実年戦隊三十(みそ)レンジャー
第一話_出撃せよ三十(みそ)レンジャー!
ここは沖縄県、昨今サミットによって通信インフラが整いだした、現政権のIT推進政策の見本とも言える地域である。
安室を筆頭に超売れっ子芸能人を世に送り出し、長寿の人が多い県でもある。
今まさにこの土地が、危険に晒されつつあった。
「ふっふっふっ、ここには電電公社の有する、電話番号案内や、重要な施設が揃っている。この県を占拠することは、日本の情報通信産業を掌握する重要な作戦だ、同志諸君健闘を祈る」
「ウラーっ!」
日本の通信ネットワークを狙う彼らは何者であろうか?
そもそも電電公社がNTTと名前を代えて随分久しい。
情報が古いのではないだろうか?
「我々、赤の広場は、再び栄光を取り戻す為に今こそ立ち上がるのだ!」
「ウラーっ!」
「この作戦が成功した暁には、偉大な書記長から同志諸君を政治将校にと言うことだ、奮戦を祈る!」
「「「ウラーっ!ウラーっ!ウラーっ!」」」
彼ら赤の広場は、政治経済などの要所を奪い、理想的な共産主義を確立する為に立ち上がった武闘派である。
リーダーたるKGBを筆頭に、戦闘要員たる党員達が、前進を開始しようとしたまさにその時である。
「むわってい!!」
(訳、待てい)
「何者だ?!」
KGB達が周囲に目を回す。
「やかましい、今時赤が何の用だ?!」
「赤とは何だ赤とは、え?この資本主義の軍国主義が!」
「そーなんだよなぁ・・・・、押井の作品って、結構自衛隊が反旗をってパターンが多いんだよなぁ・・・。」
「な、何の話だ?」
「そんな事はどうでも良い、第一お前ら共産主義って、破産しちゃったじゃん」
「ばかもん、あれは社会主義だ我々は真の平等を世界に広げる為にやってきたのだ」
「まぁ思想を語るのは自由だが、実力行使ってのはどうよ?」
「真の思想を広げる為には多少の犠牲はやむおえん」
「でもさ、強調と妥協が出来んと、周囲は敵だらけになるぞ。そも何か行き詰まったら、いっつも大砲撃って決着つけてるじゃん。以前のクーデターん時のロシアの議事堂とか見てて思うんだが・・・、なこたぁどうでもいい、こっちは入札で負けて腹が立ってるんだ!」
ここで、KGB達も気がついた、筆者だって今気付いた。
彼らに挑戦的な発言を繰り返すこの不遜な声は誰なのだ?
「ええい、姿を見せんとは卑怯な奴め、姿を見せろ!」
「ふはははははっ!今頃そんな事に気付くとはまだまだだな。私の名前は赤坂レッド、実年戦隊三十(みそ)レンジャーだ!」
「・・・・・、なんだそりゃ?」
「んな事ぁどーでもいい、いくぞ!」
「党員諸君!あの敵を倒すのだ!突撃!」
「カテ5ケーブルアタック!」
突如攻撃に向かった党員達がなぎ倒される。
赤坂レッドの右手にはネットワーク関連の仕事人ならお馴染みの、カテゴリー5のケーブルが握られ、さながら獲物を狙う蛇の如く向かってくる敵を倒していたのだ。
一瞬ひるむ党員達、次の瞬間KGBが指令を下す。
「何を怯んでおる!突撃だ!機銃隊前へ!」
二挺の機関銃が並び、前方を狙う。
「この機関銃は貴様らを支援する為のものではない、戻って来ようとするものを撃つ為にあるのだ!」
な、何て奴であろう・・・・。
「な、なんかスターリン時代のようだな」
思わずそんな事を言ってしまう赤坂レッドであった。
「要は、勝てばいいのよ」
「ならば!」
とKGBが言った途端レッドの姿が消える。
そして次の瞬間KGBの目の前に再び姿をあらわしたのだ!
「き、貴様どうやって?!」
「足元を見てみろ」
そこには光ファイバーケーブルが伸びている。
「ま、まさか!」
「これ以上突っ込まれたらかなわん、必殺HDDクラッシュ!!!」
レッドの両手にはいつの間にやらクラッシュしたハードディスクが握られている。
ハードディスクと言うのは結構ゴツイいアイテムなので、殴ると効く。
昔ならばいざ知らず、PCの部品の中でも劇的に値段が下がったアイテムと言えよう。
但しSCSIのドライブは、未だに高価なので注意が必要だ。
何度か殴りつづけているうちに、KGBがぐったりとなっていた。
・・・・、所謂撲殺であろうか・・・・。
「あーすっきりした、あ、いかん!飛行機に乗り遅れると会議の時間に間に合わん!」
ああ、悲しきサラリーマン、いやさ営業。
入札で負けたことも報告しなければならないと思うと、帰りの足も相当重い。
頑張れ赤坂レッド、お土産忘れると恨まれるぞ!
帰社せよ赤坂レッド、レポート作成で帰宅は深夜だ!
戦え!実年戦隊三十(みそ)レンジャー!!

後日談
残りの党員達は、函館から船に中古車を満載して帰ったと聞く。
こうして日本の通信環境は守られたのであった。

やぁ、赤坂レッドだ、今回は一人で出張だったから、他のメンバーは出てこないんだ。
ほんとに他のメンバーも考えているか疑わしいね。
因みに実年と言うのは中年という言葉のイメージが悪いということで決まった呼び方なんだ。
と言っても全然普及しなかったけどね。
レベルで言ったらE電ってところかな。
次回があったらまた会おう、ぢゃっ!



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