雪降る日に
人間、寝てる間というのは何が起こるかわからない。
それにも増して、何をしていたのかすらわからない。
私の場合は、個人的経験からすると、決して布団の中で大人しくしている訳ではないという事を知っているだけだ。
この辺、個々人で、随分違うと思うのだが、私の場合は少なくともそうだ。
俗に言われるところの、「寝相が悪い」というヤツだ。
過去の遍歴を見てみると、既に幼稚園入園前からスタートしているそうだ。
これは身内が言っていることなので、全てはその記憶によると・・・・、という前提条件に基づく事なのだが。

この頃、我が家はまだ子供部屋というものが存在せず、親と一緒の寝室で寝ていた。
私と兄は、二段ベッドで、兄は上段、私は下段。
翌朝、皆が起きてみると、ベッドに私の姿がない。
慌てて周りを探してみると、ベッドの下の狭い隙間に入り込んで寝ているところを発見されたと言う。
これを筆頭に、ベッドで目を覚ますと、なぜか枕が足元にきていたり、短縮ダイヤルを勝手に押し、寝ている友人に夜も明けやらない時間に電話していたとか、隣で寝ていた友人に、肘鉄を落として大変なことになったとか、壊れたエアコンから漏れた水に浸りながら、何でもないように寝つづけそうになったとか、数え上げればキリが無い。
こんな私でも、どうやら冬場は少々活動が鈍るらしく、いいとこ寝てる間に掛け布団と私の間に入っていたはずの毛布が、体の脇にいっていたとか、朝畳の上で布団被って寝ていたとか、まぁ軽くその程度である。
(あくまで"いいとこ"なのが、自分でも嫌だ)

さて朝である。
この日も毛布は既に体の脇にどけられており、その晩激しくバレルロール(※1)をきめたことが伺える。
で、明け方に目を覚まし、丁度頭上にあるカーテンと障子をふと開いたとき、何事と思って目を覚ました。
夜も明けていない薄明るい空の下、なにか白いものが舞っているのが目に入ったのだ。
この冬最初のまともな降雪であった・・・・。
その時私の脳のシナプスにどんな思考が流れたのだろう・・・・・。
小学校時代の雪による集団下校であろうか、それとも友人たちとの雪合戦であろうか、はてまた八王子の四畳半で見た雪だろうか、或いはその全てであろうか。
私はただ一言、
「あらあら、まぁまぁ」
と言いながら、窓辺に向かい、正座をしながら雪降る庭を眺めつづけたのであった。
結局その日の雪は午前中で止んでしまい、積もることは一切無かったのだが、沖縄とまでは言わないものの、関東の南国千葉に住み、雪が積もるほど降る経験はそこそこあるものの、ここ何年も積雪を殆ど見てない私としては、雪で苦労されてる方に怒られるかもしれないが、雪と言うものには結構憧れがあったりする。
北海道で一冬過ごせば、大分考えも改まるかもしれないが、何せ南国の人である。
ましてや「北へ。」(※2)の舞台である以上、私が早々に考えを改めるとは思えないのは、これまた事実である。
で、ふとズボンの腰辺りに違和感を覚えて見下ろすと、チャックが"ほぼ"体の真横にきていた。

やっぱ俺、寝相悪すぎ。
(オチませんでした)

補足説明
(※1)航空機の機動で、機体を中心にグルグル回るというもの。もっといい説明がありそうな気もするが私には出来ません。
私の場合左回りを極めるのが得意らしく、朝目覚めてみると大抵体の左側に毛布は丸まっている。

(※2)ドリキャス(またの名をむきゃ)で発売されたゲェムのタイトル。
北海道を舞台に、夏に出会い、冬にくっつくギャルゲェと思うと参考にしやすい。
トラベルコミュニケーションというジャンルだそうだが、北海道に暮らしたことのある御仁によると、
「あの行程は一日で行う場合かなりの強行軍ですよ」
とコメントを頂いた。ほむぺはここ



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