選択肢
職場の喫煙コーナーで、なぜか私は「逆転イッパツマン」を思い出した。
アレのストーリーは、レンタル会社が過去の人間の依頼で、様々なものを貸し出すために、タイムマシンでお届けにあがるという物だったとおもう。
一方敵役のいつもの三人は、ライバル会社に先んじて相手に自社製品をレンタルさせ、自分達の会社を売り込み、客を奪うという物だった・・・、はずだ。
企業社会がこういう苛烈とも言えるシェア争いをするというのは、現在過去未来において市場社会に基づく競争社会があるうちは、なにがどうひっくり返っても切っても切り離せない問題である。
詰まるところこの「逆転イッパツマン」という作品は、守るものが「正義」でも「歴史」でもなんでも無く、「企業の利益」であるということに数年前に気がついた。
(↑遅いよ)
あれを子供の時分に食い入るように見ていたかと思うと、ちょっと背筋が寒くなるというのはここでは関係ないので放っておくが、さて私が今回気になってしまったのは、このレンタル会社、過去の人にどんな技術のものまで貸し出していたのだろうか?という点だ。
そしてそれを突き詰めれば、弊害なのである・・・・。
そこからさらに、私の脳は暴走を続け、タイムトリップそのものの考えにまで到達速度を持ってしまったのである。
なんかちょっとサイエンスフィクションっぽくありません?

通常、どの歴史において、その時代の技術レベルに見合った道具が発明されるものである。
結果としてその成果がのちに更なる新しい発明等に変わり、技術レベルは更新されていくのだ。
問題はこのレンタル会社が貸し出すものというのは、その時代の技術レベルで解釈しうる道具だったのか?
そう、この話の主眼は、タイムパラドックスとかそういう問題に関わる重要な問題だといえよう。
もし、貸した相手がそのまま姿をくらました場合だが、後に発掘品として見つかった場合に、オーパーツとなる可能性が高い。
だがしかしである。
この時間の流れというものは、一本道ではないというのがSF的な思考だ。
こと私が読んだ事のあるSF小説では、決して一本道にはなっていない。
例えば今のあなた自身を考えてみよう。
あなたがT字路に差し掛かり、どっちに進もうか考えた時点で、それまでの自分に三つの未来が現れるのだ。
右に進んだあなた、左に進んだあなた、道を戻ったあなたというものだ。
つまり人間は常に目の前に三ないし四っつの選択肢のうちの一つを選んで進んでいるということである。
まぁヴィジュアルノベルのようなものだと思って頂いて構わない。
最終的には死を迎えるというこの一点以外は、いくつもの選択肢の中からフラグを立てて来ているという感じだ。
だから、時間という流れの中で、自分の選んだ以外の道というものが存在し、そしてその選択肢に進んだであろう自分がいるわけで、オギャーと生まれたその日から、いくつも分岐していく。
そして時間という流れのみを共有し、横に並びながら成長していく訳である。
さて、今頃あなたは何人の自分と、同じ時間の流れを共に歩いているのでしょうな。
すると何かが崩壊していくことに気が付くだろう。
そう、タイムパラドックスである。
自分の人生過去に戻って、何らかの操作を行うとする。
自分が現代に戻ってきたた時に、果たして自分の時代が変化しているだろうか?
答えは否だ。
そう、過去に戻って干渉された。
という自分の人生の選択肢が増えただけであり、それはもはや自分の送っている人生と違うものになってしまうのだ。
今の自分とは、最初に説明したとおり、それまで自分が歩んできた選択肢と、そこで立てられたフラグの結果という事なのだから、変わりようがなくなる訳だ。
しかも、元の時代といったが、果たして出かけていった先から、果たして自分が歩んできた道を寸分違わず戻って来れるか判らないのである。
実のところ、こう考えると、タイムトリップというのが、荒唐無稽と考えられよう。
つまり、未来の世界のネコ型ロボットが、だらしのない御先祖さんを更正させるためにわざわざ未来から飛んできても、それは新しい進路にだらしの無い御先祖さんが進んでいってしまうだけで、肝心要のネコ型ロボットのやってきた時代のその子孫達は、何のメリットも受けられないのである。
どーだ、ざまみろ!!
(なんじゃそりゃ)
とどのつまり、あなたが歩むその人生は、あなた自身が掴み取ってきた道なのである。
例えどんなに嘆こうとも、どんなに自分が不幸であろうと、どんなに過去を変えたくとも、そして超兵器タイムマッスィ〜ンが開発されようとも、あなた自身の人生に何の影響はない訳だ。
まぁ、人生の分岐点を過去から進み直せば、あなたの望む未来に辿り着けるかもしれないが、今のところそんなものが開発されたという話も届いていない訳で、結局のところ頭の中でこねくり回した概念でしかない訳だが、あえて言おう。
確かに未来は他に干渉されないあなたのだけのものなのだ、と。



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