春の嵐

近頃すっかり関東の桜も散り、仙台辺りまで桜前線が北上しきったこんな時に、
今更ながらなタイトルである。
別にこのタイトルには
小田和正の曲が関係しているわけではなく、
ましてや春一番がどうとか言う話でもなく、
更に語るならば、最近「めちゃイケ」で度々登場して、
その生存が確認された、猪木の物まねをする芸能人
「春一番」さんの話をしようと言うわけではない。
じゃ、一体何を語ろうとしてるんだよお前。
そんなに苛めるなよ俺。
だったらとっとと話の本題に入ったらどうだ、俺。
スマン、今後は気をつけるよ俺。
一体わたしゃ何を一人でやってるんだ・・・・・・・・。
ま、まぁともかくだ、今日の帰宅時の話である。
普段なら疲れた体を引きずって何事もなく「ぴんぼけ」前まで帰着し、
暫く歓談に勤しんだ後に車に乗って帰宅となるのが通常であった。
しかし今宵は少々事情が違った。
ここで登場するのは山田太郎君(仮名)である。
彼と私は全く違う世界の住人であり、円滑な交通が守られていたならば、
一生涯関係なかった人物であった。
彼は彼女とドライブ中であり(想像)、気分は上々(想像)、
普段彼女を送り届けるルートを走っていたに過ぎないのである(想像)。
そこにひょっこり介入してきてしまったのが私であった(想像)。
一方私は、今日の業務を終えて、君津行きの快速に乗りそびれ、
蘇我で乗り換えた関係もあって、「ひっじょうに」疲れておった。
しかも最近会社のパソコンが、デスクトップ機から、臨時でノートパソコンに代わり、
その関係もあってこれまた眼がえらく疲れていたのである。
とっとと家に帰り着きたいのにも係わらず、
目の前に障害物(路駐の自動車)があり、それを避けたのである。
一方山田君(仮名)は彼女と楽しく歓談中に(想像)狭い道に入り、
今まさに、障害物(路駐の自動車&この私)を華麗なるハンドルテクニックで
避けようとしたときである(想像)。
だがしかし、ああだがしかし!私が障害物を避けて歩くではないか!!
山田君は
俺は車だぜ、ましてや道は俺のモンだ、どーせ血袋(歩行者)が止まって待つさ!
と思ったのに、この莫迦、出てきやがった!!
クラクション鳴らしてやれ!!

「ぷぅわっ!!!!」←クラクションの音

せっかくカオリ(彼女の名前、仮名)に、
俺のかっこいいハンドル捌きを見せてやれると思ったのに、
思いの外ブレーキが強くかかっちまったじゃねーか!!
こーなりゃ文句ぐらい言って、やらねーと、
カオリ(仮名)に示しがつかねーじゃねーか、でもまぁ、俺も心が広いし、
俺の心の広さを見せるのも、一寸大人ぽく見えて良いかな?
と考えた訳である(想像)。
さて一方、いきなりクラクション鳴らされた私である。
人が歩いてて、車からでも見えてるのに、
こっちが障害物を避けないとでも思ったのか?
こんなんは、教習所の教本よりも簡単な出題じゃねーか。
と、思いながら、
「どんな莫迦が運転してやがんだ?」
と車を見たわけである。
感想=「うわっ下品なエアロパーツ!!かえって重いんじゃねーか?」
結果=「どんな莫迦が運転してんだ?」
と「うっかり」運転席を見てしまったのだ。
この時の私は何度も言うようだが眼が疲れて視力が低下しており、
少々眉をひそめないと良く見えなかったのである。
この時、みおろすのではなく完全に「みくだす」視線になっていたとは
本人全然気がついていなかったのだ。
そして山田君と私は運命の出会いを「不幸にも」果たしてしまったのである。
この時山田君は見おろす私が前述の理由から私が疲れていたことを
ましてや眼精疲労と、自分が乗っている車のエアロパーツが
「単に下品」なのを気にしていつの間にやらしかめっ面になってるのを見て、
その思考は長年かけて培ってきた「ヤンキー思考(想像の産物)」のせいで、
「ガンをとばされた」とわずか0.2秒で
大脳を一切経由せず判断を下してしまったのである(想像)。
むかっ腹がたってはいたが文句をつけるまでもないと思っていた山田君(仮名)は、
「こいつに文句を言うべきだ、否、言わなくてはカオリ(仮名)に示しがつかねぇ」
と判断(想像)、
私の隣に車を寄せ、窓を開けて「ぅおいっ!!」
と、声をかけるという余りにも無駄な行動(多分)に出てきたわけだ。

その時私は、耳にMDをウォークマンのイヤホンを耳に突っ込み、
木更津って、何でこー頭の悪いヤンキーが多いんかのぉ・・・・・。
と思いつつも、クラクションのことは10歩で忘れ、
再び「ハミングバード」の音楽にはまっていたわけである。
さて、困ったのは先に言葉という拳を振り上げてしまった山田君(仮名)。
折角かっこいいところと、自分の苛立ちを解消しようとしたのに、
「あっさり」無視されてしまったのである(想像)。
彼は再び私に接近し文句をつける。
相手もどうやら気づいたらしく、イヤホンをはずした。
一方私は私で、
「なんだ?俺は係わるような覚えが無いぞ?とっとと去ね」
と思い(これも充分失礼だが)、前進を促す「軍隊調」の手信号を送る。
(俗に言う上から前に手を振るってヤツ)
さて更に困ったのは山田君(仮名)である。
折角自分の存在意義を無駄に誇示しようと頑張ったのに、
相手から謝罪がないばかりか、やる気のなさそうな手でとっとと行っちまえ、
と一言も言わず手で促される始末。
さぁ山田君(仮名)はキレた、只でさえ社会に出て間もなく、
我慢の二の字を知らず、相手の力量を量るなんて洒落た真似が出来ず、
人生の深みも、渋みも、なぁ〜んにも知らない若造だと言うことも気づかず、
自分の力を絶対と信じ、事も有ろうに「疲れたサラリーマン」に
若き猛りをぶつけているのである(想像)。
再三三度にわたって私に接近し声をかけたところ、
ようやく反応があったのだ、やった、良かった、ようやく自分の優位(何の?)を
誇示できる!と考えたろう(想像)。
一方私は、あまりにしつこいのでこれまた「うっかり」相手に反応してしまったのだ。
「こいつぁしたり!!!」と思ってももう遅い、
私はこの係わりたくない相手に「冷めた」視線を送った。
この視線を見たとたん、山田君(仮名)は、
「やばい相手に手を出した」と思いはしたものの、
相手に対して何か言っておかねばと思ったのだろう(想像)。
私は山田君(仮名)の口からたった一言こう聞いた・・・・・・。
「危ないよ!!」
私もこれに対して応えておかねばならん。
とはいえ、こっちが一方的に悪いわけでも無いのだから、
あまり丁寧に返答する必要も無いなと思い、だったらライトな口調の方がいいかな?と、
「わりーね」
と応えたわけである。
まー山田(仮名)君怒った怒った。
ただ、こんな目つきを平気でするヤツに係わったら大変かも・・・・。
とか考え(想像)車から降りてくる様子はない。
私も相手が降りてきたときは丁重におもてなししようと思っていたが、
まぁ降りてこないし、俺の歩く方向は、もうすぐ一通の出口だ。
まさか一方通行進入禁止までして追ってくる事もないだろうとタカをくくり、
かけてくる言葉を無視して、ひょうひょうと歩き去っていったわけである。
頭の中では
さらば山田(仮名)君、私も莫迦にかまれたと思おう、
君も、「こんなのにかかわらなきゃ良かった」といつか思える時が来るだろう。
君の人生は君のモノだ、この先私が君に係わる事は二度と無いだろう。
カオリ(仮名)ちゃんと仲良くやるんだぞ。
とか訳の判らん思考が流れていたとさ。

それ以上面白いことは無かったんかって?
ありませんよぉ、こーみえても体が大事な人なんだから、わし。

1999年4月15日

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