そんな記憶の片隅に・・・・。

さて諸兄。
突然で申し訳ないのだが、
貴殿は「探偵同盟」なるドラマを覚えておいでだろうか?
なんと昔加山雄三が出演していたドラマである。
けして、「紳士同盟」でもなければ、「探偵物語」でもない。
本当に「探偵同盟」というドラマがあったのだ。
ふと記憶が蘇ってしまったので、ひとまず書いてみた訳なのだが、
私と同世代からその更に年上の人にならないと覚えていないかも知れない。
私自身覚えているのは、加山雄三と、
人型をした自動ドア、そしてOPの曲である。

なんでそんなものを思い出すことになったかといえば、
かなり下らない事情になるのだが、
職場で毎朝行われる、サーバチェックの時だったのである。
いつも、この作業は一人で行っており、
チェックしてはいるものの、概ね内容は「いつも通り」である事が殆どだ。
そうなると、画面を見据えながらも、
いろんなことを考える余裕なんか出てくる訳で、
真っ先に頭のタスクがキックされるのは、音楽だったりする。
今朝も今朝とて、頭の中で思い出してしまった「Move On!」を、
歌いながら作業に没頭していたのである。
さて、そんななんでもない日というのは、とかく思考が暴走しやすい。
過去を忘れる事が下手な私は、
とんでもない時にとんでもない事を思い出すものだ。
こうして思い出してしまった話を、職場で振ることがあるのだが、
ちょっと信じられない事があった・・・・・・。

それは、記憶という名の螺旋階段をちょっと駆け下った所にあった。
普段だったら完全に見落としてしまう、その程度の事だ。
それは、私がよく読んでいた小山田いく作品にも登場し、

「おお、確かにそんなものがあったよ。」

と、スポットライトが投げかけられ、
大抵は覚え、大抵は忘れてしまう、
そんな私も、子供の頃の衝撃というものには逆らえないらしい。
その存在とは・・・・・・・、

ゆらりんこグラス

の存在である。
古にバヤリースで、夏のキャンペーンが執り行われた際に、
プレゼントとして配布されたものの存在である。
底面を平らにせず湾曲させ、下側を上側よりも広げる事によって、
重心を落とし、ジュースを注いでも、ゆらゆら揺れるだけで、
こぼれない構造とした、ガラス製品であった。

なんで斯様なアイテムを、突如記憶の底から呼び覚ましたのか、
はっきり言って謎なのだが、思い出してしまったモノはしょうがない。
私は早速昭和41年を筆頭とした、会社の同僚にネタを振る事と相成る。
個人的には、

「ああ、確かにそんなものあったねぇ。」

という、模範解答を期待したのだがとんでもない。
両名伴に、

「何それ?」

というていたらくである。
あまつさえ、

「千葉の田舎だけでやってたモンじゃないの?」

とか言い出す始末。
こらこら、少なくとも千葉県のTVは、
当時から関東主要チャンネルが全て映っていたぞ。
かといって、千葉TVのみで放映されていたとしても、
電波は東京、神奈川等の東京湾沿いの地域では届いており、
見る事が出来ていたはずだ。
そもそも私がこのゆらりんこグラスを知ったのは、TV放送の中でだ。
あれは、子供の白昼夢だったとでもお言いか?
いや、あの夏のゆらりんこグラス。
まだ黒い人間がトレードマークだったカルピスCM。
夏目雅子の西遊記、8時だよ全員集合、ピンクレディとそれいけ孫悟空、
アップダウンクイズ、巨泉のクイズダービー、まんが日本昔ばなし、
カックラキン大放送、加山雄三のブラックジャック、
独占女の60分、そして幼心に性を自覚させた11PM・・・・・。
近所の悪ガキ、用水路での水遊び、そして夏休みの友という名の課題。
水風呂、ガンプラ、整理券、エスカレータの将棋倒し、
いつの間にやら名前の変わっていたララァ・スン専用モビルアーマー、
あふれ返る記憶の奔流のなかに、一瞬自分を見失いそうになり、
蒼い顔をしながらぐったりと椅子の背もたれに背中を預け、
額に手を当てる・・・・・・・・。

「なんてこった」

思い出した私が悪いのか?
こんな事をいちいち覚えている、執念深い性格が災いしてるのか?
私は正しいのか?
私の幼少期の思い出は、実は虚構の中にあった、
ひと時の幻影だったのか?
そーいやマイクロキャビンってトコで出してた、
「幻影都市(イリュージョンシティ)」って結構面白かったな。
「メガ・CD」にも移植されたっけ。
老師が結構いい味出してたよな・・・・・・。

じゃない。
これはもう、私の存在意義に対する明確な挑戦と見える。
ここでもう一度確認したい。

皆様、ゆらりんこグラスって、覚えてらっしゃいます?

もしここで、ご存知の方がいらっしゃったら、
掲示板にでもご一報いただきたいと思う所存。
化け猫は確かに覚えておりました。
だがしかし、大抵の事件でもそうですが、
「身内の証言は、参考にしない」
という事にしたいので、第三者たる皆様のご助力を頂きたい。

さて、たかがグラス一個で随分長々と話を展開しましたが、
そろそろオチに入りたいと思います。

忘れる事が下手なヤツは、長生きしないそうな。
ゲフンゲフン!

2000年6月21日



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