それは夕立のように

それはいつもいきなりやってくる。
夏の夕方、それまで晴れ渡っていた天気がいきなり変わってしまう様に、
突発時という奴はまさしく夕立の如くやってきてしまうものなのだ・・・・・・・。

例えば、人間どこにどう言う出会いや危険が突如やってくるかはわかったもんじゃない。
そして今回の舞台、それは通勤電車。
この通勤電車というやつ、毎朝揺られている方が多数いらっしゃると思う。
で、ここで問題、貴方は普段乗る車両を決めてらっしゃるだろうか?
ちなみに私は決まってます。
先頭車両の進行方向向かって左側なんですが、たまに他の人が既に居座ってると、

「なんね、この異物わ」

と思ってみたりみなかったり(爆)。
まぁ、こんな事はどうでもいいんです。
今朝、いつも通りいつもの電車でいつもの場所にたどり着き、
まぁいつも通り立ち寝と洒落込んだ訳ですよ。
ここ最近は締め切りと原稿に追われ倒し、尚且つWin98はふっとばす、
Vine Linuxの設定に追われる、コピー誌のネタには詰まる、
まぁともかく睡眠時間は容赦なく削られて、眠っても、眠っても、まだ眠い。
でも何せ立ったまま寝ようという行為を体が許すわけではないので、
とりあえず「ぼーーーーっ!」っとするのが関の山。
電車が混み始めるころには再び目を覚ます事になるわけです。
さて、ここまで長々と私のくだらない通勤の風景を説明したのは、
今回の骨子、「何」がやってきたのかという本編につながる為の前フリという奴だった訳です。
で、私がいつも場所を決めて電車に乗るというのが常になっているように、
彼女もまた、そんな通勤者の一人であったのだ(と思う)。

さてこの女性、以前この日記にも参上願った「京葉線内車内角狙いすましヘッドバッドおねいちゃん
(通称おねいちゃん)」である。
あの時のダメージ、恥辱を気にすることなく、そこが私の場所と言わんばかりに、
今日もまた乗ってきたのである。
事もあろうに、その恥辱をこんなところにUPして笑い者にしてしまったこの私の前に・・・・・・・。

もう季節は夏、おねいちゃんもすっかり夏仕様な格好をされており、
胸元の谷間なんか見ちゃった日にゃ、おぢさんドキドキである。
これはひょっとして「運命の出会い?」とか、勝手にこっちが妄想想像していようなどとは、
全く意に介していないはずである。
ホントか?
ホントなのか?
絶対そう言えるのか、俺?
え、え?ど、どーいうことだ、俺?
普段からニブチンのお前だ、実は向こうも自分の気持ちをどう伝えようか悩んでるかもしれんのだぞ?俺。
そ、そっかー、やっぱ髪切ってよかったなぁ、俺。これでファッショナルボーイは決まりジャン、俺!!
あ、それはない、今までのことを考えてみろ、俺。
うっうっうっ、変な期待を持たせるなよ、俺。
まぁ所詮は俺だからな、俺。
ちぇー、そーかよ、そんなに冷たい奴たぁ知らなかったよ、俺。

という葛藤はどーでも良い。
このおねいちゃんもそんなことはぜんぜん考えてないはずなので、とりあえず話を進める。

ともかく、以前から顔だけは知ってるこのおねいちゃんだが、
身の丈約1530ミリ前後、年のころは・・・・・、まぁ良い私から見れば充分私より若い。
抱きしめる気になれば、私の体躯なら実に調度良いサイズなのだ。
目つきが少々厳しそうだが、見たところ結構カワイイ。
もしこんな娘が彼女になっちゃった日にゃあ・・・・・・・、
(中略)
はっ?!!!いったい私は何を考えていたんだ?
このままではこの日記だけX指定になってしまうところだったではないか!!!
とまぁ色々思考をずっこけさせている間に、
右手を見ればアメリカネズミのテーマパークの横を通過しているではないか?
まさかおねいちゃんもそんな妄想を目の前の男がやっていようとは、夢にも思うまい。
へっへっへ、ざまぁみろ、俺の勝ちだ(なんのこっちゃ?)。
とか思ったら、"また"おねいちゃん夢の中に落ちているではないか?!!
またどっかにヘッドバットをかますのか?
・・・・・・・・・、
・・・・・・・・・・・・・?!!!
ちょっと待て、正面は俺だぞ?!!
頼む、このまま、このまま静かに眠っていてくれおねいちゃん!!!!
その頭をゆらすなぁっ!!!!!!!!!!!
と思ったその瞬間、
抱きしめた時に丁度良いと思っていた位置にあった頭が、
私の胸板よりちょっと上めがけハンマーのように、
そうまさに私自身に振り下ろされたトゥールハンマーが如く向かって来たのである。

ゴスっ!!!
「ひゅうううううううううううううっ!!!!!」(息が一瞬詰まった音)

俺か?!!!
俺が妄想を働かせたからなのか?!!!!!
スマン、俺が悪かったぁ!!!!!!!
と思ったらおねいちゃん、見知らぬ私に体を預けたことに瞬時に気付いて身を離す。
一瞬の気まずい雰囲気をひとしきり味わってからたった一言、

「ご、ごめんなさい」

と仰ってくださった。
その声はまるで蚊の如き細い声であったものの結構カワイイ声である。
これにはおぢさんもちょこっと頬を緩ませ、
「大丈夫ですか?」
なんて声をかけてしまった。
思わぬ大接近である。
ひょっとすると来週からは彼女は乗る場所を変えてしまうかもしれない。
でも、こんな風に会話がかわせるなんて思いもよらない大収穫だった。
毎日変わり映えのない通勤電車の中で経験できたちょっとした「大事件」。
ひょっとすると二度と会えなくなるかもしれないという心配はあるものの、
こんなこともありえるというならば、そんなのも、ちょっとわるくない。

1999年7月30日分

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