野生のマンボウ

つい昨日の話である。

「城司さん、髪切ったんですか?」
私のお客さんの元締め部署のMさんである。
(長い説明だなぁ・・・・・)

「ええ、夏らしくバッサリ切りましたよぉ。」
「いい感じじゃないですか。」
「もうこれで夏のファッショナルボーイは確定ですわ。(爆)」
「これで海なんか行ったら・・・・・・。」
「もうばっちり!!」
「夏休みはいつからなんです?」
「14151617日の四日間ですね。そーいや、一足先の夏休みは如何でしたか?」
「いやぁ、どこにも行く気が無くて、ぼーっとしてましたよ。」
「そりゃ、イカンでしょう。」
「そーですねぇ」
「盆過ぎたらクラゲがでますよ?」

「クラゲといえば〜」
と、ここで会話に加わってきたのがY女史である。
彼女、私と同じ派遣元からやってきた御仁である。
同好の志であり、やっぱり夏、冬には有明なんぞに姿を見せてしまうばかりか、
実に趣味人な人であり、似たようなセンスを持っているかもしれない、
危険人物でもある。(解説終わり)

「どこかの地方じゃ、でっかいクラゲを塩で揉んで、食っちゃうらしいですね。」
「ほう?」
「それは、物を見ちゃったら食べられないかなぁ・・・・・・。」

(中略)

「でも、食べたところ、中華のキクラゲみたいらしいですよ。」
それでも、何となく食う気にならない男性陣。
(俺とMさんだけじゃ!)
そこでY女史、一言こうのたもうた。
「やっぱ、マンボウと一緒のモノなんか食っちゃいけませんやね。」
「ああ、水族館でおなじみの。」
「そうそう、雑文館(雑文系サイトの名前)でも・・・・・、」
「あ、"池袋三丁目のマンボウ"(件の雑文系サイトにあったタイトル)か」
(この辺で一度Mさんハブンチョ(死語埋葬済))
「でも、あいつ(マンボウ)の目って、なんか"ぬぼー"っとしてて、何考えてんのかわからんよな。」
「そーですねぇ」
(と、ここでMさん復活)
「なんかもう、世間の荒波に流されきってる、そんな自主性のかけらも無い奴だし。」
「そんなんじゃいけませんよねぇ・・・。」
(なんだ?相づちだけなのか?!!)
「でも、あれ漁師の人って食べちゃうらしいね」
といったのはY女史、
そうまさにその通りである。
「でもさ、
(と、ここで私もかねてから思っていたことを口に出す)
彼奴の生態って、思ったより知られてないんだよね、確か。」
ふんふん、
「あんな自主性の無い奴が、何で今まで生きてこれたんだ?」
「そりゃ、あれだけのガタイだもの、食える奴がいないんじゃないの?」
「まさかそんなわけが無いだろう、海には凶暴な奴が一杯いるぞ、
そんな連中があんな世間に流されるだけのぼーっとした奴を見逃すか?イヤ見逃さない(反語型)!!」
「でもさ、」
「いや待てよ、あいつ実は世を忍び、世間から目を誤魔化すためにぼーっとしたフリをしているだけなんじゃ?」
「いや、そんなまさか(汗)」
「わからんぞ?実は人の前では無関心、無気力な、一寸奇抜な形状の魚類しているが、
その実、私脱いでもすごいんです(核爆)な性格じゃないのか?」
「なんなんだ、そりゃ?」
と、最初に言ったのはY女史である。
しかし、ここまで思考がずっこけた今、私のゆがんだ想像力を止められる者はいなかった・・・・。
そして、私はここで一つの頂点に達した・・・・・・・・。
「マンボウってきっと、
サメをも一撃で屠れるとんでもない魚類なんだきっと。」
「「なんでやねん」」
「うむ、実はまだ発見されていないだけかもしれないが、
きっと奴の種族の中には"サンマ傷"なんか誇らしげにつけている奴がいるに相違ない。」

その時には既に、サメのはらわたを
あの"っぼーーーー"っとしたマンボウがぶち破る姿が頭の中でリアルに再現されていた・・・・。

既に周囲のY女史とMさんは完全に笑うしか対応が残っていない、
いいじゃんか、ここまできたら徹底的にやるのが漢ってーもんだ。

しかしそれにしても、未だに海の世界というのは、未だに未知の存在が多数存在するフロンティアである。
人が一寸深海を目指そうとするならば、それこそ宇宙に行こうとする並に大変な世界である。
そんな人目の届かない海の中で、
人智を遙かに越えた世界の中で、
マンボウとサメとの熾烈な生存競争は今日も続いているのである・・・・・・。

因みにぬけ作なマンボウというのは、浜辺にクラゲばりに打ち上げられることがあるらしい。
もし盆過ぎの海岸に、あのマンボウがクラゲの如く大量に打ち上がってる姿ってーのも・・・・、
ううむ、悲惨を越えて既にシュールだ。

1999年7月27日

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