2.7kmに56億円掛かったとあります。 2車線なら20億円/kmですが、4車線だと倍です。
阪奈トンネルは当初、120億円と思ったのですが、総額2336億円にしては少ないと思い、 県の道路担当に聞いたら5.6kmに1260億円かかったと教えていただいて驚きました。
第二阪奈の短い榁ノ木トンネルは90億円/km、宝来トンネルは200億円/kmと立派なものです。

 トンネルの値段ばかりになり恐縮ですが、その値段で他の手段を講じればもっとたくさんの移動手段を確保可能なのに、 と思うのが税金を納める市民としての感情だと思います。
 この良い手本に、ドイツのアウトバーンがあります。 ロマンチック街道と呼ばれる内陸部を高速バスで旅行したのですが、 名阪国道(R25)の伊賀上野付近とそっくりな所が多かったのが印象に残っています。
居住地からはできるだけ遠さげ、やむを得なければ岩石を用いて景観を配慮した防音対策を行い、 また主要道路でも土盛りによる立体交差を図り、渋滞の原因となる信号設置を極力回避しているのを見ました。
 予算、維持費から見てもたいへん合理的な道路の作り方を、 名阪国道の時に実現していたと言えます。
そして有害物質を少なくするため、速度を出さなくていい、と意識を切り替えさせる手法として、 時速140kmまで対応可能と言われるETCゲートを適宜設置し、のんびり通行してくれる優良運転者には、 乗り継ぐ京奈和、第二阪奈、西名阪などの有料道路の通行料を自動で割り引くようにしても良いでしょう。
排気ガス汚染が酷い阪神や京浜では、内陸部の高架道路の通行料を高めに設定して湾岸へと誘導するのと逆です。

 そして、既存の道路との連絡を改良し、国道24号に集中する車両を分散させるのに、 同様な案が他からもあると思いますが、事業費推計も含めて述べてみます。

山田IC〜大和中央道〜宝来〜第二阪奈〜枚方郡山線

西回り案・クリックして原サイズに切り替わります  委員会が示された西回り案と一部重複しますが、既存道路を活用して連絡を図り、 国道24号や学園前駅の南北往来の渋滞を吸収する機能があると思います。
大和中央道から宝来までの未開通区間は4kmですが、1300年前から、地中に埋もれて動けない木簡と違い、 人間は居住地を自由に替えられるので、公正適切な等価交換対応を用意して空けていただき、 宝来と中町の2箇所にICを設ければ、南北の往来に充分に機能してくれるでしょう。
事業費はIC設置に20億円、4kmに80億円で計100億円くらいと推定します。
付け加えて、枚方郡山線と西名阪道路の交差点にもICを設ければ、 国道25号を用いて法隆寺ICや郡山ICへ行かなくても済むようになります。


国道24号の隘路解消、南半分の車線増加改良

R24立体交差の詳細図・クリックして原サイズに切り替わります  南行きは高架、地上それぞれ2車線あるのが、終点付近でそれぞれ1車線に減少し、 さらに信号のために二重にも通過速度が下げられ、 渋滞の末端が国道24号だけでなく阪奈道路などにも連鎖してしまう構図になっていると言えます。
これを部分的に南行きだけでも先に3〜4車線化を図り、 交差点では本線を必ず立体交差させるだけでも効果が早く現れると思います。 合流箇所で車線数を可能な限り減らさないのは、阪神高速や首都高速の湾岸線などで見られ、 これは合流における接触を未然に防ぐ効果もあるといえるでしょう。10km程なので、200億円と推定します。


東山間部迂回案は国道169号バイパス機能に主眼

R369とR24の短絡線・クリックして原サイズに切り替わります  国道369号の長尾付近で、京奈道路の末端との連絡道路が接続していますが、まだ供用されてないようです。
これがあれば京都方面との行き来に使えます。


東山間コース案・クリックして原サイズに切り替わります さらに、法用(A)付近から県道名張線の須山(B2)付近までトンネルを通すことで、 須山からは名阪国道の福住や一本松との道路があり、 国道169号のバイパス機能を有すると言えます。北半分だけなら5kmの山岳トンネルで200億円と推定します。
 委員会が提示した南半分については、須山と郡山の標高差が200〜300mになり、 名阪国道の天理Ωカーブのような蛇行した迂回路が必要になるか、高樋町(C)付近で、 法隆寺よりも高い橋脚がずらっと並ぶでしょう。南阪奈道路や、東海道新幹線から見える 富士山のようになります。
とてもとても、事業費の推定をしようという気になれないのが正直なところです。


平城京跡付近のトンネル案について

 地下40mのシールド工法で5km以上の距離ですが、 東京湾のアクアラインは10キロ弱のトンネル部分だけで8000億円に膨らんだように、 1000億円で済む保証は何処にもありません。
さらに法隆寺なみの高さの換気塔、掘り出した膨大な泥の発生があります。
また地下40mとの連絡道路も直径20mのループトンネルでは10回転、直径50mでも4回転を要求します。
また、国道24号にそって直下にトンネルを、という案もありますが、 似たような地下方式連続立体事業が東京の環状8号線・井荻で行われ、 キロあたり500億円になり、換気塔も2本建ちました。そしてトンネル自体の維持費も忘れてはいけません。

おわりに

以上、私案をまとめると、トンネル代1000億円あれば、3本の南北往来を順次整備しETCを用いて誘導分散し、 平城京跡周辺では殆ど手を付けずに渋滞が解消し、確実な保護が可能、と思います。
 子細は私のweb pageで公開しております。
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/miskij/nara000.html


…終わってみると、土木の専門家でもないのにここまで書いていいのかちょっと気にはなりましたが…
なお、実際の公述では、最後のスライドを読んでる途中で10分目の合図が入ってしまったため、 やむをえず
また、国道24号にそって直下にトンネルを、という案もありますが、 似たような地下方式連続立体事業が東京の環状8号線・井荻で行われ、 キロあたり500億円になり、換気塔も2本建ちました。そしてトンネル自体の維持費も忘れてはいけません。
を飛ばして締めくくってしまったのですが、声のハンデを補うべく印刷して渡したのが、 意外な所で役に立ったような気もしてしまいます。

他の方の公述を聞いてみると、なるほどなあ、というものもいくつか。
JRと近鉄の連絡を良くして公共交通機関をもっと利用しやすくしよう、という方もおられたのは嬉しかった。
駅と駅の間の往来の商業化を期待して両社が微妙に駅を離して設置しているのは高度成長期には有効だったのだろうけど、 今の銀行が出し渋ってくれてて出店もままならない不景気では、不便、なのに変わりはないし。
JRは奈良駅付近を連続立体化していくのだから、これに合わせて、例えば一条通りと交差する所に駅があれば、 平城京跡にもっとも近い駅になるし、一条高校などの学生の利用も期待できそう。

終了後、後ろの方に設けられている要約筆記の席の所まで、委員長がわざわざ挨拶に見えられました。

帰りは、新公会堂の庭園で記念撮影。この付近は、昔は千枚田が広がっていたんだそう…写真美術館に行けば、当時の景色が判るかなあ。 (在奈の時は、どうしてか機会を逸して一度も行ってなかった)

なだらかな坂を下って、たくさんの修学旅行生とすれ違いながら近鉄奈良駅に戻り、Kさんと別れておしまい、でした。

事務担当さん、通訳さん、Kさんを始め、皆さんありがとうございました。

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