そんな日の出来事

今朝の京葉線、蘇我〜八丁堀までの区間内。
いつも通り、新川で暇を潰してから、霞ヶ関に行こうと、
朝の通勤快速(君津〜東京)に普段通り乗ったときである。
かったるく思いながら、今日は先頭車両のドア側をキープ。
ウトウトしながら五井駅に到着すると、一気に乗客が乗り込んできて、
八幡駅に到着したら、更に乗り込んできて、
もうエライ事になってます(爆)
取り敢えず蘇我に到着すれば、ちったぁ空くだろうと期待したが、
勝手に水泡に帰してしまいました。
更にブルーになりながら、車窓へと目を向けていると、
私の胴体の前を腕が一本通過して、ドアのところにある手摺を、
ぐっと掴んでいるのである。
見た所、指は細く、腕は華奢、どう見ても女性の腕である。
それこそ細腕繁盛記!!!!ではなく、一寸待てお嬢さん、
間に人間が二人も入ってるんだぞ。
説明すると

(お嬢)(サラリーマン)(キャリアウーマン?)手摺
  (腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕)(手)
こんな感じ。
(なんか文字書きで表現しようとすると、凄く腕が伸びてる気がするが、何となく判ります?)

さて、このお嬢さん、お嬢さんって言うのも何なので、
藤田友子さん(仮名)としよう。
この友子さん(仮名)、どうやら蘇我で人がわらわら降りた際に、ドアの際までやってきて、
手摺を掴んで、場所をキープせしめたらしい。
ところがぎっちょん、ここで運命の分かれ道、
通常電車と言うものは、深夜や昼間の時間などのオフピークでもない限り、
どの乗り口からも人が乗ってくるのである。
また、通勤時間の真っ只中、乗ってくる人数が尋常ではないのだ。
ところがこの友子さん(仮名)、手摺を手放すことなくそのまま奥へ・・・・。
邪魔だ、はっきり言って邪魔である。
はて友子さん(仮名)、あなたは何故に手摺を離そうとしないのか、
何故にそれを掴んでいなくてはならないのか、
謎である、はっきり言って謎である。
小心者の私にははっきりと聞く事は叶わなかった。
誰かこの藤田友子さん(仮名)をご存知の方、彼女に聞いていただきたいものである。
因みにこの友子さん(仮名)の所業は、八丁堀駅で私が声高らかに、
(と言うほどでもないが)
「おりまーす!!」と言うまでずぅっと続いた。
友子さん(仮名)は、その後東京までこの状態を続けたのであろうか?
生き方の不器用な人なのであろう・・・・・・・、と思うことにした。
そんな通勤電車の一ページを、友子さん(仮名)が微笑ましく繰り広げている間に、
一番窓際にいたキャリアウーマンさんにも、一つのドラマがあったことを私は見逃してはいなかった。
上記の友子さん(仮名)と手摺を繋ぐその腕の先、
上の配置図で、
(キャリアウーマン?)
と表記したキャリアウーマンさんの事である。
彼女は重城明美さん(仮名)と名付けておこう。
彼女は土日の生活を楽しく送った後(想像)の気だるくアンニュイな気分を引き摺って、
私の目の前にいらっしゃった(偶然)。
さてこの明美さん、この月曜の出勤はとても眠かった(私見)。
さて、電車のドア際はまだ早朝の柔らかい日差しが射し込み、
否応も無く睡魔が襲ってきてしまったのである(私のこの時の経験も込みだがあくまで想像)。
だがしかしである。
明美さん(仮名)は、私という一応衆人環視の前で、
とんでもないことをしでかし、私を笑いの渦中へと叩きこんだのである。
本当に些細な事である。
明美さんにしてみれば、なんてことは無いうたた寝みたいなものであり、
普段ならば、こんなミスを犯すはずは無かったのである(想像)。


ごんっ


という鈍い音とともに、明美さんは壁にヘッドバッドをお見舞いしてしていたのである。
只のヘッドバッドであるならば私も、一寸微笑ましい光景として、
心の中をちょっと暖かくしただけであろう。
私だって一寸前に壁に向かってヘッドバッド3連発をにっくき(?)
京葉線の車両に下してやったばかりである。
ただ、この時の状況は少しばかり違った・・・・・・。
明美さん(仮名)は事もあろうにドアの近くの段差部分、
いわゆる角に向かってヘッドバッドをくれていたのである。
平面部分ならば、額全体がショックを吸収するのでまだダメージが少ない事だったろうが、
事もあろうに角・・・・・・・・。
そりゃ電車を人間に例えて強度を示すならば、まさにニーパッド。
むしろ肘鉄並であろう。
さすがに明美さんもいきなり額をおさえてしまったら笑われると危惧したのであろうか、
何も無かったようにしばし振舞ったものの、
約10秒後、
とうとう自分自身との戦いに敗北を認めたように(想像)、
そぉっと額に手を当てるのであった。
その時の私の表情を、明美さんは見てしまっただろうか?
否、見ていないことを希望したい。
彼女がたまたまやってしまった失態を、第三者に目撃されたばかりか、
笑われてしまっていることに気づいてしまったら、
ともすると自決を心に決めてしまうのかもしれない。
そんな事態は避けねばならないのだ。
彼女もまた不器用な人間だったのだ。
その頃の私はというと、口を思いっきり左右に引っ張り、眉間に一寸だけ皺を寄せ、
なんとか笑いをかみ殺そうと頑張っていた。
面白い事となると、とたんにポーカーフェイスを取りきれない未熟者。
そう、私もやっぱり不器用な人間なのだ。
友子さん(仮名)は、周りでおこった事態に対応する手段が、
明美さん(仮名)は、痛みを耐え、さっきのような事態をごまかす術が、
そして私はポーカーフェイスを保ちつづけることが、

こうして、不器用な人間たちが集まって、社会を構成しているのである。
(一体どーいうオチだ、こりゃ?)

1999年6月2日



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